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『甘みが足りない』


(キャラ)L、小蘭、レイ・ペンバー





▶REC


『やあ、主催者さん。──』

『──この映像が再生されているということは……私は負けたのでしょう。ええ。つまり、死んでいる。──』

『──ですが、不思議ですね。敗北とは必ずしも【敗北】ではない。──』


『──……分かりますか?──』


『──あなたは私を殺せた。ですが"Lを殺した"という事実だけは、一生あなたについて回る。──』

『──名前は消せても、記録は消えない。痕跡は消せても、真実は消えない。──』

『──それが、この世界というものです。──』


『──……もっとも、私は遺言なんて趣味じゃありません。──』

『──この映像は主催者へ向けたものではない。──』

『──この殺し合いを見届けた者。正義を語る者。そして、これから私を評価する者たちへ。……伝えておきたいことが、一つだけあります。』

『──この事件を解決するのが誰になるのか。それは、もう私ではないかもしれない。──』

『──ですが、──』


『────この事件へ、最初に辿り着いた探偵がいた。──』

『────私、【L】──』


『──それだけは、誰にも書き換えられません────。』



………
……

1.The name of a person who is already dead will have no effect.
(すでに死亡している人間の名前を書いても、何の効果もない。)

2.Any instrument capable of writing may be used. Pens, pencils, brushes, or any similar tool are all valid.
(文字を書くことのできる道具であれば使用可能とする。ペン、鉛筆、筆、その他これに類するものも有効である。)

3.Cardiac arrest shall be regarded as a confirmed death.
(心臓麻痺は、確定した死として扱われる。)


✠━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━✠
     𝑬𝑷𝑰𝑺𝑶𝑫𝑬
  『𝑵𝑬𝑬𝑫𝑺 𝑴𝑶𝑹𝑬 𝑺𝑾𝑬𝑬𝑻𝑵𝑬𝑺𝑺』
    《甘みが足りない》

   ~ 神に挑んだ名探偵・L ~

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【L's Theme】




 これは私の持論ですがね。
人間とは、どれほど学歴を積み、富を築き、達観を装おうとも──最後に判断を誤らせるのは、決まって『感情』です。
私は、それこそが人類という生物最大の欠陥だと考えています。
ライオンは仲間の死に涙しません。
チーターも墓を建てたりはしない。
野生動物が同胞の亡骸を静かに見つめる映像? ……笑わせないでいただきたい。
あれは感情を持つ人間が勝手に意味を見出し、美談へと編集しているだけです。

人は情で誰かを救い、そして、情で人生を狂わせる。
だからこそ、その欠陥を克服した者だけが、本当の意味で『勝者』になれる。
……私は、そう結論づけています。


さて。論より証拠。
今、このスマートフォンに映っている『哀れな標本』たちをご覧ください。



『@antiL_666 キラさっさと捕まえろやカス』

『@toronboon1 L。無能。』

『@kantou_only 関東ローカル作戦とかだいぶ運ゲーで草。テレビ見てない奴だったらどうすんの?』

『@GODofLOL える雑魚すぎ🤣💢 イキってねぇで表出ろや👊😎 瓜田ニキにさかずき貰ったオレなら秒で終わらせれるっしょ!!!笑💥💥wwwwwww』



「……笑ってしまいました。ノイズというものはどの時代にも一定数存在する」


 歪んだ趣味だと言われれば、それまででしょう。
ですが最近の私の楽しみと言えば、Public Perception Review──世間の認識調査。
俗に言う『エゴサーチ』になります。
今宵もまた、街の灯だけが窓を照らすこの一室で、人類の知性を一行ずつ検死しているのです。

……もっとも。
私が彼らの言葉に傷ついたことなど、一度たりともありません。
匿名という檻の中でしか吠えられない者たち。
いわば、SNSという牧場で飼育された家畜の鳴き声です。
彼らは、自分が誰かを攻撃しているつもりなのでしょうが違います。

皮肉なものです。
彼らは私を削っているつもりで、その実、一文字書き込むたびに私を磨いている。
……ええ。まるで、自分の意思とは無関係に主人へ餌を運び続ける蟻のように。


『@wakattaaaa_bot Lって「百万のシャンパンより水の方がうめぇ」とかドヤりそう』
(アニメの煽り画像つき+3万リポスト)


「ハハハ。……くだらない」


ちなみに、私はシャンパンを飲みません。
百円の水……いえ、ゼリー飲料の方が、何百倍も合理的で美味しいに決まってますからね。



 ──ゴクッ……
  ──ゴクッ……ズズズッ……!


「時間というものは、誰にも平等です。──」

「──早すぎようと、遅すぎようと、訪れるべき瞬間は必ず訪れる。──」


  ──チュウウッ……


「──……私も、その例外ではありません。──」




 Death Note Executor(帳面上の殺戮者)────『キラ』。
奴を死刑台へ送るため、私は幾度となく知性をぶつけ合ってきました。
そして今。私は、人類史上もっとも倒錯した実験場──バトル・ロワイヤルという盤上へ立たされています。
……興味深いですね。
人間とは、極限に置かれた瞬間、その価値観の正体を自ら暴いてしまう生き物です。
そうであるならば、私が観測すべき対象は、最初から一人しか存在しません。


『キラなら、この殺し合いをどう利用するのか』
──その一点です。


私は、負けという概念を好みません。おそらくこの世界で誰よりも。
ゆえに死も、主催者も、この殺し合いそのものも、私の視界にはありません。
私が見据える相手は、ただ一人のみ。
……この事件を解くことはすなわち、あのキラへ一歩近づくことと同義なのです。



 ────ゴクリッ


「──さて。──」

「──【開始】としましょうか」



ゼリー飲料を放り投げ一息。
思考は十分。あとは、それを実行へ移すだけです。
深くソファーへ身を預け、脚を静かに組み、マイクへ手を伸ばしました。

この殺し合いで最初に巡り会った──『協力者』へ。



 ──ザザッ……
 ──ザザ……


「もしもし、聞こえますか。小蘭さん」

「あ! きこえるきこえる~~!! エゥくんの声きこえてさ、わたしもホッとしたよ!」

「……エルです。アルファベットのLです」

「えっ、エゥくん? ~~~?? あ、そうだそうだ! 名探偵のレゥくんに、すっごく耳寄りなうわさ話があるんだよぉ! 最近ね、後宮のあっち側の塀のところで、夜な夜な怪しい影──」

「その情報は不要です。そして私はエルです」

「え? あぁ、そっかぁ~! ここ、お仕事するところじゃないもんねぇ。あっ!! そうだそうだ!!!」

「はい?」


「えるクンはね、お菓子で一番好きな甘いお菓子ってなぁに? わたしはね、マオマオがお菓子いっぱいくれるから、やっぱりマオマオがいちばん好きなんだ~~~~~~!」

「…………小蘭さん。私をあまり怒らせないでいただきたい」


  ────ザザザッ……


 ……やれやれ。
統計学では、IQが30違えば会話は成立しないと言われていますが、……今の私に必要なのは統計ではありません。ひらがな表です。

私は当初、「所詮は操り人形。誰でも構わない」と判断しました。
安楽椅子探偵として、盗聴という名の"下見"を任せただけなのです。
──それにもかかわらず、『小蘭さん』という存在は、不確定要素の塊でした。

ワタリは、私の言葉を十説明すれば十理解します。
夜神総一郎さんたちは、七か八。十分すぎる数字です。
……ですが、人にはどうしても説明が届かない相手というものがいる。
能力の問題ではありません。見ている世界が違うだけです。


この小蘭さんは一体、IQはいくつなのでしょうか。



「あ、えるクン! あんなところにご飯屋さんがあるよ!! すっごくいい匂いがする~~!」

「だからそんな情報は必要としていません。……あんなところってなんですか、あんなところとは」

「え~~っとね、あっち!」

「…………」

「ほら! あっちあっち!」

「方角を指で示されても、私には見えません」

「そっかぁ!」


「~~♪ いいなぁ~~。知らないお店があったり、知らない空気を吸えたり~~! 後宮から一歩出るだけで、世界ってこんなに広いんだねぇ~~!」

「……旅行番組の収録なら後日にしてください」

「あっ!」

「今度は何です」

「マオマオにも見せてあげたいなぁ~~!」

「…………」

「マオマオに代われたりする?」

「…………」

「えるクン?」


「…………小蘭さん」

「うん?」


「……あなたは、人を苛立たせる才能だけは、天賦のものをお持ちのようですね」

「えへへ~~! ありがと~~!」

「…………別に、私は怒ってなどいませんが」



 ……このように、何度私が注意を促しても、こうです。
「独り言は控えてください」「無意味な報告は不要です」「私語を減らしてください」。
私は、その都度もっとも合理的な言葉を選び、丁寧に導いているつもりなのですが、彼女の思考という城壁は実に堅牢だ。
「お菓子が~~」「うわさ話が~~」「マオマオが~~」。
人類という生き物の適応力には、改めて感心させられます。

もっとも。
キラであれば、このような助手──二ページ目に入る前に、処分しているでしょうが。


「……小蘭さん。1+1の答え、分かりますか?」

「え? 2!! ……マオマオはな~んでも教えてくれるんだからね~~。えへへ!」

「………………、…………」


ええ。書店での試し書き感覚で処分です。
……この時、思わず私はゼリー飲料の二袋目、その成分表を凝視していました。
…………ほんとに、興味本位で気になりましたよ。ええ。


 私の予定では、この程度の事件、数時間もあれば終幕でした。
なにせ犯人は森口。そんなことは分かり切っている。
最難関である首輪の情報収集や参加者の動向は、適当な協力者へ任せれば十分。
率先して表へ出るのは三流です。
盤面を動かすのではなく、盤面そのものを支配する。
それこそが、私の流儀でした。

……それがどうでしょう。
ゼリー飲料、もう三袋目ですよ。
まったく、昨今の日本は、内容量まで合理化してしまったのでしょうか。


“マオマオを呼んでやるから、コンビニでウィダー買ってきなさい”
──そんな見苦しい命令が、今にも口から飛び出しそうでした。



「あっ~~~!!!! えるクンえるクン!! 人!! 人みつけたよ!!!」

「……っ。 ……小蘭さん。大声はやめてください」



 ……ええ、本当に──その時でしたよ。
鼓膜を揺らすほど騒々しい足音。息を切らしながら意味もなく笑う声。
激しい騒音に、私は思わずイヤホンを耳から外しました。
彼女は……小蘭さんは、──初対面の『参加者』へ、犬のような勢いで駆け寄っていたのです。

私は以前、彼女へ一つだけ約束させました。
『知らない人を見つけても、絶対について行かないこと』。
……私は母親でしょうか。
あるいは、防犯ブザーを持たせ忘れた小学校教師でしょうか。
人形は、主の目となり耳となれば十分。口まで与えた覚えはありません。

……やはり、「人材など誰でもいい」という私の採用基準は、倒産寸前の町工場以下でした。
ペチャクチャうきうきで、菓子の話を披露する小蘭さん。
一応は私を秘匿にすべきという考えは持っているのでしょうか、ところどころ都合の悪い質問には分かりやすいほど言葉を詰まらせる小蘭さん。

……彼女がこのデスゲームの舞台で出会った『最初の男』が、まさか──。



「……うん、協力するよ。小蘭ちゃん」

「!!! ほ、ほんとですか! あ、一応ですけど~~。これナイショ話にしろって言われたけど言っていいのかな……? わ、わたしはほんとに! 単独行動で~~~──」

「もちろん、隠さなくていいよ。僕のことはそちらから伝えてもらって一向に構わない」

「ふぇ?」


「────マイク越しに君を操っている、傀儡子くんにね」



──死んだ筈の、……あの『レイ・ペンバー』だとは……………。




 ──ブッツッッッ

 ──ギュィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ……!


………
……




 『よくも、俺を殺したな』
……夢の中で、決まって聞こえる言葉です。

リンド・L・テイラー。
彼は律儀にも週に一度、私の夢を訪れ、胸倉を掴みながら同じ台詞を繰り返します。
死してなお、責任の所在を履き違えている。
……その一途さだけは、評価に値しますね。


「もっとも、彼が本当に恨むべき相手の夢へは、週六で通っているのでしょうが。──」

「──……構いません。これからも、私の枕元へ現れてください」



 あれから、どれほど時間が経ったのでしょう。
今もなお、スイートルームはゼリーのゴミと、推理メモで散乱しています。
もう、小蘭はどこにいるのか分かりません。
レイ・ペンバーを名乗る男の目的も、彼が何をしているのかも分かりません。
ただ、通信の途絶えたイヤホンだけが、無音という名の情報を私へ送り続けていました。

……興味深い。
静寂とは、ときに雄弁です。
人は沈黙を「何も起きていない」と解釈するのですよ。



──ですが探偵は違う。

探偵は沈黙すら、一つの証拠として扱います。



「夢という法廷であれば、私は何度でも証言して差し上げます。──」

「──テイラー。──」

「──そして、キラ。……夜神月くん。──」




……殺し合いは、私の想定を一度だけ裏切りました。
それで構いません。
探偵とは、予定どおりに事件を解決する者ではなく、予定そのものを『書き換える』者です。



「……君を死刑執行台に送るのは、この僕だ」



さて、予定変更です。
『第二幕』を始めましょう────。




【L@デスけ(ドラマ版デスノート)】
[状態]:耳鳴り(軽)
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式x3、ゼリー飲料x10
[思考]:殺し合いの謎を解き、森口へ"判決"を下す。
1:暴力は、知性を持たない者が最後に選ぶ手段です。……私は、その一つ前で終わらせます。
2:盤面は崩れました。ですが、崩れた盤面こそ私の独壇場です。
3:……キラ、貴方は生涯をかけて絶対捕まえてみせます。




………
……



「へぇ~~! じゃあさ、その月くんって人は、キラじゃないの?」

「……その質問には、今の僕では答えられないな」

「ふぇ?」

「"知らない"からじゃない。"断定できない"からさ」

「??」

「捜査官が一番警戒するのは、証拠不足より思い込みなんだ。疑わない人間は騙される。疑い続ける人間は真実を見失う。──」

「──その中間に立つのが、僕たちの仕事だよ」

「わぁ~~……」

「だから夜神君がキラではないとも言えない。もし彼が黒だという決定的な証拠が出れば、僕は迷わず手錠を掛けることになるだろう。──」


「──でもね、一人の人間として話すなら。僕は彼を、信じたい」

「!!」

「それもまた、捜査官だからね。小蘭ちゃん」



【レイ・ペンバー@DEATH NOTE】
[状態]:健康
[装備]:Glock 22(装弾数15/15)
[道具]:基本支給品一式x3
[思考]:殺し合いを終わらせ、生存者を一人でも多く守る。
1:情報は必ず裏を取る。思い込みは最大の敵だ。
2:小蘭の安全を最優先。彼女を危険な場所へ近づけない。
3:参加者の性格・行動・勢力を観察し、情報網を構築する。
4:マイク越しの『L』。有能だが、自分を隠し過ぎている。情報は共有するが、全面的には信用しない。

【小蘭@薬屋のひとりごと】
[状態]:健康
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式x3
[思考]:みんなと仲良くして、マオマオに会いたい!
1:レイさんについていく!
2:えるクンも優しい人だから、またお話ししたい!
3:困ってる人がいたら助ける!
4:お菓子食べたい~~!






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最終更新:2026年07月04日 10:54