『闇の帝王(ヴォルデモート)』
(キャラ)ヴォルデモート卿、上条当麻、フェルン
「助かりました。上条様」
フリーレン様、そしてシュタルク様と旅を続けていた私でしたが、突如として意識が暗転し、気が付けば見慣れぬ空間と街並みへ放り込まれていたのです。
私は武器である自分の杖を握りながら、すまーとふぉんという機械の操作に悪戦苦闘します。
魔法とは異なる技術に苦戦していると、この上条様が話しかけてきたのです。
──あんたもしかして魔術師か? 機械音痴なのはインデックスと同じか
ツンツン頭の彼、上条当麻様は私と同じ被害者でした。
森口という女が開いた命の授業とやらの被害者でございます。
上条様がすまーとふぉんを操作してくれたおかげで、ようやくこの授業の詳細なルールが分かりました。
ようするに、最後の一人になるまで殺し合わなくてはならない。
呼ばれた被害者たち、森口の言葉を借りるのなら生徒でしょうか?
私達は異世界から選抜し、強制的に殺し合わせている。
そして、優勝者にはどんな願いも叶えるとのこと。
「なあ、俺はこの殺し合いを止めたいと思ってる。あんただって森口の言う事が胡散臭い事ぐらい分かるだろ。
協力してくれないか」
上条様は殺し合いについて断固反対の意思を表示されています。
私も意味もなく人の命を奪うことは避けたい。
上条様には首輪を縦に振り、肯定の意思を伝えました。
「しかし、どうします? 森口に逆らうとこの首輪は爆発するんですよね」
「それは……科学に明るい奴になんとかしてもらうというか……」
科学。
魔法を一切使わず、魔法のような現象を起こす別に技術体系が確立された世界から上条様は来たのだと言います。
彼の世界では科学サイド、魔術サイドと世界は二分されており。
上条様は科学サイドの総本山である『学園都市』に住まわれているのだとか。
フリーレン様なら興味を持ちそうな話です。
「上条様は科学を操れないのですか?」
「ま、その……はい……万年赤点なので……」
「使えな(ボソ」
「フェ、フェルンさん……?」
上条様は科学サイドに所属しているだけ。
肝心の科学についてはまるで無知とは少々期待外れでした。
バツが悪くなり小さく俯く上条様。
若干頼りなくはありますが、悪い人ではないのでしょう。
上条様を一人にして死なせてしまうのも忍びないですし、しばらくは彼と同行する事にしました。
「アバダ・ケダブラ!」
突如として、緑色の極光が襲い掛かりました。私は咄嗟に防御魔法を展開しようとし──
「上条様!?」
上条様が私の正面に、防御魔法の範囲外へと飛び出し右手を翳したのです。
〇
ホグワーツ魔法魔術学校へ侵攻し、因縁の相手であるハリー・ポッターを追い詰めていた最中のことだった。
森口という女に邪魔され、『命の授業』などというくだらぬ戯れへと巻き込まれたのは。
『アバダ・ケダブラ』を森口へ叩き込んでやりたかったが、相手は別室からのリモートでヴォルデモートに声を届けている。
その願いは叶わなかった。
やむなくヴォルデモートが選んだのは、この殺し合いで優勝することだった。
「俺様の魔法を打ち消したか」
ヴォルデモート卿は目を細め、正面に立つ上条当麻を興味深げに観察していた。
『アバダ・ケダブラ』──死の呪文。
直撃した相手の命を容易く奪い去る、最強の攻撃魔法。
だが、上条は息絶えていない。
右手を突き出したまま、ヴォルデモートの眼前に佇んでいる。
「杖が言う事を聞かぬのとは別か」
上条が健在である心当たりはある。誰に忠誠を誓ったかもしれぬ伝説の杖、ニワトコの杖による反発だ。
殺し合いに巻き込まれる直前、ハリー・ポッターはヴォルデモートが杖の主ではないと断言していた。
苦し紛れの嘘とも考えられるが、本来力量差が有り余る筈のヴォルデモートはハリーを殺せてはいない。
故に、ヴォルデモートにとってこれは実験だった。
本当に杖が自らに忠誠を誓ってはいないのか、それをはっきりさせる実験だ。
「……ふむ、消せるのは魔法以外もか?」
さらに数発、魔法を放ち上条が右手を翳しそれらが打ち消されていく。
やはり、あの右手に触れた魔法が消去されていた。
杖の忠誠とは関係ない。
そして興味深く観察しながら、ヴォルデモートは一つの仮説に辿り着く。
「ぐ、ぉ……っ!!?」
緑の光弾が上条の足元を穿ち、飛び散ったアスファルトの破片が散弾のように襲いかかる。
ヴォルデモートの胸中から、わずかに苛立ちが引いていった。
上条が吹き飛ばされていく様を眺めながら、ヴォルデモートは口元に笑みを浮かべる。
消せるのは魔法、あるいはそれに類するものだけ。
魔力を帯びていない、魔法の余波で巻き上げられたアスファルトまでは対処できないらしい。
であれば、あのマグルの小僧は恐れるに足りない。
「さて、小娘」
上条が吹き飛ばされた先を包囲するように、攻撃魔法を数発撃ち放つ。
直撃こそ免れたとしても、余波だけで全身はズタズタに引き裂かれていることだろう。
もはや目で確認するまでもなく、ヴォルデモートは上条の死を確信し、魔女の方へと向き直る。
(上条様……!)
「格式ある儀式は守らねばならぬ」
長い杖を構えるフェルンに向け、ヴォルデモートは慇懃に一礼した。
吹き飛ばされた上条へ意識を向けていたフェルンが、その異様な行動に目を戻した瞬間──
「お辞儀をするのだ」
ヴォルデモートの命令とともに、防御魔法をすり抜けた魔法がフェルンを捉える。
まるで杖の動きに従うかのように、フェルンの身体は遅れて前屈みになった。
(これ、は……一体……!!?)
視界が一瞬で反転し、正面を向いていたはずの瞳は地面を映していた。
魔力感知で異変を察知した時には、すでに遅い。
身体はヴォルデモートの操り人形と化したかのように、深々と頭を垂れていた。
「……この程度ならば忠誠に関係なく、魔法が使えるか」
対するヴォルデモートはフェルンを人形のように弄びながら、関心は手の中にあるニワトコの杖のみに限られている。
「くっ……!」
──人を殺す魔法(ゾルトラーク)
自由を取り戻したフェルンは、反射的にゾルトラークを放つ。
「──アバダ・ケダブラ(息絶えよ)」
ほぼ同時に、ヴォルデモートも死の呪文を放った。
奇しくも、両者が放ったのは人を殺すことに特化した殺人魔法。
白と緑、二つの光芒が真正面から拮抗する。
しかし、その均衡は長くは続かなかった。
緑の極光は白き輝きを呑み込み、じりじりと押し返していく。
「そ、ん……な……!!」
フェルンの視界が緑の輝きに染まった、その瞬間。
(フリーレン様、シュタルク……さ、ま……)
フェルンは息絶えた。
「やはり杖が俺様の言う事を聞かん」
虚ろな目で倒れるフェルンを見届けながら、ヴォルデモートは自らの杖であるニワトコの杖に視線を移す。
フェルンを殺害した事で疑念は確信へと変わる。
やはり、杖が言う事を聞かない
検証の為、わざわざ決闘の格式に倣い、邪魔者を消して一対一で魔法を打ち合ってみせたが。
フェルンの撃つ『ゾルトラーク』に数秒の拮抗を許してしまった。
遊びのない本気の『アバダ・ケダブラ』であるにも関わらず。
出力が明らかに足りていない。
「忌々しい! ……誰が杖の所有者なのだ?」
セブルス・スネイプから奪ったはずのニワトコの杖が、ハリーの言うように別の誰かへ忠誠を誓っているのなら、誰に所有権が移っているのか。
「いっそ優勝して所有権を俺様に移すのも手か」
ヴォルデモートにも最早検討がつかず、いっそこの殺し合いの優勝特典で所有権を移してしまうのも悪くないとも考えだしていた。
もっとも、森口の言葉が嘘でなければ、の話だが。
「何……?」
再び視線をフェルンの死体に移し、デイバックと死体に巻かれた首輪を回収しようとした時だった。
キュインっという音がフェルンの死体から響く。
「てめえ……」
そこにはフェルンの死体を抱き上げ、『右手』で彼女に触れた上条の姿があった。
掛けられた死の魔法が、上条の右手に宿る『幻想殺し(イマジンブレイカー)』によって打ち消される。
「ゴホッ……!」
息を止めていたフェルンが息を吹き返す。
咳き込みながら、虚ろだった瞳には光が宿る。
上条はフェルンを腕からそっと下ろして立ち上がった。
「死んだフリをしてやり過ごせばよいものを。勇気と蛮勇は異なるぞ、小僧」
「あんた、こんな殺し合いに乗っちまったのかよ」
「俺様は忙しい。手を煩わせるな」
「ふざけんじゃねえぞ!」
「──アバダ・ケダブラ」
ヴォルデモートがニワトコの杖を振るう。
死の秘宝の一つにして、魔法界史上最強と謳われる杖。
それを振るうのは、最強最悪の魔法使い。
必殺の死の呪文は、しかし少年の右手に触れた瞬間、跡形もなく消失した。
やはりか、とヴォルデモートは離散していく緑光の残滓を、大した驚きもなく見つめる。
上条は右拳を固く握り締め、一気に駆け出した。
特筆すべきは、あの右手の特異性だ。
忠誠を誓わぬ杖とはいえ、伝説の秘宝が放つ一撃をいとも容易く打ち消してみせた。
恐らく、ヴォルデモートの持つあらゆる魔法を、あの右手は無効化するのだろう。
まさしく魔法使いにとっての天敵であり、最大の脅威。
「しかし、所詮は魔法を消すしかできんのだろう?」
杖の矛先を下へ向ける。上条の足元へ狙いを定め、ヴォルデモートは詠唱を省いた攻撃魔法を放った。
上条から狙いを逸らした魔法がアスファルトを砕き、その破片を巻き上げながら爆ぜる。
二発、三発とヴォルデモートは上条を中心に魔法を放ち、右手では打ち消せない余波を浴びせていく。
アスファルトの散弾に取り囲まれた上条は、体を屈めながら前方へと乗り出した。
「ッ!!」
無傷ではない。体のあちこちが血で赤く滲んでいたが、上条は紙一重で急所だけは避けていた。
アスファルトの散弾の中を掻い潜り、ヴォルデモートへと肉薄していく。
さしもの闇の帝王も瞠目し、僅かに後退した。
信じられない事だった。
たかがマグルの小僧。右手に魔法を打ち消す特異な体質を宿しただけのマグルが、散弾の包囲網を突破するなど。
「アバダ・ケダブラ!!」
ヴォルデモートの放った魔法が、まるで予知されていたかのような洗練された動きで、上条の右手によって薙ぎ払われる。
恐るべきことに、この少年は魔法に対する反応速度が尋常ではない。
一流の闇祓いですら、魔法の発動から対抗呪文を放つまでにはわずかなラグが生じるものだ。
数多の魔法使いを葬り去ったヴォルデモートだからこそ断言できる。
あの右手を最大限に活用するためだけに、あのツンツン頭の少年は数え切れぬほどの死闘を経て、創意工夫を重ねてきたのだろう。
例えば、魔法を放つまでの前兆を感知すること。
ヴォルデモートすら意識しない、魔法を放つ直前の筋肉の微細な動きや、杖の周囲を漂う魔力の揺らぎを優れた観察眼で捉え、魔法が飛来するであろう位置へあらかじめ右手を置く。
言うのは容易いが、実行するにはまさしく職人のような無駄のない動きが求められる。
「手間を掛けさせおって!」
ヴォルデモートが腕を振るい上げた。その瞬間、彼の周囲に赤く燃え盛る蛇の悪霊が渦巻く。
轟々と燃え盛る炎は悪霊の怨念を孕んでいるかのようであり、指揮者のようなヴォルデモートの動きに合わせ、上条へと殺到していく。
あらゆる異能を否定する『右手』と、悪霊の『火』が激突した。
(消しきれない……!?)
『幻想殺し』の右手を含む上条の体には火傷一つない。
だが、ヴォルデモートが召喚した『悪霊の火』もまた燃え盛る勢いを維持し、上条と拮抗していた。
上条の記憶にはない。だが、その体に沁み込んだ戦いの経験が即座に結論を導き出す。
右手が打ち消す端から、この火は再生を繰り返している。
ヴォルデモートの魔法力から蛇の悪霊は無尽蔵のバックアップを受け、『幻想殺し』の処理速度を大幅に凌駕してみせた。
10万3000冊の魔導書(インデックス)を巡る戦いで、上条が初めて魔術師と交戦し、劣勢を強いられたあの魔女狩りの王(イノケンティウス)のように。
「これで右手は使えんな!」
上条当麻の『幻想殺し』は対異能に限ってはほぼ無敵だ。
世界を思うがままに作り変えようとも、その右手を振りかざせば打ち消す事が出来る。
何人たりとも触れる事ができない最強の超能力者をも、世界でただ一人真っ向から殴り飛ばす事も出来る。
全世界の人間の容姿が入れ替わる大規模魔術を受けようとも上条だけは右手が干渉を弾き一切の影響がない。
だが、前提条件として必ず右手が異能に触れなければならない。
右手の届かない場所は、上条の肉体は通常の人間の範疇を出ない。
『アバダ・ゲバブラ』を出すまでもなく、胸を攻撃魔法で貫通させてやれば上条は呆気なく死ぬ。
「く……そ……!」
ありったけの殺意を乗せ詠唱を破棄し速度を重視した魔法を、ヴォルデモートが放つ。
魔法に対して絶対無敵の盾となる右手は、未だ燃える蛇の悪霊と拮抗していた。
右手を上げたままの上条は体の軸を反らして回避を試みようとするが、間に合わない。
──ゾルトラーク
ヴォルデモートの腕を光線が弾き、上条へ狙いを定めた魔法が逸れてゆく。
腕から滴る血と上条の後方で杖を構えたフェルンをヴォルデモートは睥睨する。
「小娘……!」
(これでも通じないなんて)
フェルンからすれば最低でも腕ごとニワトコの杖を消し飛ばすつもりで放った高密度の『ゾルトラーク』で、ようやく血を流させる程度のダメージしか入っていない事に驚嘆する。
纏う魔力量は無名の大魔族にも匹敵した。
それでも圧縮した高密度の『ゾルトラーク』ならば攻撃は通る。
「ぬッ!?」
フェルンに『アバダ・ゲバブラ』を放とうとした刹那、次々に襲い来る『ゾルトラーク』の乱れ撃ち。
その一つ一つはヴォルデモートを殺傷するには至らない。
杖を振り、素手で薙ぎ払い、顔面に直撃したところで僅かに出血する掠り傷程度の損傷を与えるだけ。
だが、
(この速さは……!!)
数と速射性が段違いだった。
対処しきれなくはないが、闇の帝王を以てしても数秒間は足止めを喰らう程度には脅威。
無論、その程度で倒れるヴォルデモートではない。
フェルンという魔女は評価に値する力量を持ち得るが、本来ならばヴォルデモートの敵ではなかった。
「上条様!」
上条当麻さえいなければ。
フェルンの『ゾルトラーク』の弾幕を処理した数秒の間に、上条は『悪霊の火』に干渉できる右手を捻った。
打ち消すのでもなければ避けるのでもなく、消しきれない異能に干渉して攻撃を逸らす。
前兆の感知同様に上条当麻が身に着けた、死闘の中を生き延びる術。
逸らされた蛇の悪霊はあらぬ方向へと右手の表面を滑るように前進し、上条は振り返ることなく駆け出す。
(まずい。あの小僧の右手が……!!)
例えその身に『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』を喰らおうと、ヴォルデモート卿は死にはしない。
大魔族にも匹敵する魔法力は並大抵の魔法では貫通しえない。
あらゆる損傷を修復する物体ですら破壊できる『悪霊の火』すら、ヴォルデモートにとっては蛇使いにとってのコブラに過ぎない。
銃火器を持ち出したところで防御呪文で防がれるか、よしんば直撃したところで回復呪文であっさりとヴォルデモートの肉体は再生するだろう。
仮に奇跡的に殺害できたとして、ヴォルデモートには自らの魂を分割した『分霊箱』が存在している。
魂はこの世に留まり、ヴォルデモートは再び蘇生する。
(俺様に掛けた分霊箱の力も、奴の右手ならば────)
しかし、世界を超え次元を跨ぎ、巡り合った異界の能力者の右手に宿る力は、それが異能であれば神の奇跡すら問答無用で打ち消す。
闇の帝王が魂を7つに分割し、事実上の不死身となっていようと。
「おおおおおおおおォォォォォ!!!」
『幻想殺し』はあらゆる異能を否定し、闇の帝王の不死という死を忌避する淡い幻想すらも否定する。
ヴォルデモートが無数の攻撃魔法を放ち、余波を巻き上げるが、上条は自らの血で汚れながらもその足を止めはしない。
近づいてくる。
「く、るな……」
ヴォルデモートにとっては最早死神にすら等しい、『幻想殺し』の右手が拳を形作り、上条の体重を乗せ頬目掛けて飛び込んでくる。
「俺様に近寄るなぁぁぁ!!!!」
上条の右拳がヴォルデモートに直撃する寸前、黒い煙のように実体が消失する。
虚空を空振り上条は呆気に取られ、バランスを崩した。
(やば……い……!)
上条の経験上、遠距離攻撃を主とする魔術師は近づいて接近戦に持ち込んでしまえば、後は拳を振るって黙らせる事が出来た。
『姿くらまし』という彼の世界には存在しない高速移動を想定することなど出来るはずもなく。
拳を振り被り、隙だらけになった上条に対して攻撃を行わない理由もない。
絶体絶命の危機に、上条は死をも覚悟するが、
「なん、だ……?」
攻撃は終ぞ行われなかった。
音もなく、まるで最初から居なかったかのようにヴォルデモートは姿を消した。
「上条様」
フェルンが呆気に取られた上条の腕を引く。
その肩は小刻みの震え、怯えたように彼女は縮こまっている。
「何故あの男が消えたかは分かりませんが。
早く、ここを立ち去りましょう。もし戻ってくれば、私達に勝ち目はありません」
「だけど……あいつを放っておいたら……」
「聞いてください。まず魔力量が桁違いです……このまま戦えば貴方の右手以外では、ろくなダメージも与えられません」
『ゾルトラーク』のような気軽さで連発していた、『アバダ・ケダブラ』という名の魔法。
まず、生半可な魔力量で何発も連発できるような代物ではない。
仮にフェルンが扱うとすれば、一度の戦闘で二、三発撃てれば上出来だろう。
「そして私達、魔法使いは魔法を使うとき頭の中でイメージを固めます。出来ると確信する事が重要ともいいましょうか」
さらに言えば、魔法とはイメージの世界だ。
「考えてみてください。
何の恨みもなく接点すらない相手を、怒りも憎しみも抱かず、良心の呵責もなく殺す。その光景を鮮明に思い描けますか?
……私には、とてもできません」
攻撃に触れた相手を有無を言わさず絶命させる魔法、それは裏を返せば、人を殺すことを何の躊躇いもなく鮮明にイメージできるということに他ならない。
そんな思考回路も精神性も、フェルンには到底たどり着けるものではなかった。
「私が見てきた攻撃魔法は様々でしたが、人を傷つける魔法はあれど、直接殺す魔法だけは見たことがありません」
『大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)』も殺傷に特化こそしているが、人を殺すのに切るという過程を要している。
魔族が開発した『人を殺す魔法(ゾルトラーク)』でさえ、相手を物理的に貫き、破壊することに主眼を置いた魔法だった。
直接殺すのではなく、結果として殺害に至っている。
それに対し、『アバダ・ケダブラ』は生命そのものを絶つためだけに編み出された魔法である。
人が死ぬという場面を。
そんなものをイメージを一変も損なわず連発するなど、もはや人間、
「あれはもう、人でも魔族でもありません」
いや魔族を含む生物の領域にはない。
「怪物です」
フェルンには、一個の隔絶した怪物としか形容ができなかった。
【上条当麻@とある魔術の禁書目録】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:殺し合いを止める。
1:ハゲ(ヴォルデモート)を警戒。
2:インデックスや知り合いが居ないと良いが。
※右腕が切断された場合発生する、ドラゴンの迎撃及びその他の現象が制限されているかは不明です。
※参戦時期は原作13巻(アニメ版二期)終了以降の何処かです。
【フェルン@葬送のフリーレン】
[状態]:健康、ヴォルデモートへの恐怖
[装備]:フェルンの杖@葬送のフリーレン
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~2
[思考]:上条様に同行。
1:ハゲ(ヴォルデモート)とは戦いたくない。
2:フリーレン様、シュタルク様が居れば合流する。
3:急いでここから離れる。
※マハト編終了後からの参戦です。
「あの小僧の右手……野放しにしておくには危険すぎる」
姿くらましで戦場を離脱したヴォルデモートは、脳裏に上条の右手を思い浮かべながら静かに呟いた。
魔法を問答無用で打ち消す、あの忌まわしい右手。
魔法使いである自分にとって、これほど相性の悪い能力は存在しない。
「この俺様が……あんな小僧の右手ごときに……!!」
ギリ、と奥歯を噛み締める。
己が積み上げてきた力の優位を、たかが一人の少年に揺るがされたという屈辱が、ヴォルデモートの胸中を静かに焼いていた。
そして何より、ヴォルデモートは決して認めようとはしないが、胸の内側には『幻想殺し』への恐怖が芽生えていた。
一度、たった一度触れるだけでヴォルデモートの不死性を奪い去る。ヴォルデモートにとっての死神に。
死を忌避するあまり、不死という幻想に縋るヴォルデモートは、まだその恐怖を自覚してはいない。
【ヴォルデモート卿@ハリー・ポッターシリーズ(映画版)】
[状態]:健康、幻想殺しへの恐怖(無自覚)
[装備]:ニワトコの杖、ナギニ@ハリー・ポッターシリーズ
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1
[思考]:優勝する。
1:ツンツン頭(上条)は必ず殺す。
※参戦時期は死の秘宝part2、ハリー戦(最終)の途中からです。
※ナギニの『分霊箱』としての耐性はある程度制限されています。
最終更新:2026年07月06日 20:30