トレセン学園の入学試験の項目は3つ。
レース審査、ライブ審査、そして面接。
レース審査、ライブ審査、そして面接。
配分・評価基準ともに非公開だが、最も重視されるのがレース、続いてライブ、最後に面接と言われている。
過去には面接点のみで合格した愛嬌満点のウマ娘もいたのだが(きっとあなたもご存じのあのウマ娘である)、それはある種の特異な才能であり、無敗の三冠ウマ娘以上に稀なケースだろう。
過去には面接点のみで合格した愛嬌満点のウマ娘もいたのだが(きっとあなたもご存じのあのウマ娘である)、それはある種の特異な才能であり、無敗の三冠ウマ娘以上に稀なケースだろう。
最初にレース審査。多くはここで振り落とされる。
試験内容は、他の受験生が見守る中でランダムに選ばれた18人で行われる模擬レースである。
凡そ3着から5着以内がレース審査通過のボーダーラインと言われるが、URAが設定した目標タイムがあるとか(足切りと表現されるが、あまり良い言葉ではないのでレース業界では使用されない)、着順に関わらず何か光るものがあれば受かるといった噂もある。
試験内容は、他の受験生が見守る中でランダムに選ばれた18人で行われる模擬レースである。
凡そ3着から5着以内がレース審査通過のボーダーラインと言われるが、URAが設定した目標タイムがあるとか(足切りと表現されるが、あまり良い言葉ではないのでレース業界では使用されない)、着順に関わらず何か光るものがあれば受かるといった噂もある。
不満の声が無いわけではないが、これから足を踏み入れるのはレースの世界。
1位が勝者、それ以外は敗者だ。
真剣勝負は一度だけ。文句なしの1着を取れない者に、文句を言う資格はない。
1位が勝者、それ以外は敗者だ。
真剣勝負は一度だけ。文句なしの1着を取れない者に、文句を言う資格はない。
審査はクラシック路線、ティアラ路線、ダート路線ごとに行われる。
レース審査を終え、審査員たちの評価は概ね似たようなものだった。
レース審査を終え、審査員たちの評価は概ね似たようなものだった。
今回のレース審査で速かったのは、クレストキングダム。まだまだ荒削りだが、力強い走りで他をぶっちぎり、クラシック路線において王者ここにありと高らかに宣言する未来を予感させた。
あとは、シンボリレクイエム。あの皇帝シンボリルドルフを思わせる……というほどではないものの、堅実な走りを見せた。さすがはシンボリ冠。口がさないレースファンは「つまらない走り」と言うかもしれないが……このレースを見れば、身内贔屓で合格したなどとは誰も言わないだろう。少し生真面目すぎるように思うので、もう少し脱力して緊張を解いたら、もっといい走りができそうだ。
他にもクラシック路線ではCから始まる名前で有力候補が何人か。この子はレースの完成度が高く、朝日杯の有力候補になるだろう、スタミナがよかった子は菊花賞も狙えそうだと、審査員たちはレース結果を振り返る。
ティアラ路線で目立ったのは、なんといってもサクラグローリアだ。
スタートにもたつくも、圧倒的な追い込みで大差の1着。金糸の髪を靡かせる様子は名前の通りに天使の如く、審査員ばかりでなく待機中の受験生たちの目をも惹きつけた。
儚い外見からは想像つかない強烈なオーラに焼かれ、追い抜かれた子たちは戦意を喪失したようだった。のちに、サクラグローリアと同じ組で走った受験生から辞退の申し入れが何件もあったそうだ。これでは天使の讃歌どころか最後の審判じゃないか。
かの「皇帝」シンボリルドルフも並走トレーニングの相手がなかなか見つからなかったときくが、圧倒的強者は、並び立つ者を許さないのかもしれない。
とはいえ、サクラグローリアにはまだまだ危うさも感じられる。将来が末恐ろしくも、楽しみに思えるレースだった。
スタートにもたつくも、圧倒的な追い込みで大差の1着。金糸の髪を靡かせる様子は名前の通りに天使の如く、審査員ばかりでなく待機中の受験生たちの目をも惹きつけた。
儚い外見からは想像つかない強烈なオーラに焼かれ、追い抜かれた子たちは戦意を喪失したようだった。のちに、サクラグローリアと同じ組で走った受験生から辞退の申し入れが何件もあったそうだ。これでは天使の讃歌どころか最後の審判じゃないか。
かの「皇帝」シンボリルドルフも並走トレーニングの相手がなかなか見つからなかったときくが、圧倒的強者は、並び立つ者を許さないのかもしれない。
とはいえ、サクラグローリアにはまだまだ危うさも感じられる。将来が末恐ろしくも、楽しみに思えるレースだった。
パストラルは、基礎的な身体能力とセンスの高さが感じられた。やや高めの身長と長い脚がターフを蹴る様子は、老若男女問わず多くのファンの心を掴むだろう。今はまだテンションが上がって勢い任せに走っているようだ。ちょっと癖が強いというか、気まぐれな性質が災いしないといいが。ウマが合うトレーナーと出会えると良いのだが。これから集中力とテクニックを磨きつつ、精神面でも成長していけば更にいいレースができるだろう。
あとはD……ああ、この子もスタミナがよかった。菊花賞候補なのではと早くも名前が上がった子の親戚のようだ、なるほど。適正距離のレースでは活躍できそうだが、先の2人と比較するとやや見劣りするか。
他には………クラシック路線からトロイメライ。
この子は評価が割れた。まだ能力が開花していないように思う、惜しいレースだった。色々と噛み合っていないのだろう。才能は感じられるので、いいトレーナーと出会えればいいのだが。レースには、純粋な実力だけでなく、時に運が絡む。良いトレーナーと出会える運があるかどうか。幸い、トレセンにはさまざまな人材がいる。
噛み合わない中でも、ここぞというときの勝負根性、思い切りのよさはレース向きだ。案外自分からトレーナーをスカウトしに行くかもしれないな。
この子は評価が割れた。まだ能力が開花していないように思う、惜しいレースだった。色々と噛み合っていないのだろう。才能は感じられるので、いいトレーナーと出会えればいいのだが。レースには、純粋な実力だけでなく、時に運が絡む。良いトレーナーと出会える運があるかどうか。幸い、トレセンにはさまざまな人材がいる。
噛み合わない中でも、ここぞというときの勝負根性、思い切りのよさはレース向きだ。案外自分からトレーナーをスカウトしに行くかもしれないな。
あの子は?この子は?と会議は進んでいく。
トレセン職員である審査員たちは、レースで夢を叶えるウマ娘たちを迎えるのが楽しみなのだ。
審査員たちの夜は更けていく……
                                
