その日は雨のひどい日だった。
いつのもようにグローリアはレースに勝ち、自分はレースに負けた。変わったことといえば、観客席へのアピールをせずにその場に立ち尽くしていた事だけだっただろうか。
そして私はいつものようにレース後に彼女に声をかけようとして顔を上げたとき、彼女はターフに崩れ落ちた
いつのもようにグローリアはレースに勝ち、自分はレースに負けた。変わったことといえば、観客席へのアピールをせずにその場に立ち尽くしていた事だけだっただろうか。
そして私はいつものようにレース後に彼女に声をかけようとして顔を上げたとき、彼女はターフに崩れ落ちた
「ごめんねくーちゃん、少なくとも春は厳しいかな」
「そうか…」
見舞いに来た私に対して、グローリアは終始申し訳無さそうな態度だった。世間の期待を裏切ってしまったこと、私やバストラルに心配をかけたこと、そして、彼女のトレーナーとの約束を破ってしまったこと。
パストラルのやつはグローリアを見るなり開口一番『そんなんになってまで誰かの期待に応えたいか、ふざけるなよ』といって今にも殴り掛かりそうな雰囲気だったらしい。あとで本人に問い詰めておこう。
「なにがだ、なにがオマエを突き動かすんだ!」
まぁ私だって同じ気持ちだが。
「…ウマ娘がなんのために走るのか、理由は色々あるけれど、私は…そうだな、誰かの期待に応えたいから、かな。」
そんなことか、そんなもののためにか。お前はよくやっただろ。もう十分じゃないか。そう喉元まで出かかって、その次の言葉にそれを飲み込まざるを得なかった。
「理由は色々あるかもしれない、それでも彼女たちには自分の夢があった。託された夢があった。それを載せて走って、そして私は夢を散らした。もう私の脚は、私だけのものじゃない。私の散らした夢の分だけ私は背負わなくちゃいけないんだ、それが勝ち続けた私の、私が走る理由なんだ。」
私は何も言い返せずに俯いてしまった、彼女も同様だった。幾分か経って漸く、私は口を開いた。
「なら私も背負ってやる」
え?とこちらを見るサクラグローリア、その瞳には困惑が浮かんでいた。
「だから、今言ったとおりだよ」
そんなもの一人で背負うものではない。もし、そうやってまた背負いこんでしまえば、今度こそ潰れてしまうだろう。
「約束する。グローリア、私はお前の理想であり続ける。だからさ、早く戻ってきてくれ。」
「…うん、ありがと?」
「そうか…」
見舞いに来た私に対して、グローリアは終始申し訳無さそうな態度だった。世間の期待を裏切ってしまったこと、私やバストラルに心配をかけたこと、そして、彼女のトレーナーとの約束を破ってしまったこと。
パストラルのやつはグローリアを見るなり開口一番『そんなんになってまで誰かの期待に応えたいか、ふざけるなよ』といって今にも殴り掛かりそうな雰囲気だったらしい。あとで本人に問い詰めておこう。
「なにがだ、なにがオマエを突き動かすんだ!」
まぁ私だって同じ気持ちだが。
「…ウマ娘がなんのために走るのか、理由は色々あるけれど、私は…そうだな、誰かの期待に応えたいから、かな。」
そんなことか、そんなもののためにか。お前はよくやっただろ。もう十分じゃないか。そう喉元まで出かかって、その次の言葉にそれを飲み込まざるを得なかった。
「理由は色々あるかもしれない、それでも彼女たちには自分の夢があった。託された夢があった。それを載せて走って、そして私は夢を散らした。もう私の脚は、私だけのものじゃない。私の散らした夢の分だけ私は背負わなくちゃいけないんだ、それが勝ち続けた私の、私が走る理由なんだ。」
私は何も言い返せずに俯いてしまった、彼女も同様だった。幾分か経って漸く、私は口を開いた。
「なら私も背負ってやる」
え?とこちらを見るサクラグローリア、その瞳には困惑が浮かんでいた。
「だから、今言ったとおりだよ」
そんなもの一人で背負うものではない。もし、そうやってまた背負いこんでしまえば、今度こそ潰れてしまうだろう。
「約束する。グローリア、私はお前の理想であり続ける。だからさ、早く戻ってきてくれ。」
「…うん、ありがと?」
そう誓ったはずなのに、どうして負けて、負けてしまったんだろう。
負けたことなんて多々あったのに、どうして震えが収まらないんだ。
負けたことなんて多々あったのに、どうして震えが収まらないんだ。
グローリアの見舞いに行ったその日から、レクイエムは少しづつおかしくなり始めた。それまで表情豊かだった顔は今や貼りついたように表情を動かさなくなってしまったし、大好物なはずのスイーツだって作らなくなってしまった、そしてそれを誤魔化すように、あいつは今まで以上にトレーニングに打ち込み出した。まるでシンボリの会長サマみたいだな、なんて笑ってやったら微妙な顔をしていたが。
それでなんかムカついたから宝塚で差し切ってやったのさ。
その日の夜、それをネタにレクイエムのことをおちょくりに行ったら、あいつは震えるほど泣いていた。今は一人だけのその部屋だからか、その泣き声は小さいはずなのによく聞こえた。
負けたのがそんなに悔しかったのか?負けることなんて多々あったよな?なんて聞いてみれば違う、そうじゃない、という。
そしてレクイエムは語り始めた。見舞いに行った日のことを。サクラグローリアの理想になって見せると誓ったことを。
呆れたことだ。こいつら気づいてないだけで本質的には同じ過ちを犯してるじゃねえか。アタシにも背負わせろ。
私からしてみればグローリアもレクイエムも不器用すぎるのだ。こいつら人を頼らずにすぐ自分だけでで抱え込みやがる。…まぁアタシも似たようだなクチだがな。
さて、同期のために人肌脱ぐとしますかね。
それでなんかムカついたから宝塚で差し切ってやったのさ。
その日の夜、それをネタにレクイエムのことをおちょくりに行ったら、あいつは震えるほど泣いていた。今は一人だけのその部屋だからか、その泣き声は小さいはずなのによく聞こえた。
負けたのがそんなに悔しかったのか?負けることなんて多々あったよな?なんて聞いてみれば違う、そうじゃない、という。
そしてレクイエムは語り始めた。見舞いに行った日のことを。サクラグローリアの理想になって見せると誓ったことを。
呆れたことだ。こいつら気づいてないだけで本質的には同じ過ちを犯してるじゃねえか。アタシにも背負わせろ。
私からしてみればグローリアもレクイエムも不器用すぎるのだ。こいつら人を頼らずにすぐ自分だけでで抱え込みやがる。…まぁアタシも似たようだなクチだがな。
さて、同期のために人肌脱ぐとしますかね。