04 終わりを告げ、始まりへ
イベント最終日。そしてラストプログラム。
項目には重要性を象徴するかのように赤い文字で、「シークレットゲーム」と記入されている。
最後の抽選で見事に当選したメンバーが、このイベント参加者の代表として参加できるというもの。
直人はポケットから軽く折り曲げた抽選番号の書かれた紙切れを取り出す。
紙はこの一週間、楽しさのあまり初日からずっとポケットに入れっぱなしの為、しわだらけ。
当選発表が行われる広場へ早歩きで向かい、片手に持った抽選番号を目を細めてじっと見た。
「70番…」
項目には重要性を象徴するかのように赤い文字で、「シークレットゲーム」と記入されている。
最後の抽選で見事に当選したメンバーが、このイベント参加者の代表として参加できるというもの。
直人はポケットから軽く折り曲げた抽選番号の書かれた紙切れを取り出す。
紙はこの一週間、楽しさのあまり初日からずっとポケットに入れっぱなしの為、しわだらけ。
当選発表が行われる広場へ早歩きで向かい、片手に持った抽選番号を目を細めてじっと見た。
「70番…」
広場では既に、当選結果を決める為のカラフルなシャッフルマシーンが様々な数字を回転させていた。
「なんだよもう始まってんじゃん」
大樹がそう言うと、広場の真ん中へと仲間の手を引っ張りながら入っていく。
直人や葉月もそれについていこうと、周りの客に軽く謝りながら人ごみを抜けていく。
2人が大樹のところに追いついた時、そこには他の仲間も既に集まっていた。
ステージに、スーツを纏った司会者が上がる。
司会者がシャッフルマシーンに近づき、指でパチンと切れの良い音を鳴らした瞬間、ステージの照明が一点に集中され、マシーンを目立たせた。
同時に、会場からは客達の黄色い声が響き渡り、裏からマーチングバンドも現れ、一層盛り上がるステージ。
「きたきたきた!ついに始まったか!」
直人が興奮の声を上げる。
沸きあがる想像以上の歓喜に司会者のマイクを通した声ですら、しっかり聞き取れない。
だが、司会者はそんなことも気にせず、マシーンに手を入れた。
風で舞い上がる数字の書かれた紙1枚を取り出すと、早速発表の体勢に移った。
「それでは発表したいと思います」
司会者がそう言うと、一気に会場は静まった。
ダララララとドラムラインの音だけが会場に響く。
そして、このわずかな時間に、イベントに参加した客達が、今日までの一週間の出来事を頭の中で振り返っていた。
そして、司会者がゆっくり息を吸い込み、本日一番の大声で発表を行った。
「当選者は!72番!ハヅさんこと、那賀見葉月さんです!」
「え?嘘でしょ、私…?」
きょとんとする葉月に会場全体から、壮大な拍手が送られる。
「葉月やったじゃん!凄いよ!」
大樹はそう言うと、葉月の肩を両手で掴んだ。
だが、葉月本人はどうやらまだ自覚がない様子。
「それでは、葉月さんとそのメンバーの方々、こちらへどうぞ」
司会者が場の盛り上がりが納まるのを見計らって、口を開いた。
そして司会者は、直人達をステージ裏へ呼び、待機させた。
「彼等にはこれからシークレットゲームを楽しんで頂きます。残念ながら当選されなかった皆様、ご参加して頂き、本当にありがとうございました」
花火が放たれ、閉会式があっという間に終わった。
次々に人が会場から、去っていく。
だが、どの客も満足そうな笑顔だった。
そして、そんな彼等よりもずば抜けて運の良い自分を誇る直人であった。
「なんだよもう始まってんじゃん」
大樹がそう言うと、広場の真ん中へと仲間の手を引っ張りながら入っていく。
直人や葉月もそれについていこうと、周りの客に軽く謝りながら人ごみを抜けていく。
2人が大樹のところに追いついた時、そこには他の仲間も既に集まっていた。
ステージに、スーツを纏った司会者が上がる。
司会者がシャッフルマシーンに近づき、指でパチンと切れの良い音を鳴らした瞬間、ステージの照明が一点に集中され、マシーンを目立たせた。
同時に、会場からは客達の黄色い声が響き渡り、裏からマーチングバンドも現れ、一層盛り上がるステージ。
「きたきたきた!ついに始まったか!」
直人が興奮の声を上げる。
沸きあがる想像以上の歓喜に司会者のマイクを通した声ですら、しっかり聞き取れない。
だが、司会者はそんなことも気にせず、マシーンに手を入れた。
風で舞い上がる数字の書かれた紙1枚を取り出すと、早速発表の体勢に移った。
「それでは発表したいと思います」
司会者がそう言うと、一気に会場は静まった。
ダララララとドラムラインの音だけが会場に響く。
そして、このわずかな時間に、イベントに参加した客達が、今日までの一週間の出来事を頭の中で振り返っていた。
そして、司会者がゆっくり息を吸い込み、本日一番の大声で発表を行った。
「当選者は!72番!ハヅさんこと、那賀見葉月さんです!」
「え?嘘でしょ、私…?」
きょとんとする葉月に会場全体から、壮大な拍手が送られる。
「葉月やったじゃん!凄いよ!」
大樹はそう言うと、葉月の肩を両手で掴んだ。
だが、葉月本人はどうやらまだ自覚がない様子。
「それでは、葉月さんとそのメンバーの方々、こちらへどうぞ」
司会者が場の盛り上がりが納まるのを見計らって、口を開いた。
そして司会者は、直人達をステージ裏へ呼び、待機させた。
「彼等にはこれからシークレットゲームを楽しんで頂きます。残念ながら当選されなかった皆様、ご参加して頂き、本当にありがとうございました」
花火が放たれ、閉会式があっという間に終わった。
次々に人が会場から、去っていく。
だが、どの客も満足そうな笑顔だった。
そして、そんな彼等よりもずば抜けて運の良い自分を誇る直人であった。
派手なステージの裏面は、鉄筋コンクリート丸出しの日も当たらない、嫌な場所だった。
ぬかるんだ泥地帯に、錆びたドラムカンが幾つも転がっており、そこにカラスがとまっているという不気味さ。
直人達は何も言わず、じっとゲームを待った。
5分後、先程の司会者の男がトラックに乗って現れた。
男は直人達の前にトラックを停め、そこに身を降ろした。
「二台に乗れ」
男はそう言うと急に直人と大樹の腕を引っ張り、無理矢理トラックの二台に放り込んだ。
「ちょっと!何するんですか」
直人が言った。だが男は聞く耳を持たず、他のメンバーも次々に放り込んだ。
さっきの明るくひょうきんな司会者と、全く別人のような豹変ぶりだった。
「一体どうなってんだよ…何か変じゃね?」
ものの異様ぶりに気付いた大志は真っ先にトラックから出ようとしたが、力で押し込まれ、扉を閉められてしまった。
そして、わけのわからないままトラックは走り出した。
二台の中はとても暗く、夜の密林のようだった。
直人は手探りで大樹を見つけ、端っこの方に座り、安全を確保した。
「あいつ急になんなんだ。一体どーいうことなんだ…」
そしてトラックは順調に、シークレットゲームへと向かう───
ぬかるんだ泥地帯に、錆びたドラムカンが幾つも転がっており、そこにカラスがとまっているという不気味さ。
直人達は何も言わず、じっとゲームを待った。
5分後、先程の司会者の男がトラックに乗って現れた。
男は直人達の前にトラックを停め、そこに身を降ろした。
「二台に乗れ」
男はそう言うと急に直人と大樹の腕を引っ張り、無理矢理トラックの二台に放り込んだ。
「ちょっと!何するんですか」
直人が言った。だが男は聞く耳を持たず、他のメンバーも次々に放り込んだ。
さっきの明るくひょうきんな司会者と、全く別人のような豹変ぶりだった。
「一体どうなってんだよ…何か変じゃね?」
ものの異様ぶりに気付いた大志は真っ先にトラックから出ようとしたが、力で押し込まれ、扉を閉められてしまった。
そして、わけのわからないままトラックは走り出した。
二台の中はとても暗く、夜の密林のようだった。
直人は手探りで大樹を見つけ、端っこの方に座り、安全を確保した。
「あいつ急になんなんだ。一体どーいうことなんだ…」
そしてトラックは順調に、シークレットゲームへと向かう───