03 疑問
直人を始め、彼等の一団が全員終結した。
7人それぞれが向こうの世界で既に意気投合していた為、どの団体よりもなれ合うまでの時間が短かった。
長旅でそれぞれの体から悲鳴がきこえる、直人達は寝室につくなりその身を寝かせるのであった。
そして2日目の朝、午前9時。
アナウンスが各個室に響き、参加者達は起き上がる。
そして持ってきたボストンバッグを開け、目をこすりながらも着替えをする。
全て予定通り。
参加者達はまるで、旅行にでもきてる感覚だった。
「あぁ…寝たりねぇ」
直人が寝不足をぼやきながら洗面台へ向かう。
するとドアからドンドンと物凄いノック音が。
「ナオー!起きろー」
「はいはい、起きてますよ」
廊下を行ったりきたりしながら仲間を起こして回る甲高い女の正体は紛れも無く真由だった。
その発声には疲労の欠片も感じられない。
「朝からうるせえガキだな」
大樹が苛立ちながらジーパンのベルトを締める。
アナウンスからおよそ10分後、部屋のドアを開ける音が増えてきた。
参加者達が次々と部屋をあとにし、外の大きい合流広場に出ていった。
直人達も支度を済ませ、そこに向かった。
広場に集まった参加者達に、これからの予定が細かく書かれたプログラムが配られる。
「すごいすごい。この動画このイベントのスクリーンでしかみれないんだって!」
「おい4日目の3行目みてみろよ。新作のオンラインゲームの内容が先行配信されるんだとさ。しかもこのイベント限定の壁紙もある…」
「ステージライヴではゲストとしてあの有名洋楽歌手、デニス・サリヴァンが熱唱…か。すげえな」
葉月や大志がプログラムに書かれた豪華な企画に驚き、興奮している。
勿論全員が全員、このイベントの全てに期待を寄せている。
だが、一人そうでないのも居た。
晴がプログラムの最後の行をじっと警戒の眼差しで見ている。
「インパラちゃん。顔引きつっちゃってどうしたん?」
真由が顔色を伺いながら問いかけた。
それに晴は素っ気無く後ろを向き、「別に」と答えた──
7人それぞれが向こうの世界で既に意気投合していた為、どの団体よりもなれ合うまでの時間が短かった。
長旅でそれぞれの体から悲鳴がきこえる、直人達は寝室につくなりその身を寝かせるのであった。
そして2日目の朝、午前9時。
アナウンスが各個室に響き、参加者達は起き上がる。
そして持ってきたボストンバッグを開け、目をこすりながらも着替えをする。
全て予定通り。
参加者達はまるで、旅行にでもきてる感覚だった。
「あぁ…寝たりねぇ」
直人が寝不足をぼやきながら洗面台へ向かう。
するとドアからドンドンと物凄いノック音が。
「ナオー!起きろー」
「はいはい、起きてますよ」
廊下を行ったりきたりしながら仲間を起こして回る甲高い女の正体は紛れも無く真由だった。
その発声には疲労の欠片も感じられない。
「朝からうるせえガキだな」
大樹が苛立ちながらジーパンのベルトを締める。
アナウンスからおよそ10分後、部屋のドアを開ける音が増えてきた。
参加者達が次々と部屋をあとにし、外の大きい合流広場に出ていった。
直人達も支度を済ませ、そこに向かった。
広場に集まった参加者達に、これからの予定が細かく書かれたプログラムが配られる。
「すごいすごい。この動画このイベントのスクリーンでしかみれないんだって!」
「おい4日目の3行目みてみろよ。新作のオンラインゲームの内容が先行配信されるんだとさ。しかもこのイベント限定の壁紙もある…」
「ステージライヴではゲストとしてあの有名洋楽歌手、デニス・サリヴァンが熱唱…か。すげえな」
葉月や大志がプログラムに書かれた豪華な企画に驚き、興奮している。
勿論全員が全員、このイベントの全てに期待を寄せている。
だが、一人そうでないのも居た。
晴がプログラムの最後の行をじっと警戒の眼差しで見ている。
「インパラちゃん。顔引きつっちゃってどうしたん?」
真由が顔色を伺いながら問いかけた。
それに晴は素っ気無く後ろを向き、「別に」と答えた──
楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、ついに6日目の夜を迎えた。
直人達は皆、知らない間に今まで以上の絆を築いていた。
いつの間にか呼び名もハンドルネームから「本名」へと変わったところもある。
そして後は、最後の7日目を大いに楽しむだけ。誰もがそう思っていた。
午後9時40分。消灯20分前の会場ロビーにて──
直人達は皆、知らない間に今まで以上の絆を築いていた。
いつの間にか呼び名もハンドルネームから「本名」へと変わったところもある。
そして後は、最後の7日目を大いに楽しむだけ。誰もがそう思っていた。
午後9時40分。消灯20分前の会場ロビーにて──
「晴、お前まだプログラム持ってんのか?明日は乾杯と当選発表だけだぜ?」
椅子に腰掛けながら未だにプログラムの最後を見つめる晴に直人が話しかける。
「これさ…当選者はなにがもらえるんだろうな」
晴が最後の行を指差し、ゆっくりと口を開く。
「俺はなんか引っかかるんだよな。このイベントの趣旨はわかるが、糸を引いてる連中はなんのメリットで…なんの目的でわざわざこんな大体なマネするのかが…」
晴の言葉は確かに核心をついていた。
今まで世間から駄目だしや批判を浴び続けていたコミュニティーサイト。
ただでさえ評判が悪い中、なぜトラブルの発生し易いオフライン関係のイベントを行ったのか。
そこまで深く詮索すると確かに不可解な理屈が多い。
「まあ確かにそうだよな。でもさ、どうせ明日で最後なんだし」
「最後か…嫌なことやなんか面倒臭くなってくるのはどんなものであっても最後の最後なんだよ直人」
何かを悟るように晴は直人に言った。
そして立ち上がると自分の部屋へ戻っていった。
椅子に腰掛けながら未だにプログラムの最後を見つめる晴に直人が話しかける。
「これさ…当選者はなにがもらえるんだろうな」
晴が最後の行を指差し、ゆっくりと口を開く。
「俺はなんか引っかかるんだよな。このイベントの趣旨はわかるが、糸を引いてる連中はなんのメリットで…なんの目的でわざわざこんな大体なマネするのかが…」
晴の言葉は確かに核心をついていた。
今まで世間から駄目だしや批判を浴び続けていたコミュニティーサイト。
ただでさえ評判が悪い中、なぜトラブルの発生し易いオフライン関係のイベントを行ったのか。
そこまで深く詮索すると確かに不可解な理屈が多い。
「まあ確かにそうだよな。でもさ、どうせ明日で最後なんだし」
「最後か…嫌なことやなんか面倒臭くなってくるのはどんなものであっても最後の最後なんだよ直人」
何かを悟るように晴は直人に言った。
そして立ち上がると自分の部屋へ戻っていった。