65-884 ささきと!-4


翌朝
キョン「」ンー
キョン「あー……いい天気だ」
佐々木「キョンおきたかい?きょうはどこにいこうか?」
キョン「おう。まず朝ごはん……って」
佐々木「?」カオマッカ
キョン「おまえ……」
………………………………

キョン「38度5分」
佐々木「はー まあもんだいないよ」
キョン「問題あるだろ」
キョン「外出禁止。今日は一日寝てろ」
佐々木「やだー!」
佐々木「だいじょーぶ!だいじょーぶですから!ね!」
キョン「大丈夫じゃない」

キョン「昨日寝れなかったか?」
佐々木「……うん」
佐々木「でもつぎから! こんどはすぐねるから!」
キョン「佐々木、布団にもどれ。な?」
佐々木「やだ! いやだ!」
佐々木「あー! あー!」
………………………………

キョン「佐々木、どっか行くのは今度にしような」
佐々木「……こんどじゃだめなんだよ」グスッ
キョン「一日寝てれば熱も下がるだろ」
キョン「明日になっても熱あったら医者に行こう」
佐々木「……ちゅうしゃする?」
キョン「するかもな。でも佐々木は注射なんて平気だろ?」
佐々木「……へいきじゃない」
キョン「じゃあちゃんと寝てろ」
佐々木「……きょうもキョンとどっかいきたいのに」グスッ

キョン「」ウーン
キョン「今日は特別にテレビの部屋で寝ていいことにするか」
佐々木「! ホント?それはとくべつだ……」
キョン「俺もテレビの部屋で仕事するわ」
佐々木「きょうもずっとキョンといっしょ?」
キョン「ああ」
佐々木「……ならいいかな」

キョン「よし、布団につかまってろよ」
キョン「よっ」
佐々木「わー」ズズズ
佐々木「ねてるのにうごく!」ズー
………………………………

キョン「ほら佐々木。冷えピタはっとけ」
佐々木「! つめたい」
佐々木「キョン ペンギンのビデオみたい」
キョン「ああ。ちょっと待ってろ」

佐々木「ぼくキョンとここにもいく」
キョン「ん?」
キョン「……南極か…寒いぞ。ものすごく寒いぞ」
佐々木「……うん」
………………………………

佐々木「」クー
キョン「熱は……だいぶ下がったな」ピタッ
キョン「……うん」ヒエピタニカキカキ
キョン「ペンギン……に見える…よな?」
キョン「……仕事進めるか。ってなんだ?」
………………………………

?『見える?』
キョン『ああ。見えてるよ』
キョン『前にもこんなことあったな』
?『世界改変によってエラーが生じた。修正に時間を要した。迂闊』
キョン『そろそろお前にも会えるころだと思ってたぜ』
キョン『長門』

キョン『俺はどうすればいい?』
長門『この世界の改変は今までと異質。まずそこを理解するべき』
キョン『異質?どう違うっていうんだ?』
長門『今まで発生した時間改変は涼宮ハルヒの能力によるもの』
長門『しかし今回の改変は彼女が主導で行ったものではない』

キョン「! どういうことだよ?……まさか!?」
キョン『佐々木が起こした改変なのか?』
長門『そう』

長門『彼女の願望が無意識に発現したものと思われる』
キョン『佐々木の願望ってなんだよ』
長門『ブロックが構築されている。私では無理』
長門『探すべきなのは、あなた』
………………………………

キョン「佐々木の願望ってなんだよ」
佐々木「キョンー」
キョン「お。起きたか」
キョン「佐々木、何か欲しいものってあるか?」
佐々木「いまはひとまずおなかがへったよ」

キョン「何が食べたい?」
佐々木「なんでもいいの?」
キョン「だいたい何でもいいぞ」
佐々木「じゃあね おにぎり!」
キョン「じゃあそうするか」

佐々木「でもうめぼしはいやだよ」
キョン「おにぎりといえば梅干しだろ」
佐々木「うめぼしたべると みんなすごいかおになるからこわい」
キョン「え!?そんな理由で!?」
佐々木「うん うーってかおになる」
キョン「やれやれ。じゃあ梅干し抜きのもつくるさ」
………………………………


佐々木「」クー
キョン「寝たか」
キョン「小さくなりやがって」フニフニ

 不思議だとは思っていた。
 この世界はなんでこんなに居心地がいいんだってな。
 ハルヒが創った不思議ワールド。あれには、なにか『不安定さ』みたいなものがあった。

 この世界は違う。
 違和感がないんだ。元の世界とはかけ離れているのに『安定』している。
 ハルヒの世界が非日常的だとすれば、この世界は日常そのものだ。
 困ったことに、悪くない。俺自身もこんな毎日が続いてほしいと思ってしまっている。
 これがお前の望みなのか、佐々木よ?
 だとしたら――

キョン「……寝よう」

 考えてもしょうがないことだ。今はそれでいいんだ。


佐々木「」ムク
佐々木「キョン、寝たようだね」
佐々木「今日は『僕』が迷惑を掛けてしまったね。すまない」
佐々木「きっと『僕』も、薄々気付いていたんだ」
佐々木「得難い日々ではあったけどね」
佐々木「何事にも終わりはあるんだ」



佐々木「おわらせるよ ぼくが」
つづく?

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年03月12日 02:00
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。