アルコール・ドーパント

「アハハ……何これ……気持ちいい!」

【名前】 アルコール・ドーパント
【読み方】 あるこーる・どーぱんと
【登場作品】 風都探偵
【登場話】 第20話「閉ざされたk2/仮面の夜を重ねて」~
第27話「閉ざされたk8/究極は二人で一人」
【分類】 ドーパント
【能力】 体表からの発火性アルコールの分泌、着火作用のある熱視線、痛覚麻痺による驚異的な耐久性、変身者自身の過剰なアルコール中毒、念動力(ハイドープ
【メモリ】 アルコール
【綴り】 ALCOHOL
【頭文字デザイン】 アルコールを溜めた硝子瓶(A)
【モチーフ】 アルコール
【生体コネクタ位置】

【詳細】

翔太朗とフィリップが遭難した豪雪の風吹山近辺に出没する謎のドーパント(ちなみに彼らが遭難した要因は、山の天候が不安定な時期にフィリップが検索して知的欲求が高まった品種の茸狩りに向かったから)。

「アルコール」の記憶を宿した身体は対菌防護服を思わせるブヨブヨで大きな体型をしており、内部は透明なアルコール液に満たされ、透明な頭部の中に実体化した単眼がある。また、身体の各所に酒の栓のような金属パーツが確認できる。
体表から常にアルコール成分が漏れ出しており、相手の身体に付着したアルコールを単眼の熱視線で引火させて焼殺する能力を持ち、アンバランスに肥大化した右腕が繰り出す怪力も侮れない。
また、変身者自身が極度の泥酔状態で単調ながら攻撃の予測が困難であり、尚且つ痛覚が麻痺しているのでいかなる攻撃にも怯まない。

遭難した翔太朗たちを保護した鏡野家の屋敷で行われていた奇怪な宴(当主の空也の心を内面から射止める真の許嫁の座を狙い、4人の花嫁候補たちが仮面で素性を隠して求愛する)の裏で暗躍し、このドーパントに関わる数人が命を絶った(理由は後述)。


当初は、宴の裏で何らかの目的を持った人物一人が変身していたものかと思われていたが、実際は上記の花嫁候補の4名全員がこのメモリの使用者であり、以前のバード・ドーパントの事件のように1本のメモリを複数人が使い回していた。

実はこのドーパントが変身に用いていたガイアメモリは、嘗ての仮面ライダーたちの強敵「ウェザー」が使っていたものと同レベルのシルバーランクの準幹部級。
強大なパワーを持つ反面、不適合者への副作用が大きく、使用者は過度の酒を摂取したかのようなアルコール中毒に見舞われ、最悪の場合、不気味な笑顔を浮かべて急性アルコール中毒で死亡してしまう。

これらはすべてアルコールメモリの「真の所有者」がメモリに込めた「邪念」によって引き起こされた悲劇であり、彼女たちはメモリを手にするとドーパントの力に魅了され、他のライバルを殺したくなる殺戮衝動に駈られてしまう。
宴の「花嫁の選抜」というのも建前で、彼女たちは最初からこのガイアメモリの人体実験のために寄せ集められていた(ただし後述のように真の目的もある意味、「花嫁の選定」とも言えるが)。


【久保倉環奈】

猛吹雪の中を彷徨っていた翔太朗たちを屋敷の窓から発見し、屋敷内に匿うように進言した女性。

実は部屋に置かれていたメモリを見つけてしまい、無意識に最初に実験体のアルコール・ドーパントになった人物。
しかしメモリと体質が合わず、屋敷を人知れず徘徊してすぐさま拒絶反応を起こして変身を強制解除し、気を失ってしまった。
余りにもメモリとの相性が合わなかったことが幸いしてか、本来の不適合者として想定された中毒死は避けられたが、「酔いつぶれ」に近い状態で変身した前後の記憶が抜け落ち、今回の事件のアリバイが無かったことで周囲に怪しまれてしまう。

【財前暦】

関西出身の芸者。
屋敷の廊下で環奈がドーパントの姿が卒倒した場面に偶々居合わせ、彼女が手放したメモリをネコババしてその場を去った。

その後、野外で蛍を殺害しようとドーパントに変身するが、変身した副作用で即座にアルコール中毒に襲われ急死。

【有藤蛍】

元グラビアアイドル。
アルコール・ドーパントに変身した暦に殺されそうになるが、彼女が死亡したことでメモリを奪い取り、その場で第3のアルコール・ドーパントに変身する。

変身したことで恍惚とした感情に支配され、事切れた暦の亡骸を樹木の枝に串刺しにして弄んでいたが、現場で翔太朗たちと鉢合わせし、あたかも「このドーパントに暦が殺害された」という構図ができあがってしまった

4人の候補の中で唯一、翔太朗たちと遭遇した個体で、彼らが変身したWと交戦。
サイクロンジョーカーの身体にアルコールの体液を付着して引火させるが、敵の攻撃に気付いたフィリップによってヒートジョーカーに変身されたことで相殺されてしまう。
ヒートの能力で逆に自分の肉体が炎上させられても動じなかったが、突如一帯の雪原を蒸気にする目晦ましで撤退する。

その後、空也を巡って口論になっていたくるみと浴室で鉢合わせになり、再度ドーパントに変身して殺めようとするが、今度はメモリに耐えられず全裸で暦と同様に中毒死した(フィリップの推理によると「風呂場で血行が良くなっていたことも死因の1つ」とのことだが、身体そのものがアルコールに変化するドーパントでは血流も何もないと思うが)。


【難波くるみ】

風都の歓楽街で働く女性。
上記の蛍が死亡したことでメモリを拾い、新たな所有者へ。

環奈が置手紙を残して宴をドロップアウトしたことで、空也の意中の相手が彼女だと知り、嫉妬に追跡してメモリの力で殺そうとする。
ところが、実は事件の真相に気付いた翔太朗たちのブラフであり、環奈に変装していたフィリップに阻止され、メモリも取り上げられてしまった。

候補者の中で唯一ドーパントにならずに済んだ人物であり、フィリップたちから自分たちが人体実験に利用されていたと知ると正気を取り戻し、謎の怪人軍団の襲撃に環奈とともに潔く避難した。

良くも悪くも金にがめつい守銭奴で、今回の事件に巻き込まれたのも鏡野家の財産を狙った自分の欲が招いたものだと自認している割り切った性格。
一方で、根は面倒見のいい善人で、殺そうとした筈の環奈とは事件解決後に、悩んでいる彼女を自分の店に誘おうとするなど、意外と打ち解けたらしい。

【鏡野キク】

鏡野家当主空也の祖母。
アルコールメモリの真の所有者で、今回の雪山の惨劇を企てた真犯人

「年季が違う」と自負するほどガイアメモリの使用歴は長く、それ故、人間の姿のままでも周囲の物体をサイコキネシスのように浮遊させて操るという「ハイドープ」としての進化兆候がある。

園咲家とはフィリップ(来人)が転落死してガイアメモリ生産に着手する以前から交流があり、家族ぐるみで村に遊びに来た幼少時代の彼とも面識があった。
裕福なボンボンだった孫の空也は、「没落貴族である自分の家は屋敷に残された物品を売りさばいて生活費を賄っている」と思い込んでいたが、実際は彼女がドーパントとして旧組織のミュージアムに自分の身体を提供していたからであり、本人曰く邪魔者を密かに排除したりと長年に渡って一族の繁栄を守るために色々と手を汚していたらしい。

強力なドーパントでありながら、その行動原理は自己欲ではなく鏡野、ひいては空也に注いでいる愛情から来ており、今回の花嫁たちを実験のモルモットにしたのも死期が近い自分の身を悟り、「自分の後を継いで、アルコールメモリを真に扱える人物を見つけ出す」のが本当の目的だった。

屋外でフィリップがくるみから没収して服にしまっていたガイアメモリを力で引き寄せ、屋敷の大広間に座して正体を明かす。
真相を知って愕然とする空也に、上記の動機や彼を家族として本当に愛していたと吐露するも、正体を知られたことでアルコール・ドーパントに変身し、Wと交戦する。

当初はサイクロンジョーカーの姿の翔太朗は苦戦していたが、彼が戦い辛かった本当の理由を察したフィリップが召喚したエクストリームメモリにより、エクストリームに変身。
「ビッカーチャージブレイク」を受けても痛覚を感じず動じなかったが、実はその斬撃はドーパントと融合したメモリを露出させるための仕込みで、続けざまに「ダブルエクストリーム」で実体化したメモリそのものを破壊されて敗北。

直後、翔太朗たちが選んだ戦術が、「老婆である彼女の肉体にかかる負担を可能な限り軽減してメモリブレイクする方法」だったと聞かされ、敵である筈の自分を労わる甘さに天晴だと感服する。
ところが、最初から自分が負けた場合に想定していたプランだとして、共犯者だった他の執事が屋敷を放火。

最期は炎上する広間から、これからは自らの力で強く生きるようにと切望しながら空也を念動力で屋外まで弾き出し、彼の身柄の安全をWに託して崩落する屋敷の中で焼死した。


最終更新:2018年07月18日 20:08