「変幻自在の戦士とは俺のような者のことを言うんだよ、前時代の遺物の仮面ライダーくん。」
【名前】 |
パズル・ドーパント |
【読み方】 |
ぱずる・どーぱんと |
【登場作品】 |
風都探偵 |
【登場話】 |
第28話「pは悪魔だ1/彷徨う右腕」~ 第37話「pは悪魔だ+α/それでも街は生きている」 |
【分類】 |
ドーパント |
【能力】 |
本体のパーツ分割、他人からのスキルの譲渡と利用、頭部から練り出す武装、触れた相手の身体ステータスの把握(ハイドープ) |
【メモリ】 |
パズル |
【綴り】 |
puzzle |
【頭文字デザイン】 |
P字に構成されて崩れかけたパズル |
【モチーフ】 |
パズル |
【生体コネクタ位置】 |
不明 |
【詳細】
「パズル」の記憶を宿した
ドーパント。
名前の通り、自分の身体を複数のパーツに分割させることができ、それぞれが独自に浮遊して活動できる。
なお、分裂後の意識は何故か頭部ではなく右腕のパーツに宿っており、この部位のみで風都に出没しては「謎の喋る右腕」として暗躍していた。
全てのパーツが集合した本来の姿は
ジーンやテラー等のようにボディの起伏が少ない全身タイツのようなシンプルなものだが、腕はこの状態でも二の腕辺りで隙間を空けて浮遊しており、頭部は所謂「テトリス」の図形を組み合わせたような独特の輪郭をした平面板に獅子の鬣の如く顔をはめている(この平面板の形状は後述の能力の切り替えなどによって構造が組み変わる)。
曰く、元々は闇バイヤーからメモリを購入した野良の
ドーパントで、当初は悪事を働いたとしてもバラバラになる身体を利用して窃盗や誰か脅かすといった姑息なものだった。
しかしある日、自分のメモリに「
他人の技能を自分のピースの一部のように組み込める」という本質がある事に気付いて人々の腕を収集(この能力に気付いた頃には腕が二対になったという)、本人が修学旅行の頃に魅了されたという千手観音像に喩えて「万能の神」になることを目論む(ただし、千手観音は神ではなく仏である)。
具体的には自分の身体の一部らしき掌サイズの立方体を相手に触らせると、その者の腕を使った才能を回収する。より厳密に言えば相手から完全に「奪っている」のではなく能力を「コピー」しているに過ぎないが、同時に
オリジナルの相手の腕を「封印」しており、結果的に能力を譲渡させている。
腕を奪われた人間は手首の断面図が見えるように腕が透けてしまい、「物を掴む」といった日常行動に支障は無いが、奪われた才能に関する動作だけが不可能になってしまう。
奪った才能は戦闘にも応用が効き、能力を収納した箱を自分の身体に取り込むことで握力やパンチ力など、腕のスキルを変動させたオールラウンドの戦法を取る(因みに箱や発動中の腕には奪った人間を現すイニシャルが刻印されており、これで識別している)。
また頭部の平面パーツの一部を粘土のように変形させて使用中の能力に見合った武具を形成する。
ただし、この能力を発現するには元来「奪う相手から承諾を得る」という制約があったのだが、
ガイアメモリの隠れた力を覚醒させたことがオーロラの目に止まりスカウトを受ける。
裏風都から資金を提供され(缶ジュースを買う感覚で億単位が動くとのこと)、この大金でターゲットから腕を「買い取る」という異常な人身売買を行ってきた。
この異常な行動は「求めた物は大金をはたいても即座に我が物にしたい」という強欲さに起因し、その性格から同時に
裏風都の正式な住民の証である「
ガイアドライバーrex」を欲し、自分の株を上げて幹部に認めてもらうよう打倒
仮面ライダーを画策する。
腕を買い取らせた人物の一人、漫画家志望の菅生伝一郎が大金に目が眩んだ自身に後悔し、「もう一度大好きな漫画が描けるように右腕を取り戻して欲しい」という依頼を鳴海探偵事務所に持ちかけたことから翔太郎たちが調査を開始。
ときめとともに街の聞き込みをしていた彼の前に全身を合体させた姿で自ら出現し、変身したダブルと交戦する。
そのまま竹林まで移動し、サイクロン
ジョーカーの肉弾戦と互角に渡り合い、さらに能力の片鱗を見せつけるかのように奪った人々の「才能」を自分の腕に取り換えた様々な攻撃でダブルを襲う。
それどころか、何故かメモリチェンジして応戦したり、本人らも初めて試す不意打ちの「挟み撃ちの
ジョーカーエクストリーム」も即座に見抜いて叩き落とし、一方的に追い詰める。
だが、余りにも「相手の動作を先読みしすぎている」という異常事態に何かに気付いたフィリップが一時的に変身を解いてエクストリームメモリを介して現場に急行。
「自分の仮説を立証したい」という彼が変身したファングジョーカーに選手交代したダブルと戦闘を再開する。
すると先程までの強さが嘘のように劣勢に強いられ、使用したフェンシングの才能を込めた箱も容易く奪われてしまうと、自分のパーツから作った爆弾を破裂させた隙に裏の風都へ撤退する。
その後、風都イレギュラーズ総出で見つけた伝一郎と同様の被害者たちが事務所に呼び集められ、フィリップが示した真犯人の顔写真に被害者全員が満場一致で接点があったことで正体が発覚、
表向きでの仕事の後片付けをしている最中に、翔太郎たちに乗り込まれる。
実はこの
ドーパントの正体は依頼人の伝一郎を始め、被害者全員が診察を受けていた整骨院の院長、ポール東城。
人間のままでも
ハイドープとして「触れた人物の身体情報を理解する」という特殊能力を開花させている。
上記の翔太郎がベースのダブルを一方的に追い込んだのも、既に聞き込みの訪問がてら施術を受けた彼の身体に触れて「動きの癖」を事前に熟知していたからであり、フィリップの推察通り肉体ベースが別人に変わるファングジョーカーでは対処できなかった。
また同時にこの
ハイドープは自分の目的の遂行に重宝しており、触れた患者の中から腕の才能にジレンマを抱える人物を品定めしては、交渉のターゲットにしていた。
正体が発覚すると、「数多の腕を持つ神になる」という自分の動機を語って
ドーパントに変身。
一度分解した身体で屋外に逃走し、追いかけた翔太郎たちの目の前へビゼルを発動して
裏風都への逃亡を図る。
しかし、「調子に乗って警告していた
仮面ライダーに手を出した挙句、自業自得に自分の正体を明かされて追い詰められた」という失態から現れた雪侍にビゼルの機能を無力化されてしまう。
だが、その処置が「ペナルティ」ではなく「ステップアップ」だとして、汚名返上の暁にビゼルのランク上げを約束されると、体勢を立て直すために素直に何処かへ飛び去って身を隠し、街の陰で
仮面ライダーの暗殺を企てる。
実は被害者の一人だった筈のピアニスト奏利津子は東城に腕を奪われたにも関わらず彼を心酔する手駒であり、彼女の芝居で先に誘拐していた伝一郎を監禁している廃ビルに翔太郎をおびき寄せ、二人共々床に偽装してたパズルボックスに封じ込める。
利津子を含め、自分と交渉した人物の8割は腕を対価に得た大金に満足していると豪語し、更には腕を返してほしいと懇願する伝一郎を罵倒し、このトラップを偽装できた繊細さも自分が持つから価値があると彼の夢を侮辱する。
その発言に怒りを覚えた翔太郎の視線の圧に一瞬動揺するが、パズルパーツでドライバーを封印して変身能力を奪った彼が今更抵抗しても最早無意味だとあしらい、自動で収縮していく処刑ボックスに彼らを閉じ込めたまま放置してその場を去る。
今度はフィリップの方を仕留めようと探偵事務所に姿を見せるが、翔太郎と連絡が取れなくなった事を不審に思ったときめに事前に呼ばれていたアクセルに妨害される。
アクセルを狙って乱入してきたスクリームが相手を引き受けている間、変身できずファングメモリとエクストリームメモリで抵抗する生身のフィリップに襲い掛かるが、殺して来た筈の翔太郎が放ったスタッグフォンの体当たりに妨げられる。
破壊不可能と思われたボックスの中で翔太郎は
ジョーカーメモリをスタッグフォンに装填し、強制的に暴走させたスタッグのマキシマムドライブから伝一郎の身柄を身を呈して守りきる捨て身の策で脱出に成功していたのだ。
二人揃ってエクストリームになるところだったが、心の奥底で怒りを煮え滾らせた翔太郎の心情を察したフィリップも承諾して基本形態のサイクロン
ジョーカーに変身したダブルと戦闘に入る。
既に動作を知り尽くしている上に手負いの翔太郎の肉体がベースだと油断していたが、
ジョーカーメモリに秘められたメモリの本質によりダブルの戦闘力が自分の予測を上回り、ヒートやルナにチェンジする
ジョーカー系のフォームに圧倒されていく。
最終的にルナジョーカーの「ジョーカーストレンジ」でメモリブレイクされ、神になる自分の野望が潰えた事実を受け止めれないまま失神、逮捕された。
その後はダメージの反動で警察病院で治療を受けているが、雪侍への異常な崇拝を語りながら黙秘を続けている(本人は「自分が秘密を漏らさないことを分かっているからメガネウラのように始末されない」と過剰な自信を持っているが、逆に救援に誰も差し向けられないことから完全に『街』に見放されたと思われる)。
因みにこのキャラクター、「宙に浮いて喋る右腕」という特徴から他の平成ライダーのアイス好きの鳥怪人を連想した読者も少なくないのでは?
最終更新:2020年04月13日 00:34