ドラスのなく頃に

「・・・・・あいてて、ちょっとばかし、やりすぎたかな・・・・・・?」
体の所々を抑えながら、樹海を進む少年が一人。
――――その名は、キング
キングは先程の戦いの傷を癒すため、ある場所を探していた。
つい数時間前まで、自分達がいた小さなログハウス。
其処で体の傷を癒す算段だった。
「・・・・・・・ここ、だね。」
目的の物が眼前に見えてきた時、天から声が聞こえてきた。
『あーあー、マイクテスト中。みんな聞こえてるー!?』
まるで子供のようなその声が、森の木々の間に木霊する。
内容は、正直あまり興味が沸かなかった。
この放送に対し、キングが思ったことはただ一つ。
「・・・・・・おもしろそうじゃん・・・・・・」
未知なる存在への、期待。
たったそれだけと言われればそれまでだが、彼を動かすには十分過ぎるほどだった。
「予定変更、あっち行こっと」
キングは踵を返すと森へ向かって歩き始めた。
これが三十分前。
「あれー?多分こっちだと思ったんだけど・・・・・・」
独り言を呟きながら木々を掻き分けていくと突然視界が拓ける。
どうやらやっと森を抜けたようだ。
「・・・・・・おぉう?・・・・・・あそこか。」
キングの先には、一つの建物。
外から見る限り中は広く、まるで何かの施設のようにも見えた。
「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか・・・・・・?」
まるで誰かに言っているように呟き、キングはその建物へ足を進めていった。


「・・・・・・誰も来ないなぁ。」
研究所の内部で、ドラスが呟く。
「もしかして、科学者を出すのが惜しくて、天道君を見捨てた・・・・・・とか?」
振り向き様に、冴子が壁に包まれている天道を挑発した。
「・・・・・・かも、な。だがこれだけは覚えておけ。お婆ちゃんが言っていた。心無い力を持つ者は、心の篭った力を持つ物に必ず滅ぼされる・・・・・・ってな。」
天道は天道で身動ぎ一つせずに祖母の言葉を紡ぐ。
「面白い子ねぇ・・・・・・あなた、オルフェノクになってみない?あなたなら私みたいにいいオルフェノクになれると思うわ。」
冴子は天道の頬に手を添えながら詰め寄る。
右手には愛用のサーベルを構えながら。
「お断りだ。お前のような悪意の塊になるなどな・・・・・・それに・・・・・・」
一瞬、天道の脳裏に巧の姿がよぎった。
「それに・・・・・・オルフェノクになっても、人間の心を失わなかった奴を俺は知っている。」
静かに、はっきりと。天道は強い目と口調で言い返した。
「ハッハッハッ、強気だね。まぁ、見捨てたって事はないと思うよ。」
ドラスが表情のない顔で嘲笑う。
「あら、何でそう思うの?」
疑問に思った冴子が聞き返す。
「だってあの人たち、お兄ちゃんに似てたからね。きっと助けに来る。」
お兄ちゃん。それはドラスの内側にいる麻生勝のこと。
似ていると言うことはつまり、内に秘めた正義感が天道を見捨てることはできないと言うこと。
合点がいくと、自然と口元が綻ぶ。
「どうしたの?冴子お姉ちゃん。」
ドラスの無邪気な声が聞こえてくる。
「いえ、何でもないわ。」
すぐに顔を元に戻し、ドラスへと顔を向ける。
直後、何かの気配を感じた。
耳を済ませると、遠くに何かが聞こえる。
コッ・・・・・・コッ・・・・・・コッ・・・・・・
「・・・・・・誰か、来たみたいだね。」
研究所内に響く乾いた足音。
ドラスもそれに気付いたのか立ち上がる。

カチャリ、とドアの開く音。
その影から、その場に不釣合いな少年が顔を出す。
「割と少ないんだね。もう少しいると思ったのに。」
その少年――――キングは、ドラスに向かって言い放った。
「あら、坊や。何の御用かしら?」
妖艶な笑みを浮かべながら、冴子はキングに話しかける。
「別に。ただ、面白そうだったからさ。」
口元に小さな笑みを浮かべると、ドラスが口を開く。
「ねぇ、君。名前は?僕はドラス。こっちが冴子お姉ちゃんで、あれが天道総司って言うんだ。」
ドラスはそれぞれを指差し、説明する。
「僕の名前はキング。ねぇドラス、さっきの放送って君たちだよね?」
短く頷くドラスをよそに、冴子が口を挟んでくる。
「・・・・・・それで、結局何しにきたの?戦いたいのかしら?」
「ハッハッハッ、用心深いね。でも、向こうは戦うどころじゃないみたいだよ?」
そう言われ、改めてキングを見る。
所々が破れ、緑色の血が滲んだ服。
今だって、脇腹を左手で押さえている。
軽い口調だが、そのダメージは尋常ではないだろう。
――――疑りすぎか。
「ごめんなさいね。変なこと言って。」
「別にいいよ。さっきも言ったじゃない。面白そうだったからって。ねぇ、僕も混ぜてくれない?」
緊迫した空気の中で、キングがとんでもないことを口にした。
「・・・・・・つまり、あたしたちの仲間になるって事?」
冴子が聞き返す。おそらく胸の内は半信半疑だろう。
「そ。いいだろ?こう見えても結構強いよ?」
ひらひら手を振り、淡々と話すキング。
するとドラスが、立ち上がって其処まで歩み寄った。
「・・・・・・何だよ。」
キングが少しだけ引くと、鋼で構成された腕を差し出してきた。
「いいよ、仲間に入れてあげる。」
子供のように少し頭を傾けながら、言い寄って来るドラス。
「ドラス君、本当にいいの?」
「大丈夫。強いってのは嘘じゃなさそうだし、何より僕と気があいそうだもん。」
ドラスのあまりに子供らしい理由に、冴子は若干呆れ、キングは自然と口元が歪んでしまった。
「これからよろしくね、キング君。」
「こちらこそ、ドラス。」
二人は、互いの手を硬く握り合った。
「これで三人。もう、負けるようなことはないわね。」
目の前にいる二人を交互に見ながら、冴子が口を開く。
「そうだ。ちょっとやってみたいことがあるんだけど、いいかな?」
「ん、何かな?」
突然、ドラスが言い、キングが返事をする。
「まぁ、見ててよ・・・・・・フンッ!」
言葉と共に力を入れると、ドラスの両手から二つ、光の玉が飛び出した。
「これ、なぁに?」
「・・・・・・さぁ?」
いかにも不思議といった感じの冴子とキング。
――――――――その時だった。
光の玉が膨らみ始め、見る見るうちに二つの存在を形作った。
「「グ、オゥウォウアゥアォオオゥァァァッッッ!!!」」
二匹の化け物――コウモリ男とクモ女――は、言葉で表せないほどおぞましい叫びを上げた。
「・・・・・・驚いたわね。ドラス君、こんなことも出来るなんて。」
何処か楽しそうに冴子が言う。
「これならますます心配ないじゃない、アッハハハハッ!」
「そうだねぇ。そもそも最初から心配なんかしてなかったけどね、アッハッハッハッハッ!」
キングがさも嬉しそうに笑い、ドラスもそれにつられて笑う。

惨劇という名の宴の準備は整った。後は、時が来るのを待つだけ。
――――その脇で、天の道を往く男は考えを巡らせていた。
(・・・・・・面倒なことになったな。あのキングとか言う男はともかく、
あの二匹の化け物は流石の俺にも予想外だったな。これで五人。
皆に情報が行き届いていない以上、ここは俺が何とかするしかない。
今はまだ動けないが、いつか必ず一泡吹かせてやる。
この俺を人質に取ったことを後悔するんだな。
お婆ちゃんが言っていた。どんな闇の中にも、必ず光はある、ってな。)

絶望の中に、一筋の希望が生まれた。
まだその光は儚いが、いつか――――――――。
【ドラス@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:軽傷。左肩に音撃傷(本人は気づいていない)。最高に『ハイ!』って気分。一時間半戦闘不可?
[装備]:怪魔稲妻剣
[道具]:首輪(麻生勝)。配給品一式×4(ドラス、立花藤兵衛、麻生勝、天道)。
    ラウズカード(ダイヤの4、8。クラブの7。ハートの3、4、7。スペードの4)。
    ハイパーゼクター。ベルト(カブト)
[思考・状況]
1:第三回放送まで天道の仲間を待つ。
2:望月博士なしで神になる方法を考える。
3:首輪を外しこの世界を脱出する。
4:首輪の解除のため、冴子を利用する。
5:他の参加者は殺す。ただし、冴子とキングには興味あり。

[備考]
※1:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
※2:ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
※3:麻生は首輪が外れたため、死亡扱いになりましたが、ドラスの中で生きています。
ただし、ドラスが死ぬと麻生も死にます。
※4:赤ドラス化は能力発揮中のみ使用可能です。通常時は普通のドラスに戻ってしまいます。
※5:GM-01改4式(弾切れ)と拡声器はD-6エリアに放置されています。
※6:制限が緩められ、戦闘時間、戦闘不能時間に影響があるかもしれません。
※7:コウモリ男とクモ女は首輪をしていないため、個々の能力は十分使えます。

影山冴子@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩にかなりの深さの裂傷。一時間半は変身不可。
[装備]:オーガドライバー(オーガストランザー付属)
[道具]:首輪(園田真理)。アドベントカード(SEAL)。配給品一式。
[思考・状況]
1:生への執着。ドラスくんなら、自分の望みを叶えてくれる?
2:ドラスくんとの取引にのり、首輪の解除方法を探す。
3:あきらと巧に復讐。
4:キングのことは全面的に信頼。
5:コウモリ男とクモ女に驚き。

【天道総司@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:ハイパーゼクター入手後。
[状態]:拘束状態(ZO本編の望月博士と似たような状態)。全身に拷問の痕。重症。一時間半変身不可。
[装備]:なし。
[道具]:なし。
[思考・状況]
1:この拘束状態から脱出する。
2:ドラスたちを倒す。
3:乾、あきらをはじめ、皆の守りたい人との合流。

[大集団全員の共通事項]
時間軸にずれがあること、異世界から連れてこられたことは情報として得ました。
仲間である人物と敵であろう人物の共通認識がされました。
小沢が求める設備はD-6エリアの研究所が有力ですが、他に存在するかは後の書き手さんに任せます。

【キング@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:市街地D-6】
[時間軸]:キングフォーム登場時ぐらい。
[状態]:全身に負傷大。疲労大。一時間半変身不可。
[装備]:携帯電話
[道具]:なし
[思考・状況]
1:楽しそうなことになった。超楽しみ。
2:レンゲルとのゲームのため、ラウズカード探し。
3:この戦いを長引かせる。そのため、支給品を取り上げる。
4:戦いに勝ち残る。まだまだ面白いものも見たい。
5:北岡に興味。しばらくしたら、また会おう。

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最終更新:2018年11月29日 17:40