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歪み

目を開けると、視界に入ってくるのは青々とした樹木と、何処までも澄み渡る空。
眠ってから一体どれくらい時間が経ったのだろうか。
起きたばかりでまだ少しだるい体を起こすと、浅倉はデイパックから乱暴に時計を取り出す。

「・・・・・・・・・五時、か。」

時計を見ながら、何時に寝たのか確認していない事を思い出した。
デイパックから支給された食料を取り出し、口へと運ぶ。
欲を言えば“トカゲ”の肉を食べたかったのだが、それは後の楽しみとしてとっておく事にする。
口の中に広がる何の変哲もない味。
過去に食べた泥に比べればマシだが、些か不満が残る。
ふらふらと立ち上がり、当てもなく歩き出すと、木で出来た簡素な墓を見つけた。
おそらく先程自分が殺した北岡の墓であろう。
浅倉はその前にしゃがみこみ、それを見つめた。
「・・・・・・フフッ、ハハハッ・・・・・・」
口から笑いが零れてくる。
あれほどしつこく戦い会っていた相手。
あれほどしつこく自分に関わった相手。

――――なのに、いざ殺してしまうととても呆気なく終わってしまった。

「あんなんで死ぬのか・・・・・・案外弱ぇなぁ・・・・・・え?北岡ァ?」
その墓にそっと手を添える。
一瞬だけ、今までの北岡との戦いがフラッシュバックした。
数え切れないほどの戦い。ここへ来てからの戦い。
その末に勝ち取った勝利。
嬉しさと達成感が心を埋めていき、体を揺らす。
「・・・・ハハハハハハハハハ!」
喜びのあまり、つい大声で笑ってしまった。

――その瞬間、心の奥にに黒い感情が生まれた。

ジブンガコロシタ。
ヤットコロセタ。
デモマダタリナイ
マタタタカイタイ。
モットモットタタカイタイ。

――――耳鳴りがする。鼓膜が破れそうなほどに。

デモムリダ。
モウ、ニドト。
ニドトタタカエナイ。

――――体が小刻みに震え、焦点が合わなくなってきた。

ナゼ。
ジブンガコロシタカラ。
コノテデコロシタカラ。

――――渦巻いてく感情。口から漏れる笑いは、歓喜めいた物からだんだん狂気に満ちていく。

イヤダ。
イヤダイヤダイヤダイヤダ。

体の奥で何か聞こえる。
忌まわしい鎖から自分を解き放つ音。
本来の自分。実際の自分。
ただ純粋な「破壊衝動」のみを動かす音。

「・・・・・・ハハハ・・・・・・ハハハハハハハハッ!!」
金棒を手に、視界に入るもの全てを壊していく。
「ウガァッ!」
北岡の埋葬された墓も。
「ガァゥッ!!」
暖かく、温もりが溢れる土も。
「ァア゛ァア゛ア゛ァァァア゛ァァッッ!!!」
蒼さが目に眩しいほどの葉をつけた樹木さえも。

体全体で深呼吸をする。
「・・・・・・ゥァアッ!」
短く吼え、金棒を森へ投げつけた。
何かが自分を支配していく。
まだだ。
まだ戦い足りない。

津上も。
あきらも。
ストロンガーも。
なんなら神埼士郎でもいい。
殺してやる。
戦って、戦って、その上で殺してやる。

コロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤルコロシテヤル

一分一秒でも早く誰かと戦い、そして殺したい。
その欲望が頭の中を埋めていく。
――――遠くから轟音が聞こえる。
其処に行けば誰かいる。
自分の欲望を満たしてくれる者達が。

「ハ、ハハハハハハハハハハハハァァッッ!!!」

全てを開放した蛇に、最早光は無い。
在るのは、淀んだ虚無の闇だけである。

――――蛇は気付かなかった。
その目から、悲しみの涙を流していたことに。
【浅倉 威@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午後】
【現在地:樹海C-5】
[時間軸]:本編終盤辺り。
[状態]:抑えられない殺人衝動。左目負傷、全身に大程度の負傷(打撲、火傷など)、大程度の疲労。腹は満腹。
[装備]:デルタフォン、デルタドライバー。
    カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)。
[道具]:ファイズブラスター。三人分のデイバック(風見、北崎、浅倉)。
    グランザイラスの破片。カードデッキ(ゾルダ)。
[思考・状況]
1:アギトもストロンガーもあきらも皆、殺す。
※音撃金棒・烈凍はC-5エリアの森に放置されています。

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最終更新:2018年11月29日 17:41