決意 ◆Z5wk4/jklI
『ご両親を助ける事が出来るかもしれませんよ』
「あの金髪野郎。ふざけた事言いやがって」
脳裏によぎる声に、映士は腹立ちまぎれに砂を蹴り上げた。
耳元で囁かれたのは、誘惑の言葉だった。
殺し合いに乗り、優勝を目指せ。そうすれば、お前の両親を生き返らせてやろう。
それがお前の望みだろう。
ロンは、言外にそう告げていた。
昔、父親を亡くしたばかりの頃、あるいは、たった一人、アシュ退治に明け暮れていた頃ならば、
その言葉に、僅かでも揺らいでいたかも知れない。
だが、今の彼に揺らぎはなかった。
――親父も、お袋もそんな事望まねぇ。それぐらい、俺様にだって分かる――
かわりに今の彼の心を占めているのは、別の感情だった。
家族の目の前で、父親を殺し、その死を嘲っていたロンヘの怒り。
その光景を目の当たりにしながら、何も出来なかった自分への憤り。
そして・・・
「動かないで!!バックを捨てて」
物思いに沈んでいた彼の意識を引き上げたのは、制止する女の声と、背後で引き起こされる撃鉄の音だった。
「最初から、大して動いてねぇがな」
軽口を叩きながら、ゆっくりとバックを下に落とした。
そして、気取られないようにボウケンチップを取り出すと、声が聞こえた方に投げつけた。
「いったーい!!きゃー!!」
殺し合いをしようという人間にしては、あまりに間の抜けた甲高い声に映士は思わず振り向く。
・・・目にしたのは、チップの当たった衝撃で砂に足をとられ、見事にスッ転んだ女の姿だった。
「あいたた。あ、痕になってる。ひどいな、もー」
座り込み、チップの命中した手をさすりながら、女―胡堂小梅は、非難がましい目で映士を見た。
「いきなり、人に銃なんか突きつけやがるからだ」
先程、投げつけたチップをもてあそびながら、映士は言い返す。
「だって、貴方が良い人か、悪い人か判らなかったし。とりあえずと思って・・・ごめんなさい」
そう言うと、小柄な体をさらに縮こまらせるようにうなだれた。
その姿を見て、映士は確かめるように尋ねた。
「あんたは、殺し合いには乗ってないんだな?」
その言葉に、小梅は伏せていた顔を勢い良くあげる。
「当たり前じゃない。早く皆と合流して、こんな事、絶対止めさせるんだから。貴方は?」
「俺様は、こんなくだらない事には乗らねぇ。似たようなもんだな」
それを聞くと小梅は微笑み、手を差し出した。
「わたし、胡堂小梅。宇宙警察のデカピンクよ」
「高丘映士、ボウケンシルバーだ」
差し出された手を取りながら、映士も名を告げた。
今の彼の心を占めるのは、3つの感情。
ロンへの怒りと、自分への憤り、そして・・・
――あの時に終わったはずだった。だが、もう一度、俺様の前に現れるというなら、今度こそ――
高丘の使命、ガイとの決着を着けるという決意だった。
【名前】高丘映士@轟轟戦隊ボウケンジャー
[時間軸]:Task42以降
[現在地]:J-6海岸 1日目 深夜
[状態]:健康
[装備]:ゴーゴーチェンジャー
[道具]:ボウケンチップ、後は不明
[思考]
第一行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
第二行動方針:ガイと決着を着ける。
【名前】胡堂小梅@特捜戦隊デカレンジャー
[時間軸]:最終回後
[現在地]:J-6海岸 1日目 深夜
[状態]:手に軽い打撲、砂まみれ
[装備]:SPライセンス、拳銃、後は不明
[道具]:不明
[思考]
第一行動方針:良かった。悪い人じゃなさそう
第二行動方針:仲間と合流し、ロンを倒す。
最終更新:2018年02月11日 01:01