先月の事故を目撃して以来、自分の世界にこもることが多くなった。他人の存在を認知しても外界の人と見なし、関わる気にはなれない。そこにいるだけだ。ふらふらとほっつき歩くと(近頃はこれが私の歩き方として定着しつつある)、本屋があった。
パウワウワー。
最近静かなこの世界で、その音はやけに響いた。
そう言えば授業の課題図書を探さなければならない。
ろくに読めやしないのに。
目当てのものは幾つかあって、幾つかなかった。数冊を抱えてレジへと向かう。そこでは見知った顔が相変わらずの表情で店番をしていた。学部も同じだし、幾つか同じ授業をとっている。名前は知らない。パーソナルな事を知らないというのはつまり、相手を知らない。知らない相手とは関われない。ということで、声はかけない。そう決めると、彼はうっすら透けた。この世界の主人は私であり、私が存在を認めないと存在しないことになる。精算を進める慣れた手はしっかりしているが、腕辺りからグラデーションになって肩からはカウンターの向こうが見えるくらい透けてきた。
誰も私の心に住んでいないのだ。というより、住まわせられない。それほど狭い世界に私はしがみついている。
唯一認められる他のものと言えば、雨だろうか。ただ降る雨は、最近ずっと続き、じめじめと世界を湿らせる。
パウワウワー。
最近静かなこの世界で、その音はやけに響いた。
そう言えば授業の課題図書を探さなければならない。
ろくに読めやしないのに。
目当てのものは幾つかあって、幾つかなかった。数冊を抱えてレジへと向かう。そこでは見知った顔が相変わらずの表情で店番をしていた。学部も同じだし、幾つか同じ授業をとっている。名前は知らない。パーソナルな事を知らないというのはつまり、相手を知らない。知らない相手とは関われない。ということで、声はかけない。そう決めると、彼はうっすら透けた。この世界の主人は私であり、私が存在を認めないと存在しないことになる。精算を進める慣れた手はしっかりしているが、腕辺りからグラデーションになって肩からはカウンターの向こうが見えるくらい透けてきた。
誰も私の心に住んでいないのだ。というより、住まわせられない。それほど狭い世界に私はしがみついている。
唯一認められる他のものと言えば、雨だろうか。ただ降る雨は、最近ずっと続き、じめじめと世界を湿らせる。
空を見上げるのも飽きた頃、本が読めなくなった。大学の勉強に関する学術書のような内容ならかろうじて読める。しかし小説などは感情移入が出来ないのだ。どこか遠い話に捉えてしまい、惹き付けられない。結局さほど進まないまま諦めてしまうのだ。
自分は一人だ。それでいい。それ以上でもそれ以下でもない。
世界は真空パックのように、私の肌に張り付いて息が苦しい。生きにくいけれど、ここから出た世界はもっと生きにくい。
こんな私にも空はあって、それは主人に比べて大層広い。誰も私に構わないが(勿論私が構わないからだ)、ただ降る雨は私にも降る。せっかく降るのだから、私はきちんと浴びて帰る。傘など差さず、この雨は何処から来るのだろうと目を凝らしてみるけれど灰色が垂れ込めているだけだ。
梅雨は永遠にこの世界で居座るかもしれない。私が梅雨明け出来そうにないからだ。
何事も意思次第とは、何と幸せだろう。
自分は一人だ。それでいい。それ以上でもそれ以下でもない。
世界は真空パックのように、私の肌に張り付いて息が苦しい。生きにくいけれど、ここから出た世界はもっと生きにくい。
こんな私にも空はあって、それは主人に比べて大層広い。誰も私に構わないが(勿論私が構わないからだ)、ただ降る雨は私にも降る。せっかく降るのだから、私はきちんと浴びて帰る。傘など差さず、この雨は何処から来るのだろうと目を凝らしてみるけれど灰色が垂れ込めているだけだ。
梅雨は永遠にこの世界で居座るかもしれない。私が梅雨明け出来そうにないからだ。
何事も意思次第とは、何と幸せだろう。