二人の男女がもんじゃやき、とあざとい筆づかいで描かれたのれんをくぐりに入っていった。(改変余地蟻)暖かい空気に包まれ、女の頬に薄い紅色がぽう、とさす。店内のあちらこちらの鉄板からジュウッ、という食欲をそそる音が立ち上がっていた。女が一通りそれほど広くもない店内を見渡すとちょうど良い席を発見した、と男に一声かけその席に座るように促した。二人が腰を下ろすと初老の店員が水の入ったコップを運んできた。店員がご注文はお決まりになりましたら・・・。と言いかけたのを遮って
「店員さん、カップルデーコースでお願いします。」
と女が大きな声で注文をした。店内の空気がどよめいた。仕事帰りであろうサラリーマンの二人組み、先ほどまで試合の反省会をしていた丸刈り頭が六つ、そして一見おとなしそうな(どちらかと言えば暗そうな)少女これらが一斉に彼らのほうに視線を注いだ。が一番泡を食っていたのは男のほうであった。
「カップルで行こうっす・・・だと。ok,とにかくあんな目立つような声で注文したわけが聞きたい。」
男は掛けている眼鏡を押し込めるようにして顔を手で覆った。
「いや、かっこつけるふりしてその手の下にニヤケ面隠してるところ申し訳ないが今のオーダーには他意はない、君以外には。」
「店員以外の一般客にまで誤解される必要はないと思いますがね。」
「んにゃ、おかげで面白い状況になってきた。ほれ、あそこの一人スパイ大作戦を見ろ。」
そういうと女はテーブルの上にあったヘラで先ほどからこちら様子を伺っていた少女を指した。
男がへらの先を見ると少女がしきりにこちらの様子を伺っている。ほかの客は平静を取り戻し、この場合は装いといったほうが適切か、自分のもんじゃ焼きを焼いているのだが。
「で、あの女ボンドが何なんです。」
「うん、あれは私の命を狙っている殺し屋だ。」
男は女があまりにもとっぴなことを言うのでどう返したらいいものか思案して顔を伏せてしまった。
ーもう何がなにやら。ー
彼は入店早々帰りたくなっていた。が女はそんなことなどどこ吹く風で少々お花を摘みに、と男に断ると壁のトイレ←と書かれた張り紙に従い彼をひとり残して行ってしまった。
「店員さん、カップルデーコースでお願いします。」
と女が大きな声で注文をした。店内の空気がどよめいた。仕事帰りであろうサラリーマンの二人組み、先ほどまで試合の反省会をしていた丸刈り頭が六つ、そして一見おとなしそうな(どちらかと言えば暗そうな)少女これらが一斉に彼らのほうに視線を注いだ。が一番泡を食っていたのは男のほうであった。
「カップルで行こうっす・・・だと。ok,とにかくあんな目立つような声で注文したわけが聞きたい。」
男は掛けている眼鏡を押し込めるようにして顔を手で覆った。
「いや、かっこつけるふりしてその手の下にニヤケ面隠してるところ申し訳ないが今のオーダーには他意はない、君以外には。」
「店員以外の一般客にまで誤解される必要はないと思いますがね。」
「んにゃ、おかげで面白い状況になってきた。ほれ、あそこの一人スパイ大作戦を見ろ。」
そういうと女はテーブルの上にあったヘラで先ほどからこちら様子を伺っていた少女を指した。
男がへらの先を見ると少女がしきりにこちらの様子を伺っている。ほかの客は平静を取り戻し、この場合は装いといったほうが適切か、自分のもんじゃ焼きを焼いているのだが。
「で、あの女ボンドが何なんです。」
「うん、あれは私の命を狙っている殺し屋だ。」
男は女があまりにもとっぴなことを言うのでどう返したらいいものか思案して顔を伏せてしまった。
ーもう何がなにやら。ー
彼は入店早々帰りたくなっていた。が女はそんなことなどどこ吹く風で少々お花を摘みに、と男に断ると壁のトイレ←と書かれた張り紙に従い彼をひとり残して行ってしまった。