第零話 ~始まりの日~
目の前で、女の子がわんわんと泣いている。そんな彼女に対して何もすることができず、ただ唇を噛み締めて拳をわなわなと震わせている少年がその少女の後ろに立っている。しばらくして、どこからともなく声が辺りに響き渡る。それは男性とも女性ともわからない中性的で、どこか幻想的な「声」。
『もし、おまえがヒトの記憶を消せるとしたらどうする?』
その音が周囲に響き渡る。だがその場には少年と少女の二人しかいない。
『相手の苦悩を消してあげるか? それとも全てを消して人生をリセットしてあげるのか?』
少年が焦った様子で辺りを見渡す。だが、「声」の主はどこにも見当たらない。
『しかしそのどちらの選択もおまえ自身のエゴであり、優しさからくるものでもない』
『なぜならどちらも相手が成長するきっかけを潰すことに他ならないからだ』
『相手が本当に苦しんでいるとき、目を背けず一緒になって支えてあげることこそ相手への思いやりなのだ。』
まるで脳にこびり付いたかのようにその「声」が頭から離れない。そこで、少年は気が付いた。少女はずっと泣き続けていて「声」が聞こえている様子は見受けられないことに。つまり、この「声」は少年だけに届いて、響き渡っているのだ。その「声」はずっと少年だけに囁いていたのだ……。
『さて、改めて聞こう。もしおまえにヒトの記憶を消せる力があったらどうする? それを望むか?』
少年は決意する。その「声」を信じることを。そして、少女を、皆を、××することを……。
「僕は…………それでも、力が欲しい」
『よかろう、授けようではないか。おまえも相手も、誰一人として救うことのできない業火を……』
『もし、おまえがヒトの記憶を消せるとしたらどうする?』
その音が周囲に響き渡る。だがその場には少年と少女の二人しかいない。
『相手の苦悩を消してあげるか? それとも全てを消して人生をリセットしてあげるのか?』
少年が焦った様子で辺りを見渡す。だが、「声」の主はどこにも見当たらない。
『しかしそのどちらの選択もおまえ自身のエゴであり、優しさからくるものでもない』
『なぜならどちらも相手が成長するきっかけを潰すことに他ならないからだ』
『相手が本当に苦しんでいるとき、目を背けず一緒になって支えてあげることこそ相手への思いやりなのだ。』
まるで脳にこびり付いたかのようにその「声」が頭から離れない。そこで、少年は気が付いた。少女はずっと泣き続けていて「声」が聞こえている様子は見受けられないことに。つまり、この「声」は少年だけに届いて、響き渡っているのだ。その「声」はずっと少年だけに囁いていたのだ……。
『さて、改めて聞こう。もしおまえにヒトの記憶を消せる力があったらどうする? それを望むか?』
少年は決意する。その「声」を信じることを。そして、少女を、皆を、××することを……。
「僕は…………それでも、力が欲しい」
『よかろう、授けようではないか。おまえも相手も、誰一人として救うことのできない業火を……』
遠い日の誰かの思い出。少年にとっての運命の分岐点であり、少女にとって破滅への第一歩の日。その日を境にして、少年は決して償えられない罪を右手に背負った。決して許されない罪を……彼は犯したのだ。