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1スレ目395


「へっくちっ!」
「なんだなんだ。裸王、風邪か?」
「ちょっと夜寝ぼけて能力使っちゃて余りの寒さに……って陸、あんた何言わすのよ! それに裸王は止めて」
「裸王が勝手に言ったんだ。あ、半径5m以内に近づくなよ。風邪をうつすなよ」
「ふんだっ。私だって近寄りたくないからちょうどいいわよ」

俺はしっしと手で追い払う動作をしながらパンを齧る。
うむ。学校の昼休みに屋上で食べる、この揚げパンのカリッとした触感は最高だ。

「それで、パンも買ってきたし、もう行っていい? 」

露骨に冷たい視線を向けてくる裸王。それも俺にとってはそよ風のような物。
パンを食べながらあっさり頷く。
ほっとした表情を一瞬見せ、踵を返した少女はあっという間に視界から消えていった。
その鮮やかな逃げっぷりに俺は思わず苦笑する。

「まったく、嫌われたもんだなぁ」

その言葉自体はただの独り言。しかしその声に答える声があった。

『あいかわらずね、"ピーターパン"?』
「なんだ、聞いてたのか」
『定時連絡の時間。忘れてる?』
「ああ、そうだった」

そう俺は頷き、懐にある通信機を見る。
定時を知らせる青のLEDが光っていることを確認。

「あー、あー。こちら特に進展なし」

とりあえず適当なことを言う。

『あら、そう? 最近弛んでるわよ。年とって諜報稼業も飽きたのかしらね』
「さあな。そもそも俺にフェイヴ・オブ・グールの捜索まで回すなよ。
 俺の昼の能力『ピーターパン』と夜の能力『ディスガイズ』、どちらも戦闘には向かん。
見つかったら即殺されるぞ。そんなもんバ課に任せておけよ。
 こっちは本命の仕事だけで忙しいんだからな」

俺の自分の能力名をあえて言いながら通信相手に文句を向ける。
その通信相手はしれっとしたもので、

『あたいに言っても意味ないわよ。それにフェイヴ・オブ・グールの方は
別に主目的じゃないし。それで、本命の方も進展なし?』
「あー、まあ進展ありっていえばありだ」
『へぇー、どんな?』
「囮に使えそうな人材を確保した」
『……民間人に危害がでると色々後が大変よ?』

イヤホンから呆れたような声が聞こえる。しかし俺は笑って無視する。

「大丈夫だ。あんな能力持ちならなんも問題ないさ」
『へぇ? どんなすごい能力? もしかして本部の監視が必要なほど?』
「いや、そういう意味じゃない」
『……?』

疑問の声が聞こえる。俺はあえて一拍置いて、答えることにする。
きっと驚くだろうと思うと自然と笑みがこぼれた。

「一瞬で裸になる能力」
『……それは、性別どっち?』
「女。高校生。ってか今は同級生だ。たまたま能力発動した所に出くわしたが、
まだまだ幼さの残る顔立ちのくせに体は大人。出るとこ出てひっこむ所は引っ込んでいる。
それが、恥ずかしさのあまり全身真っ赤にしてるんだ。
正直、この俺で持ってしても性欲を持て余す。どうだ、今回の囮役としては最適だろう?」
『こっ、この変態!!』

ぶつっという音とともに通信が途切れた。
最後の怒鳴り声で耳が変な感じになるのを感じながら、俺も通信機を切る。

「……うーむ、怒らせてしまったか。話術には自信があったんだが、何がいけなかったんだ?」

よくわからないが考えてもしょうがないので、次の計画について考えるとするか。

「さて、今回の仕事もそろそろ終わりかねぇ。楽しめるといいがなぁ」

口元の笑みを止めようともせず、俺は昼休みの間、作戦を練った。

「くっくっく……夜が楽しみだなぁ」

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  • 桜香織
  • 加藤陸
最終更新:2010年06月15日 22:11
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