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1スレ目593


キンコンカンコンー

「うーん! あー終わったー!」

チャイムが響く中、私は思いっきり伸びをした。
やっと長い長い授業は終わり、放課後になったところ。
ついでに退屈すぎる教師の長話が終わって大あくび。
はしたないかもしれないけど、この解放感には変えられない。

「香織ちゃ~ん。今日はどこ行く~」

後ろでなんかふにゃらかした良く知った声が聞こえる。
振り返って見ると見知った親友の顔がそこにあった。
肩までかかるウェーブがかかった黒髪を揺らし、
縁のないメガネを持ち上げる彼女の顔を見るとかなり安心する。

「美柑、どうしよっか。まだ決めてないのよね」
「ん~。そうだね~。こないだ新しくできたカラオケ店に行ってみない~」
「そうだね。そうしよっか」

よっと声を出して、立ち上がる。
鞄の中はいつも通りほぼからっぽで軽い物だったり。
学校終わってから勉強なんてしないしね。
もちろん成績も下の上って所だけど気にしない。親には良く怒られるけど。

「よ~し。いこ~!」

元気よく号令をかけて歩く美柑と並んで校舎を出た。


放課後の帰り道。カラオケ店に行くまでの道で私たちは他愛もない話に興じる。
その中、ふと美柑は一つの話題を出してきた。

「あ~。でもいいのかな~。最近この辺色々危ないって先生言ってたよね~」
「あ、そうだね。凶暴な犬がうろついてたり、凶悪な犯罪者が潜んでるって話だよね」
「そうそう~。それに私たち位の女の子が何人も行方不明になってるって話も聞いたよ~」
「私は大丈夫だと思うけど、美柑は気をつけないと危ないかもよ」
「ん~。そうかな~? 大丈夫だよ~。私たちってしっかりしてるじゃない~?」

にこやかに笑う親友の顔をみて、思わず首をかしげてしまう。
どう見てもしっかりしてるようには見えないよね。
特に美柑なんて、淑やかな外見と柔らかい口調が男子に受けているらしく、かなり人気が高いんだから。
それでいて隙が多そうに見えるらしいし、変なのに絡まれないか心配でしょうがない。
そんな私の心の中を知らず、こくっと小首を傾げる。

「でも香織ちゃんはどこか抜けてる所がから危ないと思うよ~」
「……さりげに酷いこと言ってるわね?」
「あ怒った~? ごめ~ん。今度お弁当持ってくるからそれで許して~」
「大丈夫だって。あ、でも今度オカズは頂戴ね」
「わかったわ~」

びしっと親指を立てる美柑に私も応じる。
そう、美柑の料理はおいしいのだ。
なにせ美柑の夜の能力は"どんな料理でもおいしくする能力"、そして昼の能力は"料理をできたてにする能力"
私としては正直羨ましすぎる能力だったりする。
焼き肉ねるねる○るね巻き寿司なんて料理までおいしくなった時には、ちょっと複雑な気持ちになったけど。

そのまま肉のジューシーさとねる○るねの甘さとお酢の酸っぱさの絶妙なハーモニーまで回想したところで、
美柑がじっと私の方を見ている事に気付いた。
良くわからないので首を傾げてみせる。

「そういえば香織ちゃんの能力はまだわからないんだっけ~」

ああ、そのことね……正直思い出したくもないわね。

「……うん。まぁ」
「? あ、もしかして変な能力が発現しちゃった~?」
「……うっ」
「ま~、話したくないなら言わなくていいからね~」

私の一瞬の口ごもりから瞬時に答えを導き出されてしまった。
あーもう。妙な所でするどいんだから……
これだから美柑は侮れない。
とりあえず全力でごまかすことにする。

「ま、そんなことよりこの辺だよね。新しいカラオケ店って」
「うん、そう~。……あれ?」

何かに気付いたのか疑問系になった美柑。きょろきょろと周りを見回す。
その行動に私も異変を感じ、立ち止る。
何かおかしい。……さっきから人とすれ違っているのに私たちを気にしていない。
いえ、違う。これは、

"私たちのことを誰も認識していない"

強烈な違和感の正体を悟り、とっさに美柑の手を取ると走る。

だけど、もう時はすでに遅かった。
次の瞬間それは明確な悪意になって襲ってきた。具体的には上空から網が降ってきた。
ふってきた網にあっさり絡まれた私たちは転んでしまう。

「いた~い」
「いたた……なんなのよ、もうこれは!」

隣で半べそになっている親友がいる。これは私の方がしっかりしないといけない。
そう心に決め、なんとか網から出ようとしていると、路地裏から一人の男が現れた。

……覆面をしてて顔はわからない。というか、存在自体が希薄で、意識してないと見逃しそうになる。
多分、この男が何らかの能力を使っている。

「……おっ、これは久しぶりの上玉だな。いい金になりそうだ」

男は鼻歌を歌いつつポケットから機械を取り出す。

うそ、あれは……スタンガン!?

「あんた何者!?」

私の声にびくりと反応する。男が本気で驚いている。
まるで私が気付くと思っていなかったような反応だった。

「おー。ここまで僕のことを見れるのも珍しい。ま、僕も全力で能力使ってるわけじゃないけど」
「質問に答えて!」

私の声に男はおどけたように一礼し、覆面の上からもわかる嫌な笑みを浮かべた。

「僕の名前は"ゴースト"。はした金で悪いことしてるチンピラさ」

そう言った男は手に持ったスタンガンを押しつける。
うわ……これは……まずいかも……

「はいはいちょっと眠っててね。次起きたら、君たちには新しいご主人様がついてるよー」

そして、強烈な痛みと痺れを感じ、何も思うことなくそのまま意識を失った――


続くかも?

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最終更新:2010年06月23日 02:04
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