Sheryl Nome ~シェリル・ノーム~@Wiki

Plastic Girls

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~Plastic Girls~   Presented by 46-391


この物語は、マクロス正史のパラレルワールドです。
十分承知の上、ご覧下さい。



 ―― シェリル・N・ノームの日記。
 2058年、某月、某日。 晴れ。
 今日、お姉様と二人で久しぶりにショッピングに行ったわ。
 お姉様は相変わらず明るくて、お茶目で、優しくて私の髪を撫でてくれて「久しぶりだね」と笑ってくれました。

 ……ここだけの話、おじ様は正直、損をしていると思うの。
 だってこんなに綺麗で、こんなに優しくて、こんなに素敵なお姉様に思われてるのに、全くといっていいほど気づかないんだもの。
 どーしてあんなにおじ様って鈍感なのかしら? おじ様のこと、好きな人いっぱい居るのにゼンッゼン、気づかないの。
 皆おじ様が大好きだけど、おじ様はどうなのかしら。
 ……駄目、想像してみたけど絶対「俺の歌を聴けば俺の心なんて分かるだろ!」なんていうに違いないわ。


 ぱたん、とノートを閉じてシェリルはぼんやり今日あったことを回想した。
 テーブルの下に置かれている沢山の紙袋。 それらを見直して、思わず笑みがこぼれる。
 ああ、本当に今日はいい日だった!




「シェリルはやっぱりはっきりした色かな。 でもパステルカラーも髪に似合いそうよね」
「お姉様ー、まだ買うの?」
「あったり前!」


 ウインク一つ、両手には紙袋をもって立つお姉様は私の手を取って何がいいかな、なんて可愛らしく言っている。
 昔から、おじ様の元メンバーってことで良くしてくれるお姉様は私が帰ると凄く喜んで、おじ様の反対を押し切ってあちこちに連れて行ってくれる。
 洋服とか、お茶とか。 女の子同士の話とか。
 おじ様は呆れて「女ってわかんねー」と言っていたけれど、でもねおじ様。 私、お姉様が大好きよ。
 おじ様が一番なのは絶対今後全く変わらないけどね。 それでもお姉様も大好き。

「あ、これなんかどう?」

 灰色と黒のボーダーレギンスを見せて、お姉様は私に振り返って言う。 私もつられて、ええ、なんて笑っちゃう。
 決まり、と景気よくお姉様は言ってレジに走っていく姿を見送りながら、きょろきょろと店の中を私も見渡していく。
 スカートに、パーカーに、シャツ。 いろいろな物が置いてあって、おじ様とじゃ絶対に来ないようなお店に改めて感動だわ。
 お姉様は帰ってくると紙袋に、それを詰めて、シェリル、と私を呼ぶ。 思わず私も「はぁい」なんて返しちゃって、可笑しい。

 それで、お茶をしながら何気ない会話を沢山したわ。
 近況報告から始って、今度何がしたいだとか、これがしたいだとか。 そんな話。


「ね、お姉様?」
「なぁに?」

 アイスカフェラテにガムシロップを入れてかき混ぜるお姉様の肩にはお姉さまの一番の親友がいる。
 彼もまた、私のことを元気付けてくれたりいっぱいっぱい色々なことを教えてくれた人(……正式には生物?)だわ。
 私はオレンジジュースを持っていた手をフリーにして、テーブルの上で手を組んで、お姉様を見る。
 お姉様はアイスカフェラテを口につけながら、私の言葉をじっと待ってくれていた。

「お姉様は、おじ様のどんなところが好き? どうして好きになったの?」

 それを聴いた瞬間にぶはっと思わずお姉様はむせこんじゃったの。 凄く狼狽して、私の名を呼んで、口をまるで金魚みたいにパクパクさせてたわ。
 ……何かまずいこと言ったかしら? 首を傾げてもお姉様は首を振って大きな溜息を一つ。 けど、すぐに笑ってそうね、と笑って私の頭をぽんと撫でる。

「いつか、シェリルにも分かるわ」
「? おじ様は大好きよ?」
「知ってるわ」

 でも、そうじゃない。
 そう笑ってお姉様は、優しく笑ってくれた。 そっと撫でてくれた手はおじ様の大きな手とは違って、白くて、細くて、小さい。

「いつか、シェリルにもそんな人が現れるわ」
「……? よく分からないけど、お姉さまが言うならきっとそうね」
「そうそう。 ……よーし! それじゃあもっともっとお洒落にしなくちゃね!」

 元気よく言ったお姉様に、釣られておー!なんて言ってみる。
 なんだかとっても面白い気持ちだわ。 誰かを好きになるってすばらしいことなのよね。
 私がおじ様を思うのと、お姉様がおじ様を思う気持ちはちょっと違うみたい。 その違いがちょっとまだ分からないけど、それでもやっぱり違うってことは分かるわ。
 お姉様はアイスカフェラテをごっくり飲み干して、私がオレンジジュースを飲み干すまで何処に行こうかなとウキウキしながら話していた。

 それで、いっぱい沢山の買い物をして、お姉様と二人でおじ様の話をいっぱいしたの。
 沢山沢山洋服とか、アクセサリーとか買って。 お姉様とおそろいの服なんかも買っちゃったりして! 本当に凄く楽しかった!


 ――そこまで回想して、シェリルはぐっと背伸びをしてみる。 歩き回ったせいか眠くなってきたのだろう。
 小さなあくびを一つして、シェリルはベッドへ大きなジャンプ、そしてダイヴ。
 ぼふん、と大きな音を立て、ストロベリー色のビーズクッションを抱きしめて天井を見上げる。
 余りに楽しかったせいか、はしゃぎすぎたのだろう。 まぶたが重い。

 気づけば、シェリルは夢の中へと誘われていった。

 夢の中で、シェリルは誰かに出会った。 それが「誰」かは分からないが、けれど凄く大切な人だと言うことは伝わる。
 その人は男で、自分の頭を撫でてくれる。 ……彼女の「おじ様」とも「お姉様」とも違う手。
 けれど、不快じゃない。 むしろ嬉しい。
 シェリルが笑えば、その人も笑う。 ……なんだか胸があったかくなる。
 これが「お姉様」の言う“好き”なのだろうか。 
 恋の歌を歌うシェリルでも、何だか気持ちが上手く伝えられない。 けれど、言葉なんて必要なかった。
 なぜならば彼女には「歌」という伝達手段を持っているがためだ。
 伝わらないなら、心に伝わせるように歌えばいい。 そう彼女の養父である男は教えてくれたから。
 だからシェリルは歌う。
 夢の中の相手は少々驚いたように手が少し止まったが、笑ったかのように空気がちょっと震えて、そしてシェリルの頭を何度かぽん、ぽんと叩いた。

 そこで夢は終わり。
 シェリルは夢のことを一切覚えていなかったが、何だか非常に良い夢を見れた気がして未だ尚熟睡をしている父の部屋へと駆け込んでいった。



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