しかし08年8月初め、「同じ女が長野にいる」という情報が寄せられたのをきっかけに、 東京入管が同市内のアパートで暮らしている女を発見、入管難民法違反容疑で再び摘発した。
女は偽造旅券を所持しており、同年4月末、この偽造旅券を使い、青森空港で 入国審査を通過した記録が残っていた。同入管が女を追及したところ、 〈1〉韓国人ブローカーから偽造旅券を購入し、青森空港行きの航空券を買うよう指示された 〈2〉ブローカーからは特殊なテープも渡され、青森空港の入国審査場で、 テープをつけた人さし指をスキャナーにかざして審査を通過した――と供述したという。
同入管が実験した結果、市販のセロハンテープなどではスキャナーに指紋が映らずに エラーが表示されるため、審査を通過できないことが判明。このため特殊なテープが 使用された可能性があるとみて女の取り調べを続けたが、テープの素材や、 ブローカーの特定につながる供述は得られず、同9月中旬、強制退去処分にした。 同入管は処分後、法務省に報告書を提出。バイオ審査をくぐり抜ける特殊なテープが 出回っている可能性や、ブローカーが同じ手口で多数の不法入国を仲介している可能性を指摘した。
同省によると、青森空港の記録には、女が審査を通過した際の指紋の画像は残っていたが、 不完全な指紋で、詳しく調べても女のものとは一致しなかった。同省入国在留課は 「女が不法入国した経緯について調査を続けている段階。事実が解明でき次第、 必要な対応を取りたい」としている。
ソース:読売新聞 (2009年1月1日03時04分) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081231-OYT1T00608.htm?from=top