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没OP・2

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没OP・2 ◆lDtTkFh3nc



職業柄、ヤバイ事には鼻がきくつもりでいた―――――
だが掛け値なしの厄ネタにはそんなものは通用しない。

暴威は突然、「運命」を絡めとる。


「え…えぇ?な、なに?ここ、どこ?」
 カツーン…カツーン…
「おーい!誰か!誰かいませんか!」
 ガシャン!ガシャン!
「なぁーにようこれ!?どうなってるのよう!?」
 くるんくるんくるんくるん………

女の声、幼い男の声、どちらともつかぬ声…様々な声が聞こえる。声だけではない。足音や金属音、衣擦れの音や呼吸音まで…
並外れた聴覚を持ったこの男は、この喧騒でもソナタのようにそれらを聞き分ける事が出来た。
それにしても奇妙な音が多い。
左右で違う足音、空洞の鎧が動いているような響き、呼吸音は聞きとれるのに足音が聞こえないヤツ、その逆…
聞きなれない音の多さに不快感を覚え、男は目を覚ました。

「なにが…どうなった…?」

仰向けに倒れていた我が身を起こし、「音界の覇者」、ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークは周囲を見渡した。
周囲は完全な暗闇。先ほどのような「音」だけが聞こえる。
しかし地面は見えた。そこにあるのはまるで人の顔。それが延々広がっているような…
そんな地面だった。思わず手を離す。

「……天国とは思えんな。地獄にしても、趣味が悪い。」

ミッドバレイ・ザ・ホーンフリークは死んだはずだった。逃れられぬ死から逃げ出す為、主に牙を突きたてようとし、
結局届かずその身を滅ぼした。しかし、彼は今こうして生きている。

「聞け、因果の流れの中に飲み込まれし者たちよ。」


その声は突然で、それも彼の鋭い聴覚すら無視して頭の中に響くような声だった。
皆が自然と同じ方向へ目をやる。そこには4つの影が浮かんでいた。
奇妙な影だった。人影のようでいて、一目でそうではないとわかる。
影の1つが言葉を続けた。またも脳内に響くように声が聞こえる。

「大いなる祝福の刻………」

それは確かに人の言葉。だが決して人の声ではなかった。

「彼なりし亜の刻、亜なりし彼の地へよくぞ集った。
 人の造りし神ならざる神の子羊達よ。この聖なる夜祭、存分に味わうがよい。」

影の言葉が理解できない。ただ周囲から様々な声が聞こえた。
怒り、恐怖、混乱…なまじ全て聞き分けられるが故に、ホーンフリークには不快だった。

「全ては因果の流れの中に。これより…降魔の儀を執り行う。」

その言葉と共にホーンフリークの左手の甲に鋭い痛みが走った。そこに奇妙な傷口が刻み込まれている。

「それは生贄の烙印。本来の物と力は違えるが、意味は同じ。お前達はある者によって“捧げられた”」
「もうあなた達は因果の流れの中。矮小なその身では抗う事は適わないわ。」

他の声が混じりだす。女の声のようだった。驚くほど妖艶で、身震いするほど恐ろしかった。
ゴクリと息をのむホーンフリークの横で、自分以上に身震いをしている男の存在に気がついた。

「ガントレット…!」

互いの利を求めて張った共同戦線、そこで奇妙な友情を育んだ仲間、ホッパード・ザ・ガントレットがそこにいた。
彼の全身が震えているのは恐怖ではないと、仮面の下の表情が見えなくとも察っする事ができた。

「あと一歩だった………あと一歩で、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを仕留められた!
 邪魔をしたのは、おまえらか…!!」
(仕留められた、だと?)

確かにホーンフリークは彼との連携攻撃であと一歩の所までターゲット、ヴァッシュ・ザ・スタンピードを追い詰めた。
しかし、チャペル…ニコラス・D・ウルフウッドらの介入によってしくじり、
結果としてヴァッシュの能力の暴走とレガート・ブルーサマーズの参戦によって全ての作戦が泡と消えた。
自分の目的だったミリオンズ・ナイブズからの逃避も、ヤツのヴァッシュ・ザ・スタンピードへの復讐も果たせなかった。
それがなぜこんな言い回しで怒りをあらわにしているのか…?

「おまえらが…お…おぉぉおおぉおおおおおおおおおお!!!!!」
「ガントレット!止せ!!」

職業柄、ヤバイものには鼻がきく。
全身で危険を感じていたホーンフリークは叫んだが、咆哮と共にガントレットの肉体は影へ向けて飛び出していた。
肉体といっても巨大な盾、「グーデリア」に包まれたそれは鋼鉄の弾丸のようなもの。それが高速回転しながら迫るのだ。
まともに喰らえば肉体は粉砕確実の体当たり。しかし、影は一切動く気配を見せない。

「うぉおおおおおおぉおぉおおお!!!!」

ガントレットの一撃が影へと届く、その瞬間。影とガントレットの間に奇妙な空間が生まれた。
その空間は「グーデリア」が触れるとツボの形となり、ガントレットの姿が消える。

「!?」

誰もが目を疑うような光景であった。しかし、これ自体は一瞬の出来事。視認できない人間も多かった。だが…

「あぶないっ!」
誰かの声、そして…
グシャリ

嫌な音だった。人の肉体が砕け散る音。それは綺麗に、女性の上半身だけを吹き飛ばしていた。
「え…?」
少年の足元に崩れ落ちる女性の下半身。

「…ねー、さん…?」
1人の少年の目の前で、姉の体が肉片へと変えられていた。

そこには先ほど影へと突進したはずの異形の男の姿。彼自身も混乱していた。
そこは影のいる場所から遠く離れた場所なのだから。
この女を殺してしまったのは俺なのか?なぜ自分がこんな場所にいる?
この少年は何だ?あの影は一体何をした?
なぜ、自分がこの様な場所にいるのかもさっぱりわからない。わからないが…
今は、どうでもいい。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードへの復讐心が、彼を盲目にさせた。
女性の死体と、膝は折らず、されど立ち尽くすだけの少年から視線を外し、再び影に向き直るガントレット。
そこに響く例の声。

「贄であることを理解させる必要があるか。これもまた因果なり。」
「あ、がぁぁぁああああああ!!!」

その瞬間にガントレットは信じがたい激痛に襲われた。原因は腕に刻まれていた、刻印。
数秒悶え苦しむと、生きた弾丸は物言わぬ肉塊と成り果てた。
こぼれ落ちた仮面の下の凄まじい形相が、その激痛を物語っている。

「ガントレット…!」
ホーンフリークは言葉を失った。今起きた一連の事象が、あまりにも唐突過ぎて理解するのに時間を必要としていた。
どうやら周りもそうらしい。ただ、その結果が示した成果は大きかった。
先ほどまで多くの人間が声高に影に向けて怒りをぶつけていたが、今は大半が黙り込んでいる。
影の力の脅威、突きつけられた死の恐怖が、彼らを縛り付けていた。

「これが生贄の烙印の持つ第一の意味。お前達には因果律で定められた役目がある。
 役目を果たせぬものが、こうして消えるのもまた因果。」

(逆らえば死ぬというわけか。わかりやすいことだな。)
皮肉の1つも言いたかったが、言葉さえ浮かんでこなかった。

喋っていた影の横の小さな影が動く。
小さな影から映像が映し出され、地図が示された。

「お前達はこれからこの幽世で生贄として“捧げられる”。お前達に共通する概念で言えば死ぬという事だ。
 これは因果律で定められたことであり、逆らう事は出来ない。しかし、因果律はまた、別の可能性も示す。
 手中を見るがいい。」

言われるがまま、つい握り締めていた手のひらを開くと、いつのまにかそこには悪趣味なデザインの、卵形の物体があった。

「それはベヘリット。『魔法の石』『異界の喚び水』。それは現世と幽世を結ぶ扉を開く、鍵。
 ここでそれを使う条件は二つ。一つは自分以外の全ての贄が“捧げられる”こと。
 つまり、お前達は生き残る為には殺しあわねばならぬ。」
「そしてもう一つは、自分の「半身」とも言うべき存在を、自らの手で“捧げる”こと。
 どちらかを満たせば扉は開くわ。扉が開けば、あなた達は全ての憂いを消す事が出来る。」

影がかわるがわる言葉を放つ。必死で理解しようと試みるが、覚えるくらいがせいぜいだ。

「自分の「半身」の存在を確かめたければ、我らの最初の模擬降臨まで生き延びることだ。
 その時、全ての生贄の名が書に刻まれる。降臨は四半日ごとに行う。」

「仲間と立ち向かうのもいいわ。けれど、“捧げるか”“捧げられるか”。
 それは全て因果律の流れの中ということ。憎しみ、悲しみ、必死で役目を果たしなさい。
 生贄のぼうやたち。それこそが、此度の蝕に必要なのだから。」

「ほほ、より深く知りたければ書を見ればいい。説明しなかった刻印の他の役割もわかる。
 “捧げる”側にまわりたければ、目を通す事だ。」

「…………」

もはや言葉を発する者さえいなかった。
影が動き、こちらを見下ろす。

「因果律により束ねられし糸は結ばれた。約束の刻来たれり。」

 それは、ただ一言こう呼ばれるものだった。

「存分に、殺しあうがいい。」

 絶望と………








4つの影は消えていた。文字通り、影も形も無く。
くっく、とホーンフリークはもはや笑みとも取れる表情を浮かべ、悲嘆にくれた。
直感的にわかる。これが現実だと。またしても逃げ場のない死が迫ってきたのだ。
まともな生き方をしてきたわけじゃない。
だが、神様というやつがいるならこれはあんまりだろう。
馬鹿げたルールの死のゲーム。出口のない死…
それを終えて、やっと死というある種の安息にたどり着いたと思えば、再び死が出口を閉ざして待っていたのだ。
それも、またしても人智を超えた化け物によって…
神に化け物、そういった存在に弄ばれるのが人間というものなのか…

そこでふと、違和感を覚えて隣を見る。そこには黒衣の“人間”が立っていた。
キリキリと義手らしき左手を鳴らしながら、形容しがたい笑みを浮かべて。



「ありがたい、話だぜ………!!そっちから出向いてくれるとはよぉ…!!!」



あぁ、とホーンフリークはため息をつく。
忘れていたよ。人間にも、どこまでも狂ったヤツがいるんだった。
神や化け物に、運命ってヤツに抗う狂ったヤツらが、な。
どんな形かはわからない。でも、きっとこの男は立ち向かう。
いやこの男だけじゃない。相手が化け物であろうが神であろうが…

「それもまた、人間というものなのかもしれんな。」

かつて魔人と呼ばれた集団の1人だった男は今度こそ笑みを浮かべた。
諦めとも、希望とも取れる笑みを。




運命が人智を超越し人の子を玩ぶが理なら、
             人の子が魔をもって運命に対峙するは因果

  だが、そのすべてが 寸分たがわず 同じというわけではない





【新漫画バトルロワイアル 開始】





【鳴海まどか@スパイラル~推理の絆~ 死亡】
【ホッパード・ザ・ガントレット@トライガン・マキシマム 死亡】

【一日目 00:00 どこかの幽世】
【ゴッドハンド@ベルセルク】

【備考】
全員にベヘリットが支給済み。生贄の烙印が刻まれた場所はランダム。

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