はじめに
初めまして。かわなみと申します。アドカレ初参加にして枠取りを共同編集者のぽてとふぁーまー氏に丸投げしています。
この記事では、私、ぽてとふぁーまー氏、そして外数人の協力者による、規格を統一したうえでのバスアドオン制作の経過と、その成果について紹介したいと思います。
この記事では、私、ぽてとふぁーまー氏、そして外数人の協力者による、規格を統一したうえでのバスアドオン制作の経過と、その成果について紹介したいと思います。
プロジェクトの沿革
バスがない!!!!!!
これが、私がバスアドオンを作り始めた一番にして唯一の動機でした。勿論、pak128.japanにもバスアドオンは古くから存在していましたし、その中には多数を取り揃えているものもありました。
しかし、それまでのpak128.japanのバスアドオンには、あまりにも大きな問題があったのです。それは、作者毎(もしくは、同じ作者であっても)に基準にしたスケールが違い、混用が困難であることでした。さらに、大多数のアドオンは年代プレイには対応しておらず、中には1900年から、現代的な箱型バス(実際の車種は再現されていない)が使用できるようになっているものもありました。これでは、私のやりたい「多数の車種を活用した」「年代プレイ」は満足にできるはずもありません。それには、「統一された規格」の、「ある程度の車種・事業者を揃えた」アドオンが必要だからです。
しかし、それまでのpak128.japanのバスアドオンには、あまりにも大きな問題があったのです。それは、作者毎(もしくは、同じ作者であっても)に基準にしたスケールが違い、混用が困難であることでした。さらに、大多数のアドオンは年代プレイには対応しておらず、中には1900年から、現代的な箱型バス(実際の車種は再現されていない)が使用できるようになっているものもありました。これでは、私のやりたい「多数の車種を活用した」「年代プレイ」は満足にできるはずもありません。それには、「統一された規格」の、「ある程度の車種・事業者を揃えた」アドオンが必要だからです。
規格の選定
とはいえ、私が完全新規格でバスを作ろうものなら、既存のラインナップは全く活用できないどころか、私自身が規格乱立に加担してしまうことになります。そこで、私は大ぼけ様の国鉄バス・JRバスを基準とし制作することにしました。この理由としては、
- 高速バス/路線バスともに年代プレイに対応している
- 1960~70年代の旧車から新型車まで、多くの車種のモデルが(一部は型式を公称していないが)存在するため、素体づくりを簡略化できる
- サイズが程よく大きく、車体長・窓割の変化の表現や、塗装の描きこみがしやすい
特にこの3つが挙げられます。直感で「似ている!」と思った車種が多かったことも、もちろん理由の1つですが。
この後しばらくは、その少し前からバスアドオンを作っていたラピートβ氏を引き込み、富士重工7E(かわなみ)やエアロスター(主にラピートβ氏)などを中心に、2人でほぼ独立した形で制作をしていました。そのほか、青原マイカ氏の日野ブルーリボンシティも、この規格に準拠したうえで、事実上単発のプロジェクトとして制作されました。
この後しばらくは、その少し前からバスアドオンを作っていたラピートβ氏を引き込み、富士重工7E(かわなみ)やエアロスター(主にラピートβ氏)などを中心に、2人でほぼ独立した形で制作をしていました。そのほか、青原マイカ氏の日野ブルーリボンシティも、この規格に準拠したうえで、事実上単発のプロジェクトとして制作されました。
Discordサーバーの設立
この体制に転機が訪れたのは、私の受験が(なんとか現役で)終了し、アドオン制作を再開して程ない頃でした。かねてからNetSimutransサーバーである「AHNS」で共同してプレイを行なっていたぽてとふぁーまー氏を、統一規格でのバス制作に引き込むことに成功したのです。しかし、相互に面識のあった私とラピートβ氏の2人だった頃と違い、個人間のチャットのみでは、連絡に支障をきたすことが予想されました。このため、私(かわなみ)・ラピートβ氏・青原マイカ氏・ぽてとふぁーまー氏、そして京成バスを制作されるなど協力頂いていた朱雀重工氏の5人からなる、相互連絡用のDiscordサーバーを設立しました。この体制で、途中江ノ電バスなどを制作して下さっている休日自衛隊氏をメンバーに加えながら制作されたのが、西工96MCセット(かわなみ)から、東急バススペシャルセット(ぽてとふぁーまー)にあたります。

(西工96MCセット。これまで少数の収録にとどまっていた九州地方の事業者を多く取り上げたほか、中型・小型車の規格を設定した。)

(西工96MCセット。これまで少数の収録にとどまっていた九州地方の事業者を多く取り上げたほか、中型・小型車の規格を設定した。)
「AHNS-C3」の開催とメンバーの増加
鉄道禁止サーバーとして開催された「AHNS-C3」の開催は、プロジェクトにとって大きな転機となりました。鉄道が使用禁止であることから、陸上交通は専ら自動車が担うことになります。ことバスに関しては、既存車/事業者を用いるプレイヤーが多数であったなかで、RykSeb氏・kohaku_8634氏は、それぞれ名古屋市交通局・富士急行グループの車両を大幅に自作、追加しプレイするため、本プロジェクトに参加する運びとなりました。この成果は、多少の車両の追加をしたうえで公開予定です。

(RykSeb氏制作の名古屋市交通局および、kohaku_8634氏制作の富士急バスがバスターミナル付近を走行する風景。SS内にも映り込む三重交通はぽてとふぁーまー/かわなみが運営していた会社のもの。)

(RykSeb氏制作の名古屋市交通局および、kohaku_8634氏制作の富士急バスがバスターミナル付近を走行する風景。SS内にも映り込む三重交通はぽてとふぁーまー/かわなみが運営していた会社のもの。)
プロジェクトの大まかな方針について
公開方法
現状、本プロジェクトのバスアドオン制作は2種の方法をもって公開することで成果を共有しています。1つには、素体の単位となる「車種」を基準にしたセット、そしてもう1つは事業者単位で様々な車種を集めた「スペシャルセット」です。
前者は、現在、仮公開中のものを含め
前者は、現在、仮公開中のものを含め
- 富士重工7E(かわなみ)
- 西工96MC(かわなみ)
- 日野ブルーリボン(かわなみ)
- 日野ブルーリボンシティ(青原マイカ)
- 日野ポンチョ(かわなみ)
- 三菱ふそうMP107(俗にいう"ブルドッグ"/ラピートβ)
- 三菱ふそうエアロスター(ラピートβ/かわなみ)
- いすゞキュービック(かわなみ)
- いすゞエルガ/日野ブルーリボンⅡ(ぽてとふぁーまー/神奈中のみかわなみ/京成バスのみ朱雀重工)
- いすゞエルガ/日野ブルーリボン(新型エルガ/ぽてとふぁーまー/下電のみkohaku_8634)
- メルセデス・ベンツ シターロG(連節バス/かわなみ)
- 日野セレガ/いすゞガーラ(ハイデッカー車/ぽてとふぁーまー)
が公開済みです。後者のスペシャルセットは、
- 関東バスの富士重5E(かわなみ)
- 三重交通(ぽてとふぁーまー)
- 東急バス(ぽてとふぁーまー/一部かわなみ)
の3種が公開済みです。なお、休日自衛隊様のアドオンは基本的に別個で公開されているため、ここでは省略させていただきます。
しかし、今後素体数が増加する中で、車種ごとに制作するよりも事業者ごとにまとめて制作する方式の効率が優ることが予想され、さらに現状では多数の車種に跨って収録されている事業者が、車種ごとに別個にダウンロードしなければ揃わない状況となっているため、この公開形態についても再考の余地があると、私は考えています。
しかし、今後素体数が増加する中で、車種ごとに制作するよりも事業者ごとにまとめて制作する方式の効率が優ることが予想され、さらに現状では多数の車種に跨って収録されている事業者が、車種ごとに別個にダウンロードしなければ揃わない状況となっているため、この公開形態についても再考の余地があると、私は考えています。
制作方針について
前述の通り、最終目標としてはバスの年代プレイ・多様なバリエーション展開を可能とすることを目的としたプロジェクトですから、当然達成までには想像を絶するほどの分量をこなさなければなりません。もちろん、すべてを同時に独力でこなすことは不可能ですから、優先順位をつけなければなりません。
これまで、一般路線車、特に1980年代後半から現在にかけての大型車を最優先としながら「日野ポンチョ」「日野セレガ・いすゞガーラ」のように、現代のプレイに不可欠な車両も、並行して制作してきました。
しかし、1990年代後半以降の国産4メーカーの大型車両が特殊な車両を除き出揃ったことから、今後は今まで少数の制作に留まってきた中型車・旧型車の制作に徐々に移ろうと計画……してはいるのですが、実車の形状からくる難易度の高さや、規格に付きまとうホイールベースの問題(後述)などもあり、難航しているのが現状です。
これまで、一般路線車、特に1980年代後半から現在にかけての大型車を最優先としながら「日野ポンチョ」「日野セレガ・いすゞガーラ」のように、現代のプレイに不可欠な車両も、並行して制作してきました。
しかし、1990年代後半以降の国産4メーカーの大型車両が特殊な車両を除き出揃ったことから、今後は今まで少数の制作に留まってきた中型車・旧型車の制作に徐々に移ろうと計画……してはいるのですが、実車の形状からくる難易度の高さや、規格に付きまとうホイールベースの問題(後述)などもあり、難航しているのが現状です。
スペシャルセットについて
前項のように「車種別」の展開を基本的には行う方針ではありましたが、これでは満たせないのが、まさに
バスオタクとしての欲望
でした。同じ事業者の様々な仕様のバスが走り回る風景は、いかにも捨てがたいものでありました。このような欲求を満たすために、特定事業者のみを集めるスペシャルセットの企画が始まりました。
作りたい車種を、作りたいだけ作り、オタクの欲求を満たすためのものですから、スペシャルセットには一般人向けの簡略化などは存在しません。

(一部で狂気と言われた1事業者で34台+シークレット1台収録の東急バススペシャルセット。サムネイル画像には東急バス最古参の323号車を使用。)
さあ皆さんご唱和ください。
作りたい車種を、作りたいだけ作り、オタクの欲求を満たすためのものですから、スペシャルセットには一般人向けの簡略化などは存在しません。

(
さあ皆さんご唱和ください。
全部同じじゃないですか!?
プロジェクトの抱える問題と、今後の展望
最後に、このプロジェクトの規格が抱える問題点と、今後のアドオン開発に向けての展望をお話しようと思います。
ホイールベース
この規格の最大の問題点、それは「2ドットごとでしかホイールベースを変化させられない」ことです。これは規格のミスと言うより、ドット絵の宿命と言うべきかもしれませんが、1ドット単位で左右にタイヤをずらすと高さが変わってしまうために、最低2ドット単位での変更を余儀なくされるのです。この制約はとくに旧車に重くのしかかってきます。例えば、いすゞがかつて発売していた「キュービック」の場合、1995年式以降のLV280/380系であればホイールベースはL尺(WB=4.8m)・N尺(5.3m)・Q尺(5.8m)の3種類のみですから2ドット単位での操作でも十分再現することが可能です(この3種は後継である「エルガ」にも引き継がれています)。しかし、それ以前のP-,U-規制車では話は違ってきます。K尺(WB=4.65m)・L尺(5.0m)・M尺(5.2m)・N尺(5.5m)・Q尺(6.0m)と5種類もあるばかりか、全てKC-規制車と違う長さとなっています。これを2ドット単位の調整で表現するのは、不可能であると断言できます。このケースでも、K尺・L尺は統合することで双方ともアドオン化していますが、U-規制以前のN尺はブルーリボンの長尺であるP尺(WB=5.67m)とM尺の中間になっていることもあり、落としどころを見つけられていないのが現状です。
この問題は、中型車の制作にも支障を来しています。大半の中型車は、前輪の位置が前扉の直後ないし細いスキマを空けてすぐの位置にあるのですが、日野のノンステップバスである「レインボーHR」のうち、7m級車を除いた車種のみ、大型車並の間隔を開けて設置されているのです。この再現も、先述の「タイヤ高さが変化してしまう」問題により、難航しています。
この問題は、中型車の制作にも支障を来しています。大半の中型車は、前輪の位置が前扉の直後ないし細いスキマを空けてすぐの位置にあるのですが、日野のノンステップバスである「レインボーHR」のうち、7m級車を除いた車種のみ、大型車並の間隔を開けて設置されているのです。この再現も、先述の「タイヤ高さが変化してしまう」問題により、難航しています。
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(左:一般的な中型バス(いすゞ・エルガミオ) 右:レインボーHR
前輪と前扉との距離が大きく違う(さらに、中扉の位置も違う)ことがお解りいただけるだろうか。)
このように、ホイールベースの問題は今後の車種展開に大きな悪影響を及ぼしています。この解決が、当面の課題です。
前輪と前扉との距離が大きく違う(さらに、中扉の位置も違う)ことがお解りいただけるだろうか。)
このように、ホイールベースの問題は今後の車種展開に大きな悪影響を及ぼしています。この解決が、当面の課題です。
「旧型バス」への進出
ここまで、本プロジェクトは一部の例外を除き、モノコックバスやボンネットバスに代表される旧型車両の制作を避けてきました。しかし、年代プレイを目指すという観点から、この領域をこれ以上無視するわけにはいかないのは明白でしょう。
ただし、旧型車の無視は単にモチベーションや優先順位の問題ではありません。旧型のバスの資料は、鉄道車両以上に希少かつ断片的であり、制作可能な車両数が著しく限られるほか、車体のバリエーションも近年と比較して極めて多様であることから、制作へのコストが大きく上がるためでもあります。さらに、造形が複雑で、ライト位置の設定にすら難儀する厄介者でもあります。この厄介者を倒すことも、今後に残された大きな課題と言えるでしょう。
ただし、旧型車の無視は単にモチベーションや優先順位の問題ではありません。旧型のバスの資料は、鉄道車両以上に希少かつ断片的であり、制作可能な車両数が著しく限られるほか、車体のバリエーションも近年と比較して極めて多様であることから、制作へのコストが大きく上がるためでもあります。さらに、造形が複雑で、ライト位置の設定にすら難儀する厄介者でもあります。この厄介者を倒すことも、今後に残された大きな課題と言えるでしょう。
公開形態の問題点
先述の通り、単一事業者の大量制作の受け皿として、本プロジェクトでは「スペシャルセット」を用意しています。しかし、これとは別に、各車種のセットに分散して大量に収録された事業者(大阪市交通局・神奈川中央交通など)が存在しています。これらは現在の状態では公開している多くのセットの全てをダウンロードしなければ揃いません。今後、車種がさらに多様化する中で、このような形態はユーザーにも、管理側にも不便を強いるばかりではなく、見落としや重複などを生じさせる原因となることが懸念されます。この解決策として車種別セットという形態を見直し、事業者別・テーマ別の公開へシフトすることを検討していますが、アドオン重複の回避やバージョン管理に課題が残ります。
おわりに・アンケート
以上、本プロジェクトの簡単な経過と方針、そして解決すべき問題点を述べてきました。想定以上に長い文章となってしまいましたが、このような駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
最後に、本プロジェクト、ひいてはSimutransにおけるバスプレイの追求のため、以下のアンケート(Googleフォーム)に御回答いただけますと幸いです。
↓Simutransにおけるバス使用に関するアンケート↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeAE29ZG9nDqKhQLo2kboLQQhWcPoBtG99FZP-ck71jYJ73mQ/viewform?usp=sf_link
最後に、本プロジェクト、ひいてはSimutransにおけるバスプレイの追求のため、以下のアンケート(Googleフォーム)に御回答いただけますと幸いです。
↓Simutransにおけるバス使用に関するアンケート↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeAE29ZG9nDqKhQLo2kboLQQhWcPoBtG99FZP-ck71jYJ73mQ/viewform?usp=sf_link