司書
司書とは
司書とは、図書館学等では厳密には、英語の Librarian に相当する図書館専門職の翻訳語として用いられるが、日本語における一般的な用例としては、図書資料を扱う仕事をしている図書館職員を専門的職員であるか否かを問わず広く司書と呼ぶこともしばしば見られるが、主に公共図書館や一般企業、研究所、学術機関などの図書資料室に勤務して、利用者が必要な情報を探す手助けをする専門的職員(専門職)もことを言う。そのため、さまざまな資料を、収集・分類・整理して、利用者に提供するため、絶えず新しい知識と情報を身につける努力が求められる。
仕事内容
公共図書館で働く司書は、住民への本の貸出しや利用者の読書相談や質問に応えるサービス(レファレンス)や、
視覚障害者を対象とした対面朗読などのサービスも行う。
都道府県立図書館で働く司書は、周辺の市町村図書館へ情報を提供をし、県立図書館は、県内の市立図書館への協力業務の中心的な役割を果たす。利用者の代表が集まる資料購入会議に出席し、利用者の声を聴いてニーズを収集し、膨大な出版物の中から何を選択するか決めるのも司書の役目である。
市町村立
図書館で働く司書は、移動図書館で市内各地を巡回し、それぞれの街で住民の声を聴いて希望のあった本を次の巡回までに揃えるなど、地域に密着したサービスを行う。 大学など学術機関の資料室で働く司書は、適切な学術資料を探す手伝いをするなど、研究者が自分の書斎のように有効に使えるためのサポートをする。
司書資格
日本では、あらゆる種別の図書館にわたって図書館専門職として勤務することを保障するような、司書の資格要件は存在しない。
日本で一般に「司書資格」と称されているものは、公共図書館について規定する法律である
図書館法による「司書となる資格(司書資格要件)」である。
図書館法による司書となる資格は、第5条に規定されていて、図書館学関係の科目が開講されている大学(短期大学を含む)で、要件とされる単位を修得し、卒業するか、大学(短期大学を含む)や
高等専門学校を卒業した者が、司書講習(
文部科学大臣の委嘱を受けた大学などで、夏季等に開講される)を受講し、所要の単位を修得することによって付与される。また、
高等学校卒業・中等教育学校卒業・高等専門学校第3学年修了者については、司書補の講習を受講して単位を修得すれば司書補の資格が付与されるが、3年以上司書補として勤務した者は司書講習を受講することができ、単位を修得すれば司書の資格を得ることができる。
ただし、図書館法に基づく図書館であっても司書は必置を義務付けられておらず、資格を有する司書を置いていない図書館も少なくない。
図書館法に基づかない図書館では多くの場合、図書館法による司書となる資格は就職や勤務の必須の要件とはならない。例えば、公開の試験により職員の採用を行っている図書館法に基づかない図書館として、国立国会図書館や国立大学の図書館があげられるが、これらはいずれも試験の受験資格に特に資格を要求していない。しかし、他に図書館の司書となる要件を保障する資格は存在しないため、私立大学の図書館、
学校図書館、専門図書館の中には図書館法による司書となる資格を職員採用の条件としていることもある。
今後の司書
インターネットの普及によって情報の発信・入手が容易になり紙の本の地位が低下していること、Googleに代表される検索サイトの機能向上によって誰でも知りたい情報を調べやすくなってきていることにより、情報入手における図書館の従来の役割が変動しつつある。これは、司書にとって重要な問題である。インターネット時代においては、市民にとって日常生活の情報入手行動の中で図書館と司書の必要が実感される機会はより失われつつある。一方で、インターネットでも入手できない、あるいはインターネット由来の情報の正確性を検証する場合に必要とされるような専門性の高い情報の入手のサポートをするためには、司書サイドに高い専門性が要求されるといわれているが、日本の場合には図書館と司書の制度が社会の基礎的なインフラとして深く根付いているとは言い難い。日本では、司書サイドにそうした要求に応えられる人材がそれほど多くなく、利用者サイドも図書館にそうした高度な要求をしようとする発想を持たないことが多い。
今後の図書館と司書は、インターネットの普及等、技術の進展による情報入手手段の多様化に対応し、様々な情報を蓄積した図書館と高度な専門性を有する司書が揃わなければできない付加価値の高いサービスを構築し、提供していくようにならなければ生き残ることができないと警鐘を鳴らす図書館学研究者らもいる。
文部科学省生涯学習政策局が設置し、こうした研究者らを中心として構成された「これからの図書館の在り方検討協力者会議」は、今後の公共図書館が向かうべき方向性として、地域の読書拠点になるだけでなく、地域の課題解決に必要な資料と情報を提供する役割を持つ施設であることを明確にし、司書も意識改革を図ることが必要であると訴えている。
りえ
最終更新:2007年06月27日 21:18