この答申では、障害のある幼児児童生徒の教育の基本的な考え方について、特別な場で教育を行う「特殊教育」から、一人一人のニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」に発展的に転換していくという方向性を示した上で、そのために必要なシステムの在り方について言及している。
このような転換の背景として、①特殊教育対象者の拡大②障害の重度化③特殊学級・通級指導の対象となる生徒を支援するためのシステムの必要性④ノーマライゼーションの浸透を主にあげている。また、包括的・多文化共生的な教育福祉改革の国際動向の影響を受けてのことでもある。具体的な見直しについては、次のように示されている。

■盲・聾・養護学校制度の見直しについて
 ・幼児児童生徒の障害の重度・重複化に対応し、一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うことができるよう、盲・聾・養護学校を、障害種別を超えた学校制度(「特別支援学校(仮称)」)に転換。
 ・「特別支援学校(仮称)」の機能として、小・中学校等に対する支援を行う地域の特別支援教育のセンターとしての機能を明確に位置付ける。

■小・中学校における制度的見直しについて
 ・通級による指導の指導時間数及び対象となる障害種を弾力化し、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)を新たに対象とする。
 ・特殊学級と通常の学級における交流及び共同学習を促進するとともに、特殊学級担当教員の活用によるLD、ADHD等の児童生徒への支援を行うなど、特殊学級の弾力的な運用を進める。
 ・「特別支援教室(仮称)」の構想については、研究開発学校やモデル校などを活用し、特殊学級が有する機能の維持、教職員配置との関連や教員の専門性の向上等の課題に留意しつつ、その法令上の位置付けの明確化等について、上記の取組の実施状況も踏まえ、今後検討。

■教員免許制度の見直しについて
 ・盲・聾・養護学校の「特別支援学校」(仮称)への転換に伴い、学校の種別ごとに設けられている教員免許状を、障害の種類に対応した専門性を確保しつつ、LD・ADHD・高機能自閉症等を含めた総合的な専門性を担保する「特別支援学校教員免許状(仮称)」に転換。
 ・「当分の間、盲・聾・養護学校の教員は特殊教育免許の保有を要しない」としている経過措置を、時限を設けて廃止
最終更新:2013年03月03日 20:01