コウキがWAXAからいなくなり、もう1ヶ月がたとうとしていた。
WAXAは戦力面で壊滅的な打撃を受けた。幸い、敵は一度も襲撃してこなかった。
だが・・・
「コウキがいなくなって1ヶ月・・・ WAXAの士気は落ち込むばかりだ」
WAXAで夜7時、長官とハジメは話し合っていた。
「長官 このままではマズいです 今、敵が襲撃してきたら・・・」
「そんなことは分かっている!!!」
「! 申し訳ありません」
長官は思わず声を荒げた。それもそのはず、
コウキというWAXAの中心的人物を失ったのだから。
「タスク君はどうした」
「アイツは・・・ ショックから立ち直れていません」
「ふむ 気持ちは分からないでもないが・・・ そろそろ立ち直ってもらわない
とな」
「ええ しかしどうしますか 今、Δの波が止まってるからいいですが
この状態でWAXAにΔが襲撃をしかけてきたら厳しいですよね」
「ああ それは事実だ 早く体制を整えなければ・・・!」
こうした話し合いは何回もあったが、結局のところ解決策は無いに等しいのである。
翌日・・・
「おはよう」
ハジメは、3-Aのドアを開けて言った。
「天下君 おはよう」
「ハジメ君 おはよう」
「ハジメ おはよう」
人それぞれのあいさつが飛び交う。
ハジメは地味にモテるほうなので、女子からのあいさつも多い。
ハジメは席に着いた。
この学校に来て2年、もう生活には慣れた。
守るべきものが見つかり、ディーラー時代のことももう気にしていないし、友達
もできた。
友達ができた・・・そう考えるのだが、どうしてもコウキのことが頭に浮かんで
しまう。
このまま、コウキがあれだけの人をアンドロメダのいけにえにささげ、
襲撃してきたら。コウキがなぜ裏切ったのか。
考えるだけで、憂鬱な気分になる。
「ちくしょう・・・」
そう、呟いた。
WAXA・・・
「コウキ・・・どうして?」
タスクは考え通してもう丸1日がたつ。
「タスク、何か考えるだけじゃあ何も変わらないぜ」
「わかってる でも」
「でも、何だ?」
「どうしたらいいか・・・どうしたらこれを解決できるのか、わからないん
だ・・・!」
「・・・うーむ それもそうなんだが」
タスクとムゲンの、進展しない会話が続いていた時だった。
「・・・! そうか!!!」
「どうした、タスク」
「アイツの部屋に何か残ってるかもしれない!」
「そうか! だてに学校さぼってねぇな、タスク!!」
「余計なお世話じゃ よし、行ってみるか」
「まず、長官にカギをもらおう」
タスクは、指令室へと駆け抜け、指令室のドアを開けた。
「長官!」
「長官は今、不在です」
長官の秘書のウィザードが答えた。
「剣 コウキの部屋のカギが欲しいのですが」
「了解しました」
秘書ウィザードは、長官のデスクからカギを取り出した。
「こちらになります」
「ありがとうございます」
「今日以内にここへ戻り、かぎを戻してください」
「りょうかーい」
タスクは再びドアを開け、コウキの部屋へ駆けていった。
タスクはコウキの部屋のカギを使い、ドアを開けた。
「ふーむ 部屋はいたって普通だな ・・・! なんでだ?」
タスクは、コウキのデスクの上にあるコンピュータを発見した。
それも、メール着信画面で画面がつけっぱなしのコンピュータを。
タスクはもちろん不思議に思い、そのメール画面を探った。
「あいつ メールちゃんと読めよ」
未開封メールが溜まっている。おもわずタスクは文句を言った。
タスクはページの下へ下へと下がって行った。
そして。
「最新のメール <件名> ボクの仲間へ ? どういうことなんだ」
タスクはその件名のメールをクリックした。本文が画面に映った。
「<ボクの仲間へ このメールの本文を読んでいるってことは、
もうボクはWAXAを抜けているに違いない いや、きっとそうだ
この本文を読んでいるのはタスクかな?それともハジメかな?
いや、そんなことはどうだっていい ここに、ボクの真実を書こう
まず、裏切って済まなかった まぁ、謝って済むことではないのだが
ボクがこのようなことをしたのは、訳がある 一つは、
絶対的な力を手に入れるためだ ボクが真面目にこんなことを言うのもなんだが、
世の中 結局力だ そう思い知ったのさ だからボクは力を求める
これは決めたことだ もう誰に言われようと揺るぐことのない信念だ
二つ目は、仲間のためだ
ボクには実は二人、ウィザードがいた
そのうちの一人、「X」が拉致されていてね
そいつを助けるためにも力とかが必要だ
「X」はボクが作り上げたウィザードの第1号でね
「Z」よりも性能、エネルギーが優れているんだ
(「Z」が劣っている、と言いたいわけではないんだが)
そのエネルギーが「X」を拉致した連中に悪用されるかもしれない
だから、こうして<裏切る>という行動を取らざるをえなかったんだ
本当にすまないと思っている
次君と会う時は敵として、だ もちろん目の前に敵が現れたなら叩き斬るまで、だ
変な手加減はしないでくれ じゃあな」
タスクはメール画面を見て呆然としていた。それもそのはずだが。
「ん?添付ファイル?」
タスクは添付ファイルを開いた。
「<あの本文を読んでくれたならこのファイルの存在にも気付いてるだろう
ここには、ボクが作った小論文を載せる
TC計画(trance chord project)についての否定文と研究による解決
剣 コウキ
トランスコードの番号を口にし、電波変換できる人の多くは
それによって自分の体に負担をかけていることが多い
特に「暁 シドウ」のように電波変換のプロトタイプとして開発された、
「初の試み」のような電波変換は特にその負担が高く、
免疫などが下がる だが、このたび僕は電波変換をしても
体に対する負担が大幅に軽くなるウィザード、そのシステムを開発することに
成功した。
これがあれば暁のような人も大丈夫になるはず
研究は成功した・・・>」
「コイツ こんな論文まで組み立てて・・・ すごいや」
「その通りだよ で 学校行くのか?」
「いや 今日はいい たまにはズル休みもいいだろう」
「はは カギ戻しに行こうぜ」
「ああ」
タスクは再び指令室へ駆けて行った。その瞬間・・・
ウー!ウー!ウー!
「ナニモノカガモニターニフホウアクセス! クリカエス!・・・」
タスクはちょうどモニターのところで止まっており、そのモニターを見た。
周りはWAXA隊員がデスクワークをしていた。
「これは一体?」
「わかりません ただ不法ってとこを考えると、敵であるかと考えられますね」
「ムゲン」
「何?」
「お前は不法アクセスしたの誰だと思う?」
「そうだな コウキかな」
「やっぱり? オレも全く同じことを考えてた」
その時、モニターが映った。映っていたのは・・・
ヴンッ
「WAXAの諸君! やってるかな? 敵としてモニターに映るのは初めてだな!」
「へぇーやっぱりアイツか」
「みたいだな」
「突然だが宣戦布告だよ!!!」
「んなっ・・・!」
「今から1週間後・・・ちょうど終業式の日、
深夜0時にアース宇宙ステーションで待っている!
もちろん来なければ・・・」
「ゴクっ・・・」
「タスクに見せたあの人間たちをたっぷりと喰らわせた
アンドロメダを、地球にフルスピードでぶつける!」
「何考えてる・・・!」
「じゃあな 1週間後にまた会おう 一部の人間達よ」
ツー ツー ツー・・・
WAXAは未曽有の沈黙に包まれた。
「オペレーターさん」
「なに、タスク君」
「もしアンドロメダが地球にフルスピードでぶつかっていったらどうなる
の・・・!?」
「そうだな・・・ 復活したメテオGまではいかずとも
第2次世界大戦以上の犠牲は見込まれるよ・・・!」
「どうする、ムゲン」
「どうするもこうするも強くなるしかないよ」
「どうやって・・・」
「ハジメと電波変換して格闘で修行する・・・とか?」
「それいい!! よし 早く学校終われ・・・!」
「単純な奴・・・」
数時間後・・・
「と、言うわけで俺と修行してくんない?」
タスクは宣戦布告などの事情を説明した。
「いいんじゃないか 始めようぜ」
「武術室ってあったよね」
「ああ、確かな ・・・ハートレスさ―ん? 武術室を使いたいんですが」
「? ああ、修行のためにね いいわ こっちに来て」
「オレは二人の仲を邪魔するわけにはいかないな じゃ・・・」
「テメーも来るんだよ!!」
「ごめーん(笑)」
WAXA地下1階
「随分とまぁ錆ついてますね」
「まぁ、機能に問題は無いわ」
「よかったな、ハジメ」
「お前もだろ!!」
「何かハジメ切れっぽーい」
「何だよさっきから」
「スイマセン ハートレスさん ハジメ君がやたら怒ってきます」
「お前調子のんな」
「いけないわよ ハジメ君」
「あ、スイマセン」
「うわーさっきの勢いはどうしたのかな―」
「・・・そう言うお前だってスズカの前でそういう態度とったら怒られるぞ」
「・・・・くっ・・・・」
「ははは 反論できまい」
「ついたわ ここよ 今プログラム立ち上げるから・・・あ、二人は下に降りて」
武術室・・・広い場所で、超硬度ガラスに防護された
オペレートルームが横にあるコロッセオ、とでも言えばいいのか・・・
まぁともかく、特訓のための部屋である。
「じゃあ始めようぜ
ノイズドコードJ! ウェーブトランス ムゲンジョーカー!!」
「ノイズドコードA! ウェーブトランス ツヴァイエース!!」
両者が電波変換した。
「こうやって戦うのは初めてじゃないか?オレ達」
「そうだな ・・・ちょっと待って ハートレスさん?」
ハジメは耳に着いている通信機能をつかった。
超硬度ガラスの向こうからハートレスが返事を返してくる。
「何、ハジメ君」
「スバルに今までのいきさつメールで送ってこっちに呼んでくれます?
アイツ一応目の前でコウキが裏切るとこみてたんで」
「了解 じゃ、始めて」
「オッケーす」
二人は答えた。
「じゃ、お互い流星サーバーLv.6で戦おうぜ」
「いいよ アクセスっと」
二人は流星サーバーにアクセスした。
「準備できたぜ」
「こっちもな」
「じゃ、行くぜ!」
「来い!」
「ウォーロックブースト んで・・・ フレイムアックス!!」
「返り討ちにしてやる! ソードファイター3!!」
タスクの斧とハジメの剣がせめぎあい、火花を散らす。
「くっ やるじゃん ハジメ」
「お前こそ・・・ でやぁっ!!」
ハジメは剣でタスクを押し返した。
「何!」
「おおおおおおおお」
ハジメの剣が乱舞し、タスクにクリーンヒットする。
「くっそ・・・! もう一丁フレイムアックス!」
「無駄だぜ この圧倒的機動力の前では・・・」
「どうかな!?」
タスクはハジメの移動する位置をしっかり把握し、斧でたたき切った。
ハジメの剣が割れる。
「マジかよ・・・! 暁さん!オレに力を! ウィングブレード!」
アシッドエースが出現、タスクに突進をしかける。
「そうはいくか いでよグレイブ! グレイブメテオレーザー!!」
タスクの召喚したグレイブは、腕からレーザーをアシッドに向けて発射した。
二つの強大な力の衝突で爆風が巻き起こる。
超硬度ガラスの部屋にまで、その振動が響く。
「すごいわ、二人とも・・・!」
爆風が収まった。だが、彼らの戦意はおさまるところを知らなかった。
「レッドガイア・・・!!」
「ブラックエンド・・・!!」
タスクは腕を構え、エネルギーを蓄えている。
それに対しハジメは剣を構え、突進するという姿勢である。
そして、両者の準備が整った。
「イレイザー!!」
「ギャラクシー!!」
タスクの放つレーザーを、ハジメが剣で切り開いていく。
しかし。
「うおおおおおおお!」
「でやああああああ!」
さっきの爆風をもしのぐ爆風が巻き起こる。
武術室の下に無造作に転がっているコードがちぎれんばかりの勢いだ。
煙幕のようなものがあり、それが晴れた。
二人はいつの間にか、電波変換を解いていた。
「このあと、何日にもわたってこれを何回もやるぞ!」
「ああ・・・残された期間は1週間だ! 絶対強くなろうぜ! 一回休もう」
「こんにちはー!」
「お、スバル来たか」
「二人とも外から見てましたけど、すごすぎますよ」
「サンキュ」
「事情は知ってるな?」
「ええ まさかこんなことになるなんて 1週間後 勝負ですね!」
「ああ!!」
二人は同時に返事をし、この後は3人で修行していった。
そして3人は、最終決戦を迎える・・・!
1週間後 WAXA指令室
「みんな、集まったな」
「ああ、大丈夫だ、タスク スバルは?」
「もちろん大丈夫です」
「よし ハートレスさ―ん
もうアース宇宙ステーションにつながるウェーブホール、開いてますよね」
「ええ、大丈夫よ ハジメ君」
「ありがとうございます」
「あ・・・待って!」
「? 何ですか、ハートレスさん」
「みんな、出てきて」
「何が出てくるんだろう・・・」
指令室のドアが開き、そこから出てきたのは・・・
「スバル君!」
「スバル君!」
「スバル!」
「星河君!」
「タスクさん!」
ゴン太、キザマロ、委員長、スズカ、ミソラの5人だった。
「みんな!」
スバルは思わず叫んでしまった。
「お前また一人で秘密にして行くつもりだったのか!?」
「みずくさいです!」
「うん・・・うん・・・! ごめん、みんな・・・!」
スバルは、男3人で抱き合っていた。むさいな、とタスクは思ってしまった。
「星河君!」
「はい?」
「絶対帰ってきてね!絶対に・・・」
委員長は正直、泣きそうだった。
もう2度と会えなくなる、そう思うとやはり涙が出るのだった。
「スバル君 帰ってこなかったら承知しないよ」
「うん! 行ってくるよ みんな!」
「タスクさん 私に内緒で行くつもりだったんですか? ぐすっ・・・」
スズカはもう泣いていた。それを見たハジメ、
スバルはいたずら心を働かせて、こう言った。
「あーあ タスクさん 女の子泣かしてる」
「おーいタスク女ったらしかお前―」
「ち、違うよ!」
「私にあんな声掛けてくれたのタスクさんだけで・・・絶対帰ってきてください!」
「わかってる 絶対作戦は成功で終わるよ」
3人はウェーブホールへ歩き出した。タスクは最後尾だった。
「タスクさん!」
スズカは不意にタスクの名を呼び、彼の方へ駆けだした。
「どうした、スズ・・・」
タスクは呼ばれて、振り向こうとした。スズカは、タスクに抱きついた。
「絶対帰ってきてください」
「わかってるって」
二人は離れた。時間がやって来た。
「よし、行こうか」
「はい!」
「待ってろ、コウキ」
「ノイズドコードA! ウェーブトランス ツヴァイエース!」
「ノイズドコードJ! ウェーブトランス ムゲンジョーカー!」
「トランスコードNo.003! シューティングスターロックマン!」
「それじゃあな、皆」
3人を代表してハジメがそう言った後、3人はウェーブホールへと入って行った。
深夜0時、アース宇宙ステーションにて最終決戦が始まろうとしていた・・・!
最終更新:2009年09月27日 19:06