自己愛性パーソナリティ障害とは

自己を愛し自己を性的対象にするナルキッソスの絵

カラヴァッジョ作『ナルキッソス』
自己愛性パーソナリティ障害(じこあいせいパーソナリティしょうがい、英: narcissistic personality disorder、NPD)とは、過大な自尊心と自信、過度な賞賛の欲求、共感の欠如といった特徴を示すパーソナリティ障害の一類型である[1]。
幼少期における高い自己意識と誇大的な感覚はナルシシズムには特徴的なものであり、正常な発達の一部である。概して児童は、現実の自分と、自己に関して非現実的な視点の元となる理想自己との間にある違いを理解できない。8歳を過ぎると、自己意識にはポジティブなものとネガティブなものの両方が存在し、同年代の友人との比較を基盤にして発達し始め、より現実的なものになる。自己意識が非現実的なままで留まる原因として二つの要素が挙げられており、機能不全の交流様式として、親が子に対して過度の注意を向けること、あるいは注意が過度に不足していることのいずれかが挙げられる。その子どもは注意もしくはケアの不足により生じた自己の欠損を、誇大的な自我意識という手段で埋め合わせようとするだろう[9]。力動的な児童精神科医の多くは、自己愛性パーソナリティ障害は学童期までには同定できるという[10][11]。また幼児期の不安定な養育は独りでいられる能力の確立を阻害し、安心して一人でいること(孤独)を楽しんだり、一人でくつろぐことを困難にする傾向がある。
児童期ナルシシズム測定(CNS)尺度によると、自己愛的な子どもは他者によい印象を与え、称賛を得ることを求め続けるが、誠実な友情を形作ることにいかなる関心も持たないと結論づけられた。CNSの研究者達は、児童期のナルシシズムは西側社会においてより優勢に見られることを測定した。過度に個人を称賛することに焦点を当てたいかなる活動も、自己愛的な側面を強めうる。ナルシシズムを先鋭化させる、あるいは保護する因子を発見する更なる調査が求められている[9]。