ランドセルランドの虐殺劇 ◆H5vacvVhok
そこは、世間一般では俗に『天国に一番近い遊園地』と呼ばれ、子供から大人まで楽しめる絶叫マシーンが多数取り揃えられた、まさに絶叫マシーン・マニアのための遊園地として全国的に有名な娯楽施設―――ランドセルランドだった。
そのランドセルランドの入場ゲートのベンチに一人の男がだるそうに腰を掛けていた。
「あ~あ、めんどくさいことになったちゃ」
その男、スリーブレスの白シャツに、よれよれでサイズが一回り大きいのではないか?と思われるだぼだぼのズボン、
両足には、ぼろぼろのサンダル、首には白いタオルをかけていて、肩にはバット収納用の鞄を提げている。
おまけに頭には麦藁帽子をかぶっていた。 傍からみれば華奢で牧歌的な人畜無害な青年といった風貌だが、
人を見かけで判断してはいけない。
いや、人ではない。 鬼だ。
それも、ただの鬼ではなかった。
殺人鬼である。
殺し名七名、序列第三位。 零崎一賊。
禁忌の対象である殺し名の中で最も忌み嫌われ、あの
哀川潤でさえ関わりたくないといわしめた脅威の殺人鬼一賊。
その零崎一賊のなかで、誰よりも容赦のない手口で、誰よりも多くの人間を殺してきたまさに生きた伝説
『愚神礼賛』こと
零崎軋識がそこにいた。
「こんなに訳が分からない戦いは、『大戦争』以来だっちゃ。 ったく、レンとトキの奴はどこでなにをしているんだっちゃ?」
こんな気の抜けた独り言を言っている軋識ではあったが、内心はかなり焦っていた。
『大戦争』のときは、一賊の総力を結集してなんとか生き延びることができたが、今回の戦いは、一筋縄ではいきそうになかった。
長年の殺人鬼としての勘となにより、プロのプレイヤーとしての経験が軋識に警鐘を鳴らしているのだった。
(まずは、トキとレンと合流して―――)
と今後の方針を思考していると、妙な気配を感じ取った。
☆ ☆ ☆
「ああ、いいですね、いいですね、いいですね。これから、殺される者を観察するのは、
とても気分のいいものですね」
ランドセルランドのゲートの上から零崎軋識を観察する一つの影があった。
袖のない忍び装束に、左右の腰に一本ずつ忍者等を差しており、
何より異様なのが身体中に巻かれた鎖であった。
真庭喰鮫である。
喰鮫は嘗てないほどのやる気と殺気に満ちていた。
普段からワーカー・ホリック気味の喰鮫だったが、ここまで自分にピッタリの任務は他にはないと確信していた。
ただ、自分はこの戦いの参加者を虐殺して回ればいい
もし、他に真庭忍軍の者が参戦しているのならば、自分は自刃することにしよう。
後のことは仲間に任せれば自分たちの悲願を達成することができる。
真庭忍軍の悲願―――真庭の里の復興がついに実現するのだ!!
「でも、油断は禁物ですね。前回と同じ轍を踏まないよう今回は、しのびらしく『忍んでいく』と致しましょう」
と喰鮫は気配を消して左右の腰に差した忍者刀を抜いた。
忍法渦刀―――!!
『鎖縛の喰鮫』こと真庭喰鮫、必殺の忍法が零崎軋識に炸裂しようとしていた。
気配を消した真庭喰鮫が忍法渦刀を行使し、急速に零崎軋識に接近しようとしていた。
(楽しいですね、楽しいですね、楽しいですね。
ただ、一方的に殺すというのは、本当に楽しいですね!!)
そして、炸裂する渦刀。
響き渡る断末魔。
地面に倒れ伏しているいるのは、
真庭喰鮫だった。
「ど、、、う、して」
地面に叩き付けられた喰鮫は虫の息になっていた。
よくみると、軋識の右手には釘バットが握られていて、
その釘バットには鎖に繋がれた忍者刀が絡み付いている。
「巧く気配は消していたようだっちゃが、そんだけ殺気だってちゃあ、
俺じゃあなくても気づくっちゃよ……」
なにが起こったのか理解できない様子の喰鮫に呆れたように説明してやる軋識。
「格好を見る限りじゃあ、闇口衆だっちゃね。ということは、死んでも口は割らないか……」
じゃあ、殺しておくのがベストっちゃね、と己の二つ名と同じ名を持つ釘バットを構える軋識。
それをただ呆然と眺める真庭喰鮫は、朦朧とする意識のなかで、
ただ一つのことだけは、なんとか理解することができた。
(いやですね、いやですね、いやですね。殺されるというのは、実にいやなものですね)
そして、振り下ろされる『愚神礼賛』。
全てが、闇に、包まれ、消えた。
【真庭喰鮫@刀語 死亡】
☆ ☆ ☆
(さて、さっそく敵襲があったということは、もうここは駄目っちゃね)
と周囲に警戒しながらその場を去る零崎軋識。
仲間の無事を祈る思いと同時に漠然とした不安が焦りを伴い軋識を次なる戦場へと駆り立てる。
【一日目/深夜/E-6ランドセルランド】
【零崎軋識@人間シリーズ】
[状態]仲間が見つからないことへの焦燥感
[装備]愚神礼賛―――シームレスバイアス
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
一刻も早く他の一賊の兄弟と合流したい。(特に曲識と双識)
この状態の元凶及び零崎一賊に歯牙を向いた不知火袴の抹殺。
[備考]
※人間関係(双識との関係)後の参戦です。
最終更新:2012年10月02日 07:52