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課金!課金! ◆nucQuP5m3Y




さて、興奮と感動とスキャンダルのうちに幕を閉じたかの「バトル・ロワイヤル(仮)」のロケテであるが、
皆何か忘れてはいないだろうか?

そうだ、エンディングのあとに付き物のアレがまだ出ていない。
即ち「B級映画的な続編を匂わすヒキ」が出てきていない。

そもそも思い出して欲しい。
かのクソゲーを作った会社だか軍だかに、なんらかの制裁はあっただろうか?
確かにゲームは破壊され、製作した者の野望は費えたかに見えた。
本当にそうだろうか?

これはあの「ノア」を開発した者の依頼によって、あのゲームを作った「偽アークシステムワークス」こと「モバージュ」の話である。

「ハッハッハ!バカな奴らだよ!せいぜい何かを成し遂げた達成感でも味わってるがいいさ!」
モバージュの研究室である男が高笑いをしていた。
ノアの目論見は消えた。ノアがゲーム内部で行っていたプログラムの開発は、ノアそのものと共に消え去った。
では問う。
このゲームは、メルディによって電脳の晶霊として世界に記憶を刻んだこのゲームそのものを作ったのは誰か。
それがこの男だ。
ノアの開発会社からの依頼、ノアが内部で目的とする人類殲滅用のプログラム育成を行える箱庭を作って欲しい。
その依頼に男は応えたのだ。
他社のプログラムを解析し、流用し、ちょろいオタクから吸い上げた課金の力で完成させたのだ。
あのクソゲーを。

「いやぁ、あの会社からの報酬はもう期待できねえけど、念のためにつけといて本当によかったわ、課金装置」
男はディスプレイに映るモバージュの銀行口座に輝く国家予算並みの数字を見てほくそえんだ。
「パクりにパクったとはいえ、金はかかってるしな。いやーどっかの狸だか狐だかが無尽蔵に課金しなきゃ、大損だったわ。
 それにしても、予想外だったよなあ。まさか統括コンピュータに積んだオートバランサーがあそこまでゲームを改変するとは……」
実は、男が作ったのはもっとずっとシンプルな、簡単にいえばAC北斗をベースにした、MUGENめいた2D対戦格闘だったはずなのだ。
ただし、バグ取りやアップデートが面倒という理由から、かの会社より譲渡されたノアの一部をオートバランサーと称してゲームに組み込んでいたのである。
そして、あっという間にゲームは彼の作ったものとは違う何かに変貌し、あっという間に消えうせた。
それでも男にはどうでもよかった。
彼にとっては振り込まれたこの課金額が全てなのだ。
これだけあればもう何も怖くない。
タダ同然のギャラで専門学生をつかまえてカードのイラストを描かせる事も、コピペで作ったゲームの管理のためにサーバーを置くことも、球団を買ったりマラソン部を買って宣伝する必要ももうありはしないのだ。
「さぁて、あの会社も今頃はてんてこ舞いだろうから、連絡がくるまで、ちょっと夜の街にでもくりだし……」






ピンポーン

「ん?なんだろ、水道のメーター検査かな?」
深夜にさしかかろうかという時間に鳴らされたチャイムを怪訝に思いながらも、男は会社のエントランスへと向かう。
「はいー、なんでしょー?」

「JASRACのものですが」
「は?」
「御社で開発していたゲームに、我々が著作権管理をしている楽曲が無断で使用されていたという情報がありまして」
「え?は?いや、知らないですけど」
「いいえ、全世界配信までしていて知らないはないでしょう。流れてましたよ、『思えば遠くへ来たもんだ』とか」
「あっ!?」
男は青ざめる。
アレは本来流れるはずのない没データだったのだが、オートバランサーが何を思ったかゲームの表層へ持ち出したのだ。
それをどうこう言われても、とは思うがまさかかの会社との関係まで話すわけにもいかない。
それに男には今巨万の富があるのだ。
著作権料など何するものか。そう、思って、聞いた。
「あーそうかー、すいませんねー。ええと、おいくら万円払えばいいんです?」
「全世界で数百万再生はくだらないですからね。しかもいまだに一部ではあの日の録画が出回っていて、実質的な再生数は見当も付きません」
「え、じゃあ」
「なので、とりあえずの試算で、このくらいで」
JASRACさんが取り出した電卓に並んでいた数字を見て、男は卒倒した。
そこにあったのは、彼が先ほど大喜びで見つめていたディスプレイの額と殆ど変わらぬ数字が並んでいたのだ。

「毎度ありーっ」
JASRACさんが帰った後、男は死んだように這って、開発室へと戻った。
ディスプレイには3桁しか残っていない預金額。
がっくりと膝をついて、男は泣く。
「もう、こんなことはやめよう」
自分のしたことの虚しさを嘆く。
「明日からは……」
そして決意する
「ガチャのレア出現率をもうちょっと絞ろう」
更なる搾取を。


【JASRAC 国家予算並みの収益を得る】
【モバージュ 課金ガチャのレア出現率を下げる】


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最終更新:2013年01月26日 07:44