DECIDE THE DESTINY ◆oub/vvrBRg
――――西暦20XX年
格闘ゲーム、いやアーケードゲームというシーンは滅亡しかけていた。
家庭用、初心者狩り、動画勢、様々な要素が絡み合い食い合い、ゲームセンターでお金を払って誰かと対戦するという文化は滅亡しつつあった。
いくつものゲームセンターと、何人ものアーケードゲーマーがシーンを盛り上げようとしていた。
だが、それも時代の波には勝てなかった。
まるであざ笑うかのように、現実は彼らを押し潰していく。
次々にアーケードゲーム主体のゲームセンターは閉店し、個人はおろかアミューズメントスポットはファミリー向けの大手のみしか生き残れないという状況になった。
今、アーケードシーンを抱える店舗はこの世界にも数店舗しかない。
廃りきった文化。
これは、そんな文化を今も守り続けている場所での出来事だ。
――――都内某日
「お待たせしました」
「いえいえ、こちらこそ」
「それで、ですね。今回お呼びしたのは……お伝えしたとおりです」
「新作アーケードゲームの概要説明及びオープンテストの依頼、ですね?」
「話が早い……これが、今回様々なゲーム会社が一丸となって開発したアーケードゲーム"バトル・ロワイアル(仮)"です」
「ほほう、それはまたストレートなネーミングですね」
「仮称なので変わる可能性がありますが……それはともかく。
ゲーム内容としては様々な版権キャラが飛び交い、流行のTPS(サード・パーソン・シューティング)のように全画面を駆使して戦うアクションタイプの新作アーケードゲームです」
「……TPSのようなアクションですか、正直我々アーケード業界の出る幕ではないと思うのですが」
「ふふっ、そうお思いでしょう?
このゲームの肝は、従来のアーケード格闘ゲームのような動きができるという所にあります。
この装置を介することで思考から直接動きを読み取り、ゲームを楽しむ。
まるで本当にキャラを動かしているかのような緊迫考えられるんです。
更に対戦相手となるコンピュータは各社の技術を結集して作られた、超高性能AIです。
まるで人間のような思考で、プレイヤーを飽きさせません。
しかもプレイするごとに違う思考のコンピュータが現れるので、コンピュータ戦だけでも楽しむことができます
もちろん、対人戦もできます。最大対戦人数は行く行くは四桁を越える大人数を予定しています。
今回はオープンテストということでプレイヤー六人を含めた全65人を予定しています。
そこで、このコンピュータキャラクターがトップクラスの格闘ゲーマーが満足するに値する出来なのか、というのをオープンテストで試していただきたいわけですね」
「なるほど……しかし、何故なんですか? このゲームならターゲットはアーケードゲーマーじゃなくてもいい。
むしろコンシューマで出した方がバカ売れするでしょう」
「駄目なんですよ、アーケードシーンを復活させないと、そのためにはおもしろいアーケードゲームが必要なんです。
そのために、古来の格闘ゲーマーが満足し、長く遊んでもらえそうなタイトルなのかどうかを判断する必要があるんです。
そして、貴店にオープンテストを頼みたい理由はもう一つあります。
実は……このゲームの根幹には、あのAC北斗の拳が使われています」
「……!?」
「嘘だとお思いでしょうが、各社の厳選なる判断の結果です。
プレイヤーに愛され、アーケードシーンを支え続けてきたタイトル。
そんなタイトルのプレイヤーに満足してもらえるのならば、アーケードシーンの最前線を張れるに違いない。
上位プレイヤーたちの腕も確かであることは間違いなく、オープンテストのデバッガーとしてもよい結果が得られるでしょうしね」
「……………………まあ、いいでしょう」
「ありがとうございます、ではこちらが今回テストプレイに参加するプレイヤー達です。
招待、当日の配信等々こちらで全て手配いたしますのでご安心ください」
「分かりました」
「では……当日に貴店でお会いしましょう」
そして、新作アーケードゲーム"バトル・ロワイアル"の告知が、世間に大きく打たれた。
当日某店舗に押し寄せた人数は計りしれず、まさかの入場規制がかかるほど。
動画配信を請け負った動画配信サイトのサーバーがダウンしかけるなどのトラブルも挟みつつ、その時は訪れた。
「はい! みなさんこんにちは!!
本日の土曜拳でお送りするのは! なんとあのAC北斗の拳をベースにした新作のロケテ!!
いやーねー、僕もついこないだ店長に聞いたばっかりであんま把握してないんですけども。
なんでも格闘ゲームの動きっぽいことが出来るTPS風味のアクションゲーで、思った通りの動きがそのままゲームにトレースされるらしいとかいう話なんだけどー、いや俺も半信半疑だけどね?
どこに北斗の要素があるのかは謎なんですけど、まあやってみれば分かるってことらしいんでー。
対人戦もできるそうなんですが、コンピュータがこのゲームはすごいらしく、対人戦さながらの行動をしてくるって話らしいッスよ。
だから対人戦できない地域でも十分CPU戦で満足できると! 将来的にはネット対戦なんかも出来るようになるらしいんで楽しみですねー。
で! AC北斗といえばウチの店ということで今回独占オープンテストという運びになりました!
テストプレイヤーを紹介するとー! 我等が覇者K.I! 忘れちゃいけない魔法戦士QMZ! 初代覇者の紅の豚!
そしてみんなのアイドル5様! 加えて一般公募の北斗プレイヤー4名でお送りします!
配信でごらんになってる方は、それぞれのプレイヤーごとにチャンネル分かれてるんで気をつけてくださーい。
え、何もう始まる? スタンバってんの? じゃあ行きますか! 新作ゲームテスト配信! "バトル・ロワイアル"!! 始めまーす!!」
「「「ウォオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」
BATTLE ROYALE
INSERT COIN
チャリーン \カオスコード/
PRESS START
パシッ
視界が瞬く間に黒から白に塗りつぶされた後、じわりじわりと色が塗られていく。
何人かの人影、そして鏡のような地面に映る顔。
そこには自分があのゲームで何時も使い慣れていたキャラの顔が映っていた。
「AC北斗ベースってのはホントか……」
そうと分かれば今すぐ両手両足を動かし、性能の変化や当たり判定の差異など調整点を確かめたい。
まあ、それはゲームをプレイしていけば分かるだろう。
ぐるりと辺りを見渡してみると、人間やらモンスターやらいろんなキャラクターが居る。
これはキャラクター限定コンボが面倒になるな……。
「ようこそ、皆さん」
そんなことを考えている時に、いかにもシステム音声という声が流れてくる。
声の出所はわからないが、よく出来たゲームだ。
「これより、皆さんには最後の一人まで殺し合いをしていただきます」
そう、格闘ゲームは殺し合いだ。
常に頂点は一つ、立っている人間は一人だけなのだ。
シンプルかつ分かりやすい表現に、思わず頷いてしまう。
「
ルールは配布される荷物の中にルールブックがあるので其方をお読み下さい。
そのルールに書かれている事以外なら何をやっても構いません。
永久、即死、10割、ハメ、何でもOKです」
なんとも世紀末なゲームだ。
というか、ゲーム側から即死やハメの存在を公言しても良いのか。
全く底の知れないゲームだ、ワクワクする。
「ただし、ルール違反をすると皆さんの首に付けられた首輪が爆発して死亡します」
だが、禁止事項というのがどうも存在するらしい。
それを破れば即死亡、というのは流石にやりすぎではないか?
まあ、ハメも永久も認可されてる状況での禁止事項なのだからよっぽどなのだろう。バグ昇龍とか。
「そう、こんな風に」
そして、その一言と共に数人の人間が突然現れる。
彼らが状況を理解するどころか、息をつく間もなく特撮映画のような爆発がドカンドカンと巻き起こる。
うーん、エフェクトと演出が派手なのは北斗チームじゃなくって向こうのチームのお家芸じゃないのか?
なんて事を考えているうちに煙が晴れ、突然呼ばれた全員の首と胴体が離れ離れになっていた。
一面にはおびただしい血が撒き散らされ、誰もがその事態を飲み込めずにいる。
おいおい、ちょっとこれはグロすぎるんじゃないの? まあロケテアンケートに書けば良いか。
「最後の一人となった人間が、このゲームの勝者となります」
分かりやすい勝利条件が、もう一度提示される。
見せしめとなった人間を見て、ある者は叫ぼうとし、ある者は怒りに狂おうとする。
おうおう、結構リアルじゃないですか。
辺りを見渡しながらそう思ったとき、自分の体が半透明になってどんどんと消えていく。
「では、みなさん頑張ってください」
その声と同時に、俺はどこかへと飛ばされていった。
さあ、ゲームの始まりだ。
【ケンシロウ@AC北斗の拳 死亡】
【紅の豚@AC北斗の拳 死亡】
【ベガ@ナムコ×カプコン 死亡】
【千歳ゆま@魔法少女おりこ☆マギ 死亡】
【よろいのおう@魔界塔士Sa・Ga 死亡】
【鹿目まどか@魔法少女おりこ☆マギカ 死亡】
【猫@DARKER THAN BLACK‐黒の契約者‐ 死亡】
【クレス・アルベイン@テイルズオブエターニア 死亡】
【インキュベーター@魔法少女おりこ☆マギカ 死亡】
【一夢庵ひょっとこ斎@花の慶次 死亡】
【新安価ロワイアル 開始】
「え? 何々? 豚さんともう一人ゲームオーバーになったの?
呼び出されて即爆発して即死? マジで?wwwww
えっ、あ、はい……あ、そうなんすね! 豚さん、それ仕様らしいっす。
なんでもゲーム投入時にランダムで即終了することがあるって……ってそれクソゲーじゃん!!」
主催:架空のゲーム「バトル・ロワイアル」
黒幕:アークシステムワークス
※アークシステムワークスを中心としたゲーム会社が「AC北斗の拳」をベースに開発した「バトル・ロワイアル」という架空のゲームが舞台です。
AC北斗勢以外は各社の技術を結集して作られた「人間同様の思考と行動をするコンピュータキャラ」になります。
詳しくはルール参照。
※ロワ内の経過時間≠AC北斗勢プレイヤー世界の経過時間です。
AC北斗勢にとってはバトルのみ格闘ゲーム風味、それ以外の移動などはグランドセフトオートのように高速で時間が流れる感じになっています。
通しでプレイして現実世界では約一時間程度でしょう。でもコイン入れて即死の可能性はちょっと……
最終更新:2013年01月30日 15:24