俺物語 ◆fRBHCfnGJI
これから死ぬ気分はどうだい? 最高さ。
君の人生って何だい? 最悪さ。
人を何もしらない餓鬼みたいに、馬鹿にしてくれんなよ。
知っているのさ、俺に人生なんてものが無いことぐらいはさ。
◆
ゴミ処理場にあるもの等、職員とゴミくらいだろう。
ならば、皮肉げな笑みを浮かべてゴミ処理場に呆と立っているこの青年は職員かあるいは──
「俺も、ゴミみたいなもんか?」
青年に名前は無かった。
青年にはただ、男アーチストという分類だけが与えられた。
青年に思い出は無かった。
青年にはただ、かつて大破壊後の荒廃した世界で暮らしていたという記憶だけが与えられた。
青年には何も無かった。
青年にはただ、何も無かった。
彼が──ただ、1つだけ何かを持っているというのならば、
それは、ただ一つ役割だけ。
彼は知識を知ってしまったがゆえに、
己を取り巻く何もかもをも失ってしまった。
偶発的に起こったバグ、それ故に青年は、己がこのゲームのために生みだされた生命であることを知ってしまった。
ならば彼はこのゴミ処理場にて処理されるべき廃棄品なのだろう。
バグを1つずつ取り除いて、ゲームは完成へと歩を進めるのだ。
アーチストの右腕が、己の生命ゲージを削り取るために小パンを放とうとする。
「それでも……それでもなぁ…………」
男アーチストの魂から絞り出したかのようなか細い声と共に、小パンがキャンセルされた。
「俺はこのゲームのために作られた生命だとしても…………それでも、生きていてぇんだよ。
何も……何もなくても、これから…………これからがあるのなら、せめて、空っぽの自分を満たしていきたい…………
だから、まずは俺として…………男アーチストとしてやれることから始めて……いくよ…………」
ゴミ処理場に歌声が響き渡った。
Happy birthday to you,
Happy birthday to you,
Happy birthday, dear 【名前を入力してください_】
【ド_】
【ドラ_】
【ドラム_】
【ドラムカ_】
【ドラムカン_】→この名前でよろしいですか? →はい
「…………嘘の思い出でも、俺はお前と旅をしていたんだ、ドラムカン。
だから…………悪いな、誕生日プレゼントの代わりに、お前の名前……もらっていくな」
青年に名前は無かった。
青年は己に、ドラムカンという名前を与えた。
「とりあえず……この殺し合い、俺は歌でも歌うことにするよ。
AIだろうがなんだろうが、誰かが喜んでくれるかもしれないしな」
青年に思い出は無かった。
青年はこれから、思い出を作っていく。
「んじゃあ行ってくるよ、あと俺自分の永パ見つけたからとりあえず北斗勢は全力で殺すわ」
青年には何も無かった。
青年にはただ、何も無かった。
だから、旅立とう。
何かを見つけるために。
【ドラムカン(男アーチスト)】
[状態]:バグ
[装備]:不明
[道具]:不明
[思考・状況]:自分探し(ジョーカーである北斗勢はハメ殺す)
最終更新:2013年01月21日 06:04