空を飛んだゆっくり2




『う~?なんでそとにいるんだどぉ~?』



「あ・・・う・・れ、れーむをたべるの?」



『う~?そんなあたりまえのこときいてどうするんだどぉ~?』



「お、おねがいだからたべないでね!」



『う~?べつにおまえはたべないどぉ~?れみりゃにはちゃんとえさがあるんだどぉ~♪』



「えさ?ってその・・あしもとのゆっ・・くり?」



『そうだどぉ~♪でもこんなのはぽいだどぉ~♪』



「なんでなの?たべなきゃゆっくりできなくなるよ!!」



『こんなところでくらすならしんだほうがましだどぉ~!!!』




それかられみりゃとれーむはずっと語り合った、ほとんどれーむが喋っていただけだったがれみりゃはずっとソレを聞いていた
家族でゆっくりしていた事、家を失い家族がバラバラになった事、行くあても無く彷徨っていたら偶々ここに着いた事
久しぶりのおしゃべりが楽しくて夢中になって喋り続けた、相手が自分を捕食する立場のものという事も忘れて



『それはたいへんだったんだどぉ~、ゆっくりしていくんだどぉ~♪』



「ありがとう、れみりゃ!!!ゆっくりしていくね!!!」



『うー☆でも、とつぜんにんげんがくるときがあるからきをつけるんだどぉ~♪」



「ゆっ!!わかったよ!!!ゆっくりきをつけるね!!!」




そんな暮らしが始まってから一週間ほどたったある日の事
れーむは床に落ちている餌を食べすっかり回復し、またれみりゃも様々な事をれーむに教えていた
ここは「加工所」と呼ばれている所で、下の階の床に餌が落ちているのは天井にゆっくり用の籠が吊るしてあるからだという事
そして自分がここに「なぜ居るのか?」という理由




『れみりゃは、たぶんどこかとおくのもりにすんでたんだどぉ~』



『みんなでおどったり、ちかくのおやしきでぷっでぃ~んもらったりしてたんだどぉ~』



『でも、たまたまおそとでおひるねしてて、おきたらここにいたんだどぉ~』



「ゆっ!?かえりたくならないの?」



『う~?ここからでられないし、そとがどんなところかわからないからできないんだどぉ~』



「じゃあゆっくりここからにげようよ!!!そのゆっくりぷれいすに!!!」



『う?それはできないどぉ~?にんげんにみつかっちゃうどぉ~』



「だいじょうぶ!!れーむがそのおりの[かぎ]をこわすよ!!!」



『これはそんなにかんたんにはこわれないどぉ~、どうするんだどぉ~?』



「ゆっくりかじってこわすよ!!!まかせてね!!!」



『うー☆それはおもしろそうだどぉ~♪うまくいきそうだどぉ~♪そうときまったらじゅんびをはじめるどぉ~♪』



「ゆゆ?じゅんび?」



『れーむをのせてとぶためにたいりょくをつけるどぉ~♪ごはんをたべるどぉ~♪』



「ゆゆっ!!!れーむはたべないでね!!!きっとおいしくないよ!!!」



『だからだいじょぶだどぉ~♪ごはんはにんげんがもってきてくれるどぉ~☆』



「ゆっくりふたりでがんばろうね!!!」『うー☆がんばるどぉ~♪』




それからさらに一週間後、作戦は決行された
たった一夜の大作戦
朝、人間が来てから夕方もう一度来るまでの間に逃げる
到底無理と思える作戦は、二人にとって見れば希望の作戦だった




『うー、にんげんがいったどぉー』



「ゆっくりかじるよ!!!さっさとにげるよ!!!」



「がーじ、がーじ、かたいよ!!!」



『うー、がんばるんだどぉー、おうえんしてるどぉー』



「か、かたいよ!はがいたいよ!!でも、まけないよ!!!」



『うー☆がんばるんだどぉー☆ふぁいと~、だどぉ~♪』



「ふぁいとー!!!ゆっくりー!!!」




作戦開始から数刻後、檻の鍵は半分ほどまで削れいた
しかし、れーむの口からは餡子が滲み出していた
お互いに励ましあいながら作業は進んでいく




『うー、なかみがででるんだどぉー・・・いたそうだどぉー』



「だいじょうぶだよ!!もうすぐでれるからね!!!」



『むりしなくていいどぉー・・・しんじゃうどぉー・・・』



「がーじ、がーじ、ゆぐっ!?はがかけちゃったよ・・」



『もういいどぉー・・・かえれなくてもいいどぉー』



「ゆゆ?なんでそんこというの?」



『このままじゃれーむがしんじゃうどぉー・・・それはいやだどぉー』



「れみりゃ、ここでたらどこいく?」



『それはもうい「れーむはいやだよ!!!」』



「こんなゆっくりできないとこでしぬのはいやだよ!!!まだまだゆっくりしたいよ!!!」



『れーむ・・・』



「だからきかせてほしよ・・・れみりゃのゆっくりぷれいすのおはなし」



『うー・・・れみりゃのゆっくりぷれいすは”こーまかん”っていうんだどぉー』



『みんなやさしくていいひとたちなんだどぉー♪なかでも”さくや”はいちばんだどぉー♪』



『あいたいどぉー・・・さくやぁ・・・』



「あいにいけるよ!!!いまれーむがだしてあげるから!!!」



「もうすぐおわるよ!!!きっとにんげんはびっくりするよ!!!」



『びっくり?』



「でられるはずのないれみりゃがあさになったらいなくなってるんだよ!!!きっとびっくりだよ!!!」



『うー☆びっくりぃ~♪びっくり~♪』




カリカリカリ、ゴトン!!!



れみりゃ!!!ゆっくりでてきてね!!!



うっうー☆しっかりつかまるんだど~♪



その日幻想郷の空に一組のゆっくりたちが目撃された
二人とも笑顔でグングン加速して湖のほうに飛んでいった
ゆっくりぷれいすを目指したものと、ゆっくりぷれいすに帰りたかった二匹の話はここで終わる



さらに二日後、紅魔館に客人がやってきた



「『ゆっくりしていってね!!!』」




~おわり~


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最終更新:2009年04月06日 21:24