ゆっくりと農業

 *注意*

ゆっくりが死ぬ描写が有ります。苦手な人は回れ右


















「ゆゆ~・・・おはなさんがいっぱいだよ~」

「すごいね~きれいだぜ、れいむ!!」

「「ここをふたりのゆっくりぷれいすにしようね!!!」」


ある日山の中にある向日葵畑に二匹のゆっくりがやってきた
何も知らない二匹はここを自分達のゆっくりぷれいすに決めたようだ
そう、大妖怪『風見幽香』の畑とは知らずに・・・


「ゆゆ~♪これだけおはなさんがあればすごくゆっくりできるね♪」

「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」

『あら・・・貴方達は何をしているのかしら?』

「ゆゆっ!!おねーさんもゆっくりしていってね!!!」

「ここはれーむとまりさのゆっくりぷれいすだぜ!!!」

『ふぅ・・・いつ見ても醜い物ね。貴方達、ここは私の畑なのだけれど?』

「ゆゆ?そんなことないよ!!おはなさんがかってにさいてたんだよ!!!」

「そもそも、はたけってなんなんだぜ?たべれるものなのかだぜ?」

『ふぅ・・・醜い挙句に無知なのね。貴方達子供はいるの?』

「ゆっ!?・・いたけど、しんじゃった・・・」

「たべものがなくて、ふゆをこせなかったんだぜ・・・」

『ここの花は私の子供達なのよ?それを食べるなんて万死に値するわ、覚悟はあるの?』

「ゆゆっ!!!あやまるからゆるしてね!!!ころさないでね!!!」

「こどもたちのぶんまでゆっくりしなきゃならないんだぜ!!!ゆるしてほしいぜ!!!」

『好き勝手した挙句命乞いとは呆れる・・・興が冷めたわ、どこにでも行きなさい』

「おねーさんまって!!!れーむたちはちゃんとあやまってないよ!!!」

「おねーさんのためになにかしたいぜ!!!させてほしいんだぜ!!!」

『あら、ゆっくりにしては殊勝な考えね。辛くても逃げない覚悟はあるかしら?』

「ゆゆっ!!もちろんだよ!!!がんばるよ!!!」

「だいじょうぶだぜ!!!にげたりしないぜ!!!」

『もうここから外には帰れなくてもいいのかしら?』

「ゆゆっ!?・・・・ゆっくりかくごしたよ!!!みれんはないよ!!!」

「からだひとつにゆっくりだましい!!!ここでしんでもないたりしないぜ!!!」

『ふふっ、気に入ったわ。一緒に来なさい、貴方達の新しいお家に案内するわ』


ゆっくり出来る事はたかが知れているので植物を育てさせる事にした
最初は向日葵にしようとしたが、「たべられるおやさいさんのほうがいい!!」とのことで野菜にした
しかし、ゆっくりに育てさせる野菜を何にするかが難しかった
大根や人参は成長具合が分からず、やる気をなくすと面白くないのでプチトマトにしてみた
そして幽香とゆっくり達の共同生活には、ある条件が用意された
『逃げる・飽きる・枯れさせる。以上のことをした場合、即肥やしにする』


「「ゆっくりおはよう!!!」」

『あら、おはよう』

「おねーさん!!さっそくおやさいさんをそだてるよ!!!」

「でもわからないからおしえてほしいんだぜ!!!」

『まずはこの『種』をよく日のあたるところに植えなさい。後は適度な水とたっぷりの『愛』を与えなさい』

「ゆゆっ?むずかしくてよくわからないよ?」

「もっとわかりやすくおしえてほしいんだぜ?」

『ふぅ・・・これをゆっくり出来る場所に埋めたら、偶にお水をあげていっぱい歌でも聞かせてあげなさい』

「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」

『無知というのはそれだけで罪ね・・・手間がかかりそうだわ』

「ゆっ!!ゆっせ!!ゆっしょ!!!ゆふ~、これくらいでいいかな?」

「んじゃ、ゆっくりうえるぜ!!!・・・・みてないでれーむもてつだうんだぜ!!!」

「「ゆっくりうえたよ!!!」」

『そしたら水をかけてあげなさい。喉が渇いてたらゆっくり出来ないでしょう?』

「「ゆっくりみずまきするよ!!!」」

「ぴゅー♪ぴゅー♪ゆっくりおおきくなってね!!!」

「ちょーろ♪ちょーろ♪りっぱにそだつんだぜ!!!」


ゆっくりが朝おきて水をまき、歌を歌って聞かせ、自分の排泄餡を肥料として与え
そして、ゆっくりが気づかないところで幽香の能力で成長を進める
「進める」といっても幽香が手出しするわけではなく花の成長スピードをちょこっといじくる程度である

そんな生活も半月も過ぎプチトマトも立派に生長して小さな実をつけた
二人は天にも昇るような思いだった、自分たちの努力が目に見える形で実ったのである

そんな矢先に事件が起こってしまった


「ゆーかおねーさーん!!!やっぱりまりさがいないよ!!!」

『そう・・・館の中にもいないのよねぇ』

「ゆゆぅ~・・・どこいったのかなぁ・・・」

『れーむ、最後にまりさと会ったのはいつ?』

「ん~、あさおきて、おそとをみて、ごはんをたべて・・・そこまでしかおぼえてないよ!!!」

『手がかりが少なすぎるわね・・・今日はおやさいさんは見に行った?』

「いってないよ?おそとはあめだからゆっくりできないし・・・もしかして!?」

『多分、そうでしょうね・・・・まったく無茶するわね・・・』

「おそとはあめだよ!!!さがしにいけないよ!!!」

『私が行ってくるわ。お留守番できるかしら?』

「・・・れーむもいくよ!!!まりさとおやさいさんがしんぱいだもん!!!」


二人の予想通りまりさはプチトマトのところでみつかった
自慢の帽子をプチトマトの茎を蔽うように被せ、自分は泥にまみれてそれに寄り添っていた
どう贔屓目に見ても助かりそうに無い状態だった


「ばでぃざぁぁぁぁ!!!しっがりじでぇぇぇ!!!ゆっぐいじようよぉぉぉ!!!」

『貴方、雨なのになんでこんなところにいたの?』

「あかちゃんが・・・れーむとまりさのあかちゃんが・・・ゆっくり・・できない」

『どういうことなの?』

「あめ・・・ぬれちゃ・・・しんじゃ・・」

「ばでぃざぁぁぁ!!!なんでごんなごとじだのぉぉぉ!!!」

「もう・・・あかちゃ・・・くるしむとこ・・・みたくない・・から」

『貴方は馬鹿ね、本当に馬鹿よ・・・・なんで私に相談しなかったのよぉぉぉ!!!』

「じぶんたちで・・・やるって・・・やくそく・・した」

「じなないでぇぇぇ!!!ばでぃざぁぁぁ!!!ひどりにじないでぇぇぇ!!!」

『貴方はもう助からないのよ?何でこんな無茶するのよ?本当に・・・愚かよぉ・・・』

「ふたりとも・・なかないで・・・まりさはさきに・・こどもたちとゆっくり・・してるよ」

「ばでぃざぁぁぁ!!!れーむもづれでってぇぇぇ!!!」

「おねーさん・・ごめんなさい・・やくそく・・まもれないよ」

『もういいから、喋るのをやめなさい!!肥やしにするわよ!!!』

「おねーさ・・・じょうだん・・・きついよ・・・これを・・まりさだとおもって・・・そだてて・・・」

『これは・・・お饅頭?』

「まりさの・・・いちばんだいじな・・・あんこだよ・・」

「いがないでぇぇぇ!!!かえっできでぇぇぇぇ!!!」

「ゆっくり・・・した・・けっか・・・」

「までぃざぁぁぁぁ!!!めをあげでぇぇぇ!!!」

『・・・・・・馬鹿』


二人は泣いた、声が枯れればいいと、涙なんか枯れてしまえと
涙も声も全て雨がかき消してくれた、二人の慟哭はまりさと共に天へと昇っていった

その後、幽香が受け取ったあのお饅頭はあかちゃんゆっくりという事が分かった
まりさのためにも悲しんではいられないとれーむは働いた
幽香もまた普段どおりに戻っていった

それから三回目の夏が来た
ゆっくりの畑は拡張され、トマト・大根・スイカの三種類の畑となった
最近では近隣のゆっくり達にも食糧支援や越冬時の支援など大忙しである


「ゆっくりおみずをまくよ!!!じゅんびはいい?」

「ゆっくちまくよ!!!・・・ぴゅー!」

『ちょっと・・それは私の足よ・・・』

「「ゆっくりまちがえたよ!!!」」


「おおきなおぼうしのはたけ」と呼ばれる畑はその名の通りまりさ種の大きい帽子が目印
風に揺られて今日も畑を見守っている


~おわり~


  • イイハナシダナー!プチトマトって植物型の胎児によく似ているからまりさは子供たちのことを思い出したんだろうか。 -- 名無しさん (2008-10-14 00:25:17)
  • 良かった。読み終えた後気持ちいい。こっそり手伝ってあげてる幽香さんにときめいた。 -- 名無しさん (2008-10-14 01:06:20)
  • まりさのカタチをした案山子さんがいるにちがいないー!「ここはみんなのゆっくりプレイスだよ!!!まりさはゆっくりプレイスをまもるよ!!!」雨の日も風の日も畑を護れるまりささんは、とっても素敵に無敵にゆっくりなのでした。…なんてネ♪ -- ゆっけのひと (2009-04-11 05:16:59)
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最終更新:2009年08月19日 13:39