ゆっくりと風邪

「ゆっくりしていってね!!! あさだよ!!!」

「れーむ!! れーむ!! あさだよー!!」


朝の神社にゆっくりの声が響く、飼い主はまだ寝ているようだ
秋も終わりに近づき冬の足音も、もうすぐそこ
朝・日中・夕方と気温が変わりやすく、体調を崩しやすい
そんな季節の変わり目には用心すべきである


「れーむー!! ゆっくりいそいでね!! さむいよ!!」

「いつもの『ぽかぽか』よういしてね!!」


ぽよぽよと小気味良い音をさせながら跳ねてきたのは飼い主の寝室
寒い朝に耐えかね暖の用意をせがみに来たようだ


「ゆっくりはいるよ? ゆっくりおきてね!!!」

「うー・・・静かにしてよね・・・ズズッ」

「どうしたの? こえがへんだよ!!」

「風邪よ風邪。・・・なんてことないわよ・・・」

「かぜ? ゆっくりせつめいしてね!!」

「頭に響く・・・もうちょっと静かにしてくれる・・・ズズッ」

「ゆっくりりかいしたよ! だからせつめいしてね!」

「アンタのよく言う『ゆっくりできない』状態になったのよ・・・わかった?」

「いやぁぁぁ!!! だめだよぉぉぉ!!! ゆっくりしようよぉぉぉ!!!」

「こんなことで泣かないでよ・・ズズッ・・寝てれば治るわよ」

「そうなの?・・うそつかない?」

「嘘じゃないわよ・・・だからゆっくり寝かせてね」

「ゆっくりりかいしたよ・・・じんじゃはまかせてね!!」

「ああ、はいはい。・・・・えっ?」



そんなわけで霊夢が治るまで『博霊の巫女(代理)』を勤める事になったゆっくりれいむ
まず始めたのは境内の掃除。椛の葉があちこちに散っている
霊夢が普段やっているのを思い出しながらの作業だ
どうやら箒はもてないので口で集めているようだ



「ゆっくりそうじするよ!!」

「はっぱさんをあつめるよ!! かってにうごかないでね!!!」

「ゆーしょ! ゆーしょ! ゆふー!! ゆゆっ!! かぜさん!! ゆっくりやめてね!!」

「ゆっ! ゆっ! ゆゆっ!! はっぱさんがへらないよ!? どうして!?」

「どうじでであづめだそばがらいなぐなるのぉぉぉ!!! ゆっくりじでねぇぇぇ!!!」

「ようゆっくり、ゆっくりしてるか?」

「までぃざおねーざん!? ゆっぐいじでいっでね!!!」

「こんなところでなにやってんだ? 霊夢は居ないのか?」



突然やってきた魔理沙に状況を説明するれいむ
半べそのゆっくりの言葉は聞き取りづらかったが「霊夢が寝込んでいる」という事は分かったらしく
今日一日霊夢の看病を兼ねて、ゆっくりれいむの面倒も見ることにしたようだ



「・・・というわけで神社は任せるんだぜ!!」

「ゆっくりまかせてね!!!」

「分かったから・・・ゆっくり寝かせて・・・・」


「・・・さてれいむ、とりあえず何するんだぜ?」

「ゆー・・・さっきの続きをやるよ!!」



魔理沙と二人で作業再開
魔理沙が箒で、れいむが塵取。手馴れたものでパパッと片付いてしまった



「ふん♪ふふ~ん♪ふ~ん♪っと、こんなもんかな?」

「ゆっ! ゆっ! ゆふ~!! ゆっくりあつまったよ!!!」

「さて、この葉っぱどうするかな? 焼き芋でもやるか?」

「やきいも!! やきいも!! やるやるー♪」

「んじゃ決まりだな! 私は準備してるから、台所から芋二個くすねてきてくれないか?」

「ゆっくりわかったよ!! ちょっとまっててね!!」


「よし、準備はバッチリだな。火をつけるから少し下がったほうがいいぜ」

「ゆゆっ!! そーろ、そーろ、おねーさんのうしろにかくれるよ!!」

「よっ、と。後は待つだけだな」

「ゆゆ~♪ ゆっくり~♪ ゆっくり~♪」



待つ事半刻ほど、どうやら芋も良い具合に焼け、食べごろのようだ
二人仲良く一つずつ、ちょっと贅沢な休憩である



「おおっ! 良い感じじゃないか。ほら、ゆっくり食べろよ」

「ゆっくりたべるよ!! むーs! あふっ!! むーしゃ! あふふっ! あっついよぉぉ!!!」

「ほら私が冷ましてやるよ。ふー、ふー、これでどうかな?」

「ゆっふいたべるよ!! むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!!!」


午後も二人で神社の雑務をこなしていく
雑巾がけ、蜘蛛の巣取り等など

そんな時間も過ぎ夜が来た
漆黒の闇、妖怪の支配する世界
魔理沙は神社の戸締りを済ませ、家に帰っており
今は霊夢とれいむの二人だけである


「そーろ、そーろ・・・こっそりー・・・」


そろり、そろりと擬音を口にしつつも霊夢の寝室にゆっくり入っていく、れいむ
暗闇の中布団への侵入を試みているようだ

「もーぞ、もーぞ、ぱかぽか~♪」

「・・・・まだ起きてたの?」

「ゆゆっ!? みつかっちゃったよ!!」

「あんまり近くによると風邪ひくわよ?」

「だいじょうぶだよ!! れいむはつよいから、かぜなんかひかないよ!!」

「そう・・・なら一緒に寝る? 湯たんぽが無いから寒いのよね」

「なられいむが『ゆたんぽ』になってあげるよ!! きっとあったかいよ!!!」

「ならお言葉に甘えさせてもらうわね・・・本当だ、あったかい」

「ゆっくりねてね!! おやすみ!!」

「おやすみ、れいむ・・・・今日はありがとう・・・」



朝、澄んだ空気が心地良い目覚めをくれる季節
巫女の風邪も治り、すべては日常に戻っていった・・・が



『ゆっぐじおあよう!!! いいあざだね!! ジュルジュル!!』

「ほら、また鼻水で出るわよ。はい、チーンして」

『ジーーーン!! じゅっぎりー!!ジュルッ!』

「もう、なんであんたまで風邪引くのよ・・・」

『ゆっぐじなおじでいっでね!! ズズッ』


博霊神社の素敵な巫女と、不思議な饅頭
二人は今日もほのぼの過ごしていく


~おわり~

  • けなげでおばかなれいむに萌えた -- 名無しさん (2008-11-05 21:35:20)
  • いいね~ほのぼのww -- なんかこう、フツフツと・・・・ (2009-04-17 17:49:35)
  • かわええの 「ゆーしょゆーしょ」 -- 名無しさん (2010-04-14 22:42:39)
  • なんにでもさん付けは媚び過ぎな気がする。それ以外は可愛いと思う -- 名無しさん (2010-04-15 00:36:54)
  • 鼻水はどこから出るんだw -- 名無しさん (2010-12-09 09:30:48)
名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年12月09日 09:30