「れいむ? そろそろ出てきてくれてもいいんじゃないか?」
「いやだよ!! おにいさんがあやまるまで、でていかないよ!!」
「ふぅ・・・まいったなぁ・・・」
半刻ほど前のこと
「れーむー? れーむー? いないのか?」
「出てこないとお饅頭食べちゃうぞー?」
「・・・反応なしか。本当に食べちゃうぞ」
「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあ「ゆっくりしていってね!!!」
「ゆゆ~ん♪ れいむのおまじゅうはどこ~?」
「れ、れいむ。いたのか・・・」
「おまんじゅうさ~ん? ゆっくりでてきてね♪」
「れいむ。お饅頭さんはもう・・・」
「なんでたべちゃったのぉぉぉ!!! おにいさんのばがぁぁぁ!!!」
それから今までこの調子だ
新しいお饅頭を準備しても、真摯に謝っても出てきてくれない
ずっとお茶菓子の入っている戸棚の中に、顔だけ入れて
後頭部はこちらに向けたまま、頑として許してくれない
「悪かったよれいむ。お詫びに明日外にご飯を食べに行かないか?」
「ゆゆ!? どういうこと?」
「今日の出来事は俺が悪かった。替わりといっちゃ何だが、明日一日一緒にゆっくりしないか?」
「んー・・・おにーさん!! それとひとつだけ、れいむのいうこときいてね!!!」
「それで許してくれるなら、なんでも聞こう」
「おくにはいりすぎてでられないから、ここからだしてね・・・」
次の日、外は一面の銀世界だった
昨日の夜のうちに降ったのだろう、とても寒い
しかしれいむがとてもはしゃいでいるので、これから出かけるところだ
「ゆゆ~・・・すごいゆきだね!!! まっしろだね!!!」
「寒い・・・」
「おにーさん!! はやくいこうよ!!」
「お、おう・・・元気だな」
特に目的は無いがとりあえず近くの丘まで行く事にした
「ゆ♪ ゆゆっ♪ ゆゆ~ん♪ ゆっくりしていってね!!!」
「結構積もってるな。『かまくら』とか『ゆきだるま』作れるかもな」
「ゆ? なにそれ? ゆっくりできるの?」
「なんだ知らないのか、じゃあ作ってやるよ」
「ゆゆ~♪ おにーさんがんばってね!!!」
「任せておけ、とびっきりでっかいのを作ってやるよ」
そんな約束をしてから一時間ほど
いつの間にかその辺で遊んでいたはずのれいむは居なくなっていた
あんまり遠くへ行ってない事を祈って、かまくらの中で待つ事にする
「寒~、いくらかまくらの中でもやっぱり寒いな・・・」
「・・・っくり」
「お? 帰ってきたかな?」
「ゆっぐじいれでね!! そとはゆっぐじできないよ!!!」
「早く中に入って来い、暖かいぞ」
「ゆっぐじはいるよ!!! ゆゆ~♪ぽかぽかだね!!!」
「まぁ、外よりは暖かいだろ。それよりお腹減ってないか? ちょっと寒いけどここでお昼にしないか?」
「ゆっくり~♪ たべる♪たべる♪」
どこで遊んでいたのか鼻水が凍って顔についていて汚い
しかし、かまくらは始めてみる筈なのにぜんぜん驚いていないのが悲しい
「すごいね!!」とか「すごくゆっくりできるよ!!!」とか期待してたのに・・・
「ゆっくりたべたよ!!! しあわせ~!!!」
「はい、お粗末様でした。さて午後は何する?」
「ここをふたりのゆっくりぷれいすにしようよ!!!」
「ここって、このかまくらを?」
「そうだよ!! いつものおうちとここ、ふたつあればきっとゆっくりできるよ!!!」
「多分、ここはそんなに長い間はもたないぞ。雪って晴れるとすぐ溶けちゃうし」
「ゆゆっ!? ゆきさん! ゆっくりしてね!! とけないでね!!!」
「今は大丈夫だろ、それに冬の間は平気。でも春まではもたないな」
「ゆゆ~・・・ざんねんだけど、しょうがないね」
そんなこんな他愛も無い話を二人でした
「外は寒くてゆっくりできない」とか「親切なれみりゃが助けてくれた」とか要領を得ない話だったが
それなりに冒険をしてきたようだった、しかもあげた覚えの無いお菓子まで持ってるのはなぜだろう
「おっ、また降ってきたな。もっと寒くなる前に帰るとするか」
「ゆっくりかえるよ!! おにーさん!! ゆっくりいそいでね!!!」
「家に着いたら風呂でも入るか。体が冷えちまったしな」
「おっふろ♪ おっふろ♪ ぽかぽか~♪」
相変わらず暢気なれいむだったがあのお菓子は誰のだろう
知らない人から物は貰わないように教えてるはずなのに・・・
~おわり~
- すっぽりとじゃすとふぃっとしちゃったんだね~、わかるよ~!!!きっとおにいさんにひっぱって出してもらう時には、「きゅっぽん」てなったとオモウw -- ゆっけのひと (2009-04-11 05:29:46)
最終更新:2009年04月11日 05:29