レミリアは夢を見ていた。
周りのものが大きく見え、自らに手足がない。その夢ではレミリアはゆっくりゃであった。
なぜ夢なのかわかったかというと、自らの意思で話したり動いたりすることができないため。
レミリアはゆっくりゃの視界から景色を見ていた。
夢の内容は、レミリアがフランの一撃を受けた後から始まる。あの後、レミリアは力なく倒れた。
それに対してフランとゆっくり達が駆け寄る。皆泣き喚いて、冷静さを失っていた。そんな中、遅れて近づいてくる影があった。
幽香だ。
幽香が一歩、また一歩と近づいてくる。
周りを見渡すと、向日葵畑が荒らされていた。先ほどのフランの一撃のせいであろう。完全に怒らせてしまったのかもしれない。
フランは完全に血の気が引いて、かちかちと奥歯を鳴らしていた。向こうはまだやる気なのか。
ゆっくりゃの隣でゆフランが怯えている。フランは皆を守ろうと身構えた。けれども、もう戦う体力と気力が残っていないのは明白だった。
それでも姉とゆっくり達を置いて逃げることはしなかった。だが、今襲われたらあっという間に皆殺しであろう。
こっちは満身創痍。幽香はほぼ無傷。最悪の状況だ。
しかし幽香はそのまま通り過ぎてしまった。そして背中を向けたままフラン達に話しかける。
「別にそんなに怯えなくても大丈夫よ。喧嘩を売ったこっちに非があるんだから、畑の事は気にしなくてもいいわ。
それに、弱いものいじめなんてとっくの昔に飽きたもの。」
フランは内心納得しなかった。あんなに好戦的な幽香がなぜこのような心変わりを。
「どういう風の吹き回し?あんたがあっさり引き下がるとはおもえないんだけど。」
「別にあせることはないかなって思ってね。またいつか別の日に続きをしましょう。」
レミリアたちが知る由もないが、幽香がフラン達を見逃す理由、それは幽香はフランの本当の全力を目の当たりにして、
今仕留めるには惜しいと判断したためだった。
フランはまだまだ強くなる。今はまだ精神面で幼いため、すぐに感情的になる。
その場合能力は本来の力を発揮するが、それでは強大な力を完全にコントロールできない。
「そう、あなたがその力を完全に使いこなせるようになったときに決着を。幻想郷の外の誰も邪魔が入らないところで、
どちらかが動かなくなるまで。」
フランはまだまだ小さな芽である。けれども、いつかフランの心が能力にも負けないくらい強くなり
自らの意思で操れるようになったとき、そのときの美しい花を刈り取るときのような心地よさを楽しみにしている。
ゆくっりゃ達は上目遣いに幽香の事を見て、レミリアとフランに止めを刺さないことに感謝をするかのように声をかけた。
「ゆっくりしててね!」「ゆっくり!」
その言葉に反応してか、幽香は背中越しに微笑んだ。それは誰にも見られることはなかったが、これまでで最も美しく凄惨な微笑であった。
「ええ、ゆっくり待つことにするわ。何年、何十年、何百年、何千年でも。」
そうして幽香は去っていった。お姉さんとお友達を大事にするのよと言い残して。
フランはその能力ゆえに物を壊したことはいくらでもあるが、直したことは殆どない。
ましてや吸血鬼でなければ即死するであろう重傷を負った者に対して、どうすればいいのかわからない様子であった。
「ゆっくり~!!!」
ゆフランがいきなり飛び出して、遠くへと飛んでいく。ゆっくりの名に反して、その速度はこれまで見た中で最も速かった。
フランがさらに動揺する。そんなフランにゆっくりゃが声をかけた。
「ゆっくりまってて!!だいじょうぶ!おねぇちゃんだいじょうぶ!!」
ゆっくりゃがフランを落ち着かせようと芸をした。レミリアを怒らせたあの『いないいない、うー』だ。芸の幅が本当に狭い。
けれども、自らがゆっくりゃとなっていたので表情こそわからなかったが、その声は必死だった。その必死さが伝わったのか、
フランは少し落ち着いた。フランはレミリアの体をぎゅっと抱きしめて待っていた。
少しして、ゆフランが小悪魔を連れてきた。このために飛んでいったのであろう。小悪魔は大急ぎで咲夜を屋敷に運んで、
休むまもなく飛んできたのでふらふらであった。小悪魔はレミリアの体のひどい有様とそれを抱きしめるフランたちの姿を見て、
何が起こったのか把握できない様子であった。それでも小悪魔は気をしっかり持つように深呼吸をすると、震えを帯びた声で言った。
「急いで屋敷に戻りましょう!パチュリー様の治療を一刻も早く受けさせないと!」
以外にも気丈なところがある娘だった。小悪魔は傷ついたレミリアの体を抱えると、紅魔館に向かって飛んでいった。
その後レミリアの体はパチュリーの治癒呪文を受け続けることになった。パチュリーはレミリアの惨状を見てうめき声をもらしたが、
すぐに治療を開始した。この魔女はいつも引きこもっているくせにこういったときには本当に行動力がある。
治療は日が昇っても続いた。美鈴とメイド達がパチュリーの指示によって右へ左へと動き回り、
薬品を持ってきたり儀式の用意をしていた。
ゆっくり達でさえもゆっくりすることなく急いで動き回っていた
「パチュリー、本当にありがとう・・・・」
フランは何度も何度もパチュリーにお礼を言っていた。
「たすけてくれてありがとう!」「ゆ!」
ゆっくりゃとゆフランが続く。
結局、峠を越したのは日が落ちてからであった。パチュリーは体力がないのにずっと働き通しだったので、
ただでさえ青白い顔が余計に白くなっていた。この子がこれぼど必死だったのはめったに見たことがなかった。
そんなパチュリーが言うには、吸血鬼の回復力とパチュリーの魔力を合わせても、
あと少し小悪魔が私の体を連れてくるのが遅れたら間に合わなかったそうだ。そう考えると、
あのときゆフランが小悪魔を連れてくるのが遅れていたら、確実に死んでいたであろう。
それからはフランとゆっくりゃ達はレミリアのそばから離れようとはしなかった。
そんな一人と一匹に対してかわりがわり美鈴、パチュリー、小悪魔、そして怪我から復帰した咲夜が看病を手伝っていた。
レミリアは彼女らをこんな主人にはもったいないと思い、申し訳なさとありがたさに涙が出そうだった。
けれどもそのはゆっくりゃのものだったので涙を流すことはなかった。
1日、2日と時間が経っていく。このとき、レミリアはある異常に気がついた。この体の持ち主の動きが段々ゆっくりしている。
飛ぶことが殆どなくなり、レミリアが寝ているベッドではいずるようになった。
今までずっと屋敷の中を飛び回っていたのに、そのようなことがなくなった。
そしてそれは日が増すごとに顕著になっていった。5日経ったとき、二匹は殆ど動くことはなくなった。
ただじっとレミリアの体の隣でゆっくりしている。
ふと、ゆっくりゃがフランに対してこんな質問をした、いつの間にこんなに語彙が増えたのだろう。
「ふらん、ふらんはおねぇちゃんのことすき?」
フランは満面の笑みを浮かべ、かつて穴が開いていた私の胸をさすりながら一言で答えた。
「えぇ、大好きよ」
レミリアは胸が熱くなった。
「よかった~♪」「う!」
ゆっくりゃとゆフランもうれしそうに反応した。
レミリアはこの子達にあんなにひどいことをしたのに、なんでこんなに喜んでもらえるのだろう。
ふと、この子達が自分とフランの分身であったことを思い出す。
そうだ。この子達も姉妹なんだ。姉と妹が喧嘩しているのを見ていてうれしいはずがない。
結局、レミリアがフランに対して距離を置いていることがゆっくりゃ達にはわかりきっていたということか。
そして目の前のレミリアのまぶたが上がっていくのが見えた。フランが慌てて咲夜に声をかける。
「お姉様が目を覚ますわ。みんなをよんできて!」
そこでレミリアは再び意識を失った。
レミリアが目を覚ましたとき、見慣れた天井が目に映った。
ここは自分の部屋のベッドだった。
体のほうに目を向けるとフランの顔が見えた。今にも泣きそうな笑顔という、矛盾した表情をしていた。
「お姉様。起きたのね!」
「ゆっくり~!」「うぅ~!」
視界を端に向けると、ゆっくりゃとゆフランのほほがあたっていた。なんだかやわらかくて湿っぽい。
部屋を見回すと、皆が集まっていた。ほっとした顔、泣きそうな顔、笑っていた顔、それぞれ違う表情を浮かべていた。
このまま目を覚ますことがないことも考えられたのだろう。
まず、レミリアはやるべきことがわかっていた。レミリアはゆっくりゃとゆフランを抱きしめて、
部屋中に存在する者すべてに向けて言った。
「みんな、本当に迷惑をかけてごめんなさい。あなた達にも八つあたりなんかして、本当にごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」
しかし口からは陳腐な謝罪しか出ない。こんなに迷惑をかけたのだ。いくら謝ってもすまないであろう。
いつの間にかレミリアの目には涙が浮かんできた。
フランを地下に閉じ込めたこと、ゆっくりゃ達に八つ当たりしたこと、フランに手をあげたこと全てが頭の中でぐるぐる回っている。
「お姉様、悪いのは私だよ。だからそんなに謝らないで・・・」
フランはレミリアを抱きしめてそういった。その腕は細く、震えていた。
姉を貫いたときの感触がまだ残っているのかもしれない。
「お嬢様、私も・・・」「あのときは手を上げてすいません・・・」
美鈴も咲夜も駆け寄ってくる。いくら皆のことを思ってとはいえ、主に意見を出したり、手をあげたのだ。
「かってにでていってごめんなさい!」「ゆぅぅぅぅ・・・」
ゆっくりゃたちまで謝ってくる。
けれども悪いのは自分だったとレミリアが返しを入れるので、事態に収集がつかなくなった。
「あ~、まったくいつまでもうじうじと・・・。」
パチュリーが外から業を煮やしていた。。
「ゆぅ!」「う~!」
そのときゆっくりゃとゆフランいいことを思いついたという顔をして、
ベッドから空中へと飛ぶと、皆をレミリアのベッドの回りに集めて、互いのほほをくっつけるように押し付けた。
それはゆっくりゃとゆフランがかつてフランに仲直りを促されたときに行った行為だった。
「こら、なにすんの」「えへへ、くすぐったい」「何か恥ずかしいですね」「うぅ」「ちょっ何で私まで・・・・むきゅ」
「パチュリー様のほっぺた柔らかいです・・・」
「なかなおり♪なかなおり♪」「ゆっゆ~♪」
混乱するみんなの姿をよそに、二匹はとても楽しそうであった。
なんでだろう。勝手にフランを避けて、ゆっくり達に嫉妬して、皆に迷惑をかけたことが馬鹿らしくなった。
数百年のわだかまりを気にするのはもうやめるべきなのかもしれない。
思い出すのはフランを地下に閉じ込めていた時の遠い距離と冷たい罪悪感、
今感じるのは隣で笑っているフランのほほの柔らかさと温かさ。
過去は決して消えない。だからこそ、今のこの瞬間も忘れない限り、いつまでもゆっくり残る。
ゆっくり達は生きることを楽しんでいる。作られた命でありながら
レミリアは自らに似ても似つかない、けれども最も欲しいものを教えてもらった分身達に向かって感謝した。
「ゆっくりゃ、ゆフラン、ありがとう。」
「「ゆっくり~♪」」
しかしこれが結局生きたゆっくり達が飛ぶのを見る最後のときとなった。
そして次の日
日がまだ昇っている時間のことであった。
「いないいない、うわぁぁぁぁぁ♪」「うわぁぁぁぁ♪」
「あはは、かわいくなーい」
レミリアとフラン、ゆっくりゃとゆフランは皆で一緒に同じベッドに寝そべっていた。
周りには紅魔館の住人が全て集まっている。レミリアが今までずっと寝ていてつまらなかったのでパーティをしようと言い出した。
吸血鬼のパーティは普通夜に行うが、この日は朝からずっと通しだった。
レミリアはゆっくり達とこうして遊ぶのは初めてだった。
「あんた達には迫力がないわ。こうするのよ。いないいない、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「こあい、こあい!」「ゆう゛ぇ゛ぇ゛ぇ」
ゆフランが泣き出してしまった。実は怖がりなのかもしれない。
そんなゆフランをフランが慰めた。抱きつかれたまま離れようとはしない。
そんな二人と二匹を咲夜をはじめとした住人達は見守っていた。彼女らの目には目の前のじゃれあう子供達が、
種族が違えどもまるで姉妹のように見えていた。
悪魔の住処紅魔館。この日ばかりはその名も似合わなかった。
そして愛するものと共にゆっくり過ごす時間の安らかさに、レミリアは今までの人生になかった心地よさを感じることになった。
時間が経つにつれて、ゆっくり達は段々動かなくなってきた。言葉に反応するのも遅れている。
日が暮れたころ、目を瞑ったまま動かなくなった。
「ゆっくりゃ、ゆフランどうしたの?」
フランがゆっくり達に声をかける。
しかしまったく反応がない。いつもは呼ばれなくても来るのに。
いつしかパーティ会場はしんと静かになった。皆これがどういうことか気がついたのだろう。
そしてこのパーティの本当の意味を。
口を開いたのはパチュリーだった。
パチュリーはこの生物のベースとなる技術を持っていたため、何か思うことがあったのか
「元々この子達は餡子によって食用に作られた生き物。すぐに食べられる運命のために、その寿命は儚い物だったのでしょうね。
いつかはこうなるとわかっていても、やっぱり愛着がわくと辛いわね。」
そういうと力なくうなだれた。隣では小悪魔がパチュリーにしがみついて泣いていた。
美鈴は大声を上げて人目をはばからず泣いていた。彼女は門番であり、ずっと一人で行う仕事であった。
そんな折に遊びに来てくれた友達が愛おしくて仕方がなかったのであろう。
咲夜は泣いてはいなかった。けれどもまぶたが何時間も泣いた後のように真っ赤に腫れていた。
先ほどまでこのようなことはなかったはずなのに。
周囲を見ると、下っ端のメイド達まで嗚咽を漏らしていた。あの二匹は本当に人懐っこかったのであろう。
ゆっくり達は餡子とひき肉でできた人形。正確には生き物にすら分類されない。
パチュリーが作った人形のように泥でできたのならともかく、餡子ではいつか腐って崩れてしまう。
いくら食べ物を与えても、変えようのない結末だった。そして人形であるがゆえに生まれ変わることができない。
だからこそ、最後にこうして共にゆっくりするのが望みとなった。
フランは二匹を抱き寄せた。もう二度と会えないということが信じられないようであった。
目に光が灯っていない。この子にはその悲しみに耐えられなかったのだろうか。
そのとき、
「こいつらがただの人形だったらあたいも仕事がなくなって楽なんだけどねぇ。」
ドアの近くを見ると何者かが立っていた。見上げるほどの長身、手に持つは大きな鎌。三途の川の案内人。死神の小野塚小町であった。
「どういうこと、それに仕事ってなによ」
「そのままの意味さ。死神の仕事は死者の案内。こいつらはもう人形じゃなくて妖怪なんだよ。ちょいと違うが、
わかりやすくいうと九十九神みたいなものかな。ずいぶん可愛がったみたいじゃないか。ほら、あたいの後ろにいるこいつらもそうさ」
そういうと、小町の後ろから様々なゆっくり達の霊が出てきた。ゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ、ゆっくりありす、
その他たくさんの種類のゆっくりがいた。幻想郷の誰かがフランと同じようにかわいがっていたのだろう。物好きがいたものだ。
小町は二匹の遺体を抱えた。連れて行くつもりなのだろう。
「やだぁぁぁっ、連れて行かないでぇっっ。もっと一緒にいるのっ。私と遊ぶのっ。ご飯を食べるのっっっ。」
フランが泣きながら必死で止めようとしたがレミリアはそれを抑えた。
「行かせてあげなさい。フラン。あの子達の顔を見なさい。とても安らかな顔をしているじゃない
あなたと、紅魔館のみんなのおかげよ。だから、わかって・・・」
フランは何度か嗚咽を漏らし、手のひらをぎゅっと握り締めて耐えていた。
「吸血鬼の涙なんて珍しいものを見たな。ここからはちょっとしたサービスでもするか。四季様には内緒だよ」
小町が二匹をぽんと叩くと、するりと二匹の体から何かが出てきた。あれはゆっくりゃ達の霊だった。
「さぁ、お別れを済ませてきな」
ゆっくりゃは相変わらずうーうーと鳴きながら館の住人全てに笑顔を向けるとレミリアとフランに向かって飛んでいった。
その元となった吸血鬼とは似ても似つかないが愛嬌のある顔は決して忘れないだろう。
ゆフランは姉の後を追うようにして浮かんでいった。皆に見送られていると見ると、とてもくすぐったそうな顔をしていた。
今まで愛情を注いでくれた皆に感謝をしているようであった。彼女は元となった吸血鬼に似て、姉をとても好いていたのだろう。
二匹は紅魔館の住人達ひとりひとりに挨拶をしていく。ゆっくりと時間をかけて
最後にレミリアとフランの前に飛んできた。
「ゆ!」「う゛!」
それはどこかふてぶてしくも憎めない顔であった。
フランは涙を拭い去り、二匹に向かって目を向け、最後の挨拶をした。
「うん。わかった・・・。今までありがとうね。ゆっくりゃ、ゆフラン。あなた達のこと大好きだったよ。」
ゆっくりゃ達は微笑んだ。その顔がこれまで過ごした時間がどのようなものなのか語っていた。
レミリアは何を言うべきか悩んだ。いくら言葉を尽くしても伝えられないほどの恩がこの子達にはある。そうだ、
だったら一言に百の意味をこめよう。ゆっくり達にとって最もなじみのあるあの言葉で
「ありがとう。向こうでも、ゆっくりしていってね・・・」
二匹はだいじょうぶだよとでもいうように返事をした。
「じゃあこいつらは連れて行くよ。これほどいろんな人に愛されているなら三途の川は渡れるだろうから安心していいさ。」
「うー♪」「う~♪」
そうして二匹は死神に連れられ、死後の世界に旅立つことになった。
ゆっくり、ゆっくりと・・・
その場にいる皆がそれぞれの思い出を胸にゆっくり達の百鬼夜行を見送った。
約1ヶ月という、人外には刹那のような時であったが、誰もの心にゆっくり残るだろうと思われた。
レミリアは思った。あっという間の命だった。けれども決して忘れはしない。
今からでも遅くはない。あの子たちがそうだったように。
フランと共に、これからゆっくり幸せに生きていく。
そう誓った。
その後ゆっくり達がいなくなり、しばらくしてからの紅魔館では、ほとんど以前と同じ姿になっていた。
門番は一人で門を守っていた。一緒に遊んで夜を過ごす友はもういない。
魔女は図書館に引きこもっていた。影でこっそりかわいがる居候はもういない。
小悪魔はそんな魔女の世話をしていた。魔女のいつもと違う一面を見せてくれた客はもういない。
メイド長はメイド達を従えて館を切り盛りしていた。プリンを作ってあげた主の分身はもういない。
しかしひとつささやかな変化があった。それは吸血鬼姉妹であった。姉は甲斐甲斐しく妹の世話をしていた。
ふたりがじゃれあう姿を見て、紅魔館の住人達はあの騒がしくも無邪気であった二匹の饅頭を思い出す。
主とは決して似つかないが、どこか面影のあるあの饅頭を。
妹はこれから様々なことに向かっていくことになる。
力の制御
向日葵妖怪との決着、
外の世界に適応すること
姉はそんな妹にいろいろなことを教えていく。
これまで置いていた距離を縮めるように。
いつか妹が一人前になって生きていけるように
そのためにこうやって一緒にいる
あせることはない。時間はたっぷりある。ゆっくり頑張っていこう。
蛇足
小町がゆっくりゃ達を連れて三途の川に着いたとき、ゆっくりの霊が大量に居座っていた。
裁判所の中に駆け込むと
「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!!!」」」」」」」
「よいぞっ!」
上司であるザナドゥが壊れていた。ここのところ彼女は事務仕事のあまりの忙しさにゆっくりできていなかった。
そこで現れたマイペースの塊、ゆっくり。
そのため、ザナドゥはゆっくりにあこがれるあまり、ゆっくりになりきってしまったらしい。
小町は思わず遠くを見てしまった。
「ゆっくりした結果がこれか。転職先でも探すかな・・・」
- いい話でした -- 名無しさん (2008-09-01 12:41:56)
- 泣いちゃいました… -- 名無しさん (2008-09-10 13:30:32)
- ゆっくりは姉妹の懸け橋となった・・・このゆっくりには勲章を挙げたい気分だ・・・。 -- 通りすがりのゆっくり好き (2008-09-14 21:52:30)
- 全俺が泣いた・・・ -- 名無しさん (2008-09-15 17:27:06)
- イイハナシダナー。もうゆっくりを虐めることなんてできねぇ・・・ -- 名無しさん (2008-09-15 19:52:55)
- (´;ω;`)ブワワッ!! -- 名無しさん (2008-12-09 01:01:32)
- 涙が…とまらない…と思ったらえーき様www -- 名無しさん (2008-12-23 07:38:15)
- 最後のシーンで泣きながら笑った。 -- 名無しさん (2008-12-27 10:34:16)
- 最後がwwwww俺涙目wwwww -- 名無しさん (2009-02-17 19:20:01)
- ゆっくりゃとゆフラン大好きだから余計涙腺が… -- 名無しさん (2009-02-18 01:49:55)
- あれおかしいな、目から汗が・・・ イイハナシダナー -- 名無しさん (2009-03-10 00:23:23)
- (´;ω;) -- 名無しさん (2009-08-17 04:07:18)
- お嬢様をひっぱたいた時の咲夜さん辛かったろうな~ -- 闇 (2010-02-18 13:47:36)
- 泣け・・・ないぜっ・・・泣ける -- 名無しさん (2010-02-18 21:31:41)
- いい話すぎる(´Д⊂グスン -- 名無しさん (2010-06-11 23:07:18)
- 切なくも温かいゆっくり出来る話でした。ありがとう。 -- 名無しさん (2010-11-28 11:58:52)
- イイハナシダッタノニナー -- ザナドゥェ (2010-12-04 02:41:26)
- やばいマジで泣いてしまった・・・ -- ゆっくり愛護団体団員 (2011-03-20 03:46:11)
- 俺…ゆっくりいぢめをやめるよ… -- 名無しさん (2011-04-15 16:44:16)
- 泣けるうううううううううううううううううぅ -- ちぇん飼いたい (2012-03-01 17:01:29)
最終更新:2012年06月15日 09:35