最終話 楽園~yukkuri mura~
(おなか痛い・・・・・・苦しい・・・・・・・・・・・)
(もういいや・・・・・私以外にもルーミアやレティがやってくれる・・・・・・・・・・)
(妖夢怒るだろうなぁ。不甲斐ない主で。でもあの子なら、何も言わずに慰めてくれるのかな。)
(ダイエットしないとなぁ・・・・・・・・・・・・紫と一緒にランニングでもしようかしら・・・・・・)
(やっぱいいや・・・・めんどい・・・・・・・・・・楽して痩せたいなぁ・・・・・・・・・・・・・)
《・・・・・・・・・・・・・・・・ね・・・・・・・・・・・・・・・・》
(ん・・・・・・・・・・・・声がきこえる・・・・・・・・・・・・)
《・・・・・が・・・・・・・・・・ばれ・・・・・・・・・・・・・・やれ・・・・・・・・・・・る》
(だれよ・・・・・・・・・・・うるさいなぁ・・・・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・・・この声は・・・・・・・・・・・・・・・)
《ずっと・・・・・・・・・・・・・・・・いっ・・・・・・・・・しょ・・・・・・・・》
(まさか・・・・・・・・・まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
そのとき、弱気になった幽々子の心にゆっくり四天王の声が響く。。
《みょーん!!!》
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/ y' / / ! ,! `ヽ.
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! |___! ./ _|,/,.ノ-' l.、'_| |. !. |
| | レ| (ヒ_] ヒ_ン、| | |
| | |'" /// ,___,///'ハ_,.ハ__」
! i .! !、 ヽ _ン ノ | |
`ヽレヘ. |7>,、 _____, ,.イ ! |
\! \ハ__」
《わかるよー!わかるよー!ゆゆこはすごいよー!》
_,..-‐''"´ ̄ ̄ `ヽ、 ,..-ァ
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____,rイ、_ヽ____,.へ、____,.へ__/,イヽ;::::/! .
.オ、、::::::::::ヽ、r-、__>-r-‐、'":::::::i:::i;イゝ
,ヘ、 ヽ;:ヽ、ヽ::::::!::::i::::::i:::::i:::i::::|:::_!_:!:::ハ::イ::|
\ `;、 .〈Σ>イ::::::ハ__,.!:::レ'!ハレ、!__ハ::::,!::!:::|
ヾ、,`"''ー-|:::::::i:::::::i (ヒ_] ヒ_ン .|:::l|::|::|
`'ー--‐!::::::i:::::::|'" ,___, "' ハ リ::/
,.-‐‐rー-‐''"´ !::::::ハ:::::!、 ヽ _ン ,.イ::/:ル
'、___,'__,,... -‐''"´レ'i:::ハ:::::|.>,、 _____ ,.イ:レ'i:ハ
《あなたの力はそんなものではないはずです。立て!立ち上がるのです!》
/ ヽ,7'´レ1 ヽ
,.└''"´ ̄ ̄ `ヽ、
,. '´ 、、 = ´  ̄ ̄ ̄`゛''┘.,
ノ , lヽ j /、l ,r' = 、 ,. `' 、
r'´ r'"イ .ノ\| .レ r=;,'.,, = r'l、\ j ,r'l , !、
{ !、 l rr=- { =レ'rr=r レ. |/(,. ト゛'、`'、
レヽ.,ト' ー=‐' 、. ‐<. = ゙i -=;ァ' l ,.! }
{ ,}' ', (,,,_,,、 l = ゙i '‐=ー 'レ.,r'レ
.7'´レ1 ヽ \, ' = ,ベi ,' '{, }
レ~i` ヽ 、_ レ'ル人 ,r' 「レ`
ヽ '. ゛ ) _ ,. ,r' `i~レ
《おねがい。みんなをすくってあげて・・・・・》
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,. '"´ ___,,,,....、,,,_ `ヽ.
,:'´,.- ''"´ ̄ ̄`"''ヽ:ヽ, ':,
/ /' / , i ,ハ Y ヽ. ',
,' i !/ ハ / ヽ _,ハ ', i
i ! 'ー- レ' -― .Ti !ハノ ,'
!ヘ ,ハ !(◯)::::::′(◯)!).イ/ i 〈
ヽ ヘハ ,___, ハ〈 ハ
) | .l、" ヽ _ン "/ / ノ
/ ノ ノ ,i>: 、.,,__,,. イ/ ン' イ ノ
'〈r'k' ,!>イ'トー‐ァ'i∠、_! /_ン
ゆっくり四天王は幽々子の能力によって幽霊と化して、幽々子の体内で生き続けていた。
だから、彼女たちは支えあう。自分達をおいしく食べてくれた幽々子に感謝しながら。
ゆっくり四天王が幽々子に対して最期に放った言葉が浮かび上がってくる。
(おいしくたべてね・・・・・やくそくだよ・・・・・・・・)
食べることとは相手の命を奪うこと。そこには悪意は存在してはならない。ただ相手に感謝の気持ちのみである。
しかし目の前のゆっくり達は永琳の悪意によって饅頭としての役目を果たすどころか、
幻想郷の脅威として、食べられることなく一生を終えようとしている。
この子達を完食できるのは私だけ。この異変を解決できるのは私だけ。
友の声が、幽々子を後押しする。
ドスまりさの体が段々とすぼんでいく。ある一点から先細りになるようにゆっくり、ゆっくりと。
そう、幽々子が丸呑みしているためであった。
「ゆぅぅぅぅぅぅ!!!」
明らかに体積が幽々子よりも大きいドスまりさは幽々子の四次元の胃袋に消えていった。
誰もがその光景を黙ってみているしかなかった。あまりにもありえない光景に思考が停止していたためである。
「嘘!あれをたいらげるなんて!?」
かつて、妖怪としての力を持った桜、西行妖があった。西行妖はあらゆる生命を死に誘う程度の能力を持っていた。
そのままでは世界中の命が死へと追いやられ、破滅へと導かれる運命をたどろうとしていた。
しかし、同じ能力を持つひとりの少女が、いけにえとして西行妖と相打ちとなることで、西行妖はただの巨大な桜となった。
「饅頭って言うのはね、元は人間のいけにえの身代わり。神様にささげる供物なのよ。」
少女もいけにえとなることを望んでいたわけではない。
だが、そうしなければより多くの人々が犠牲となった
そう。饅頭たちと少女はある意味同じ運命を持っていた。
「なっ・・・・・なぜ・・・・・・・・・・なぜなの!?私の計算ではあなたはすでに満腹のはず!?それなのになぜ食べられる!?」
それは人々をその身を挺して世界を守った一人の少女
彼女は死後亡霊となり、生前の記憶を失った。
「この子達が身代わりとなったから救われた人間もたくさんいた・・・・・・・。
この子達がいたから笑って過ごせる人たちがいた・・・・・・・。」
少女の記憶は永遠に戻ることはない。
しかし、魂に刻み付けられた思いは残っていた。
気がつけば、今の彼女には決して似合わない台詞があふれ出てくる。
まるで彼女が少女であったときのように
「そんな・・そんなこの子達を・・ゆっくり達を・・・・粗末にすることなど!させるせるものですかァァァァァ!!!」
普段の優雅な姿はどこにもなく
どこまでも泥臭いその姿。
しかし、それを無様とは思えない。
「おいで。私、西行寺幽々子はあなた達ゆっくりを、皮の一切れたりとも、餡のひとかけらたりとも残したりはしないわ。
安心しておいしく食べられなさい。」
ゆっくり達は笑っていた。おいしく食べられること。その自らの使命を全うできる。最高の好敵手。
「「「「ゆっくりしていってね!」」」」
ゆっくり達は最後に、自らに課せられたプログラムではなく、その意思で相手に食べられることを選んだ。
「この私が負ける・・・・・馬鹿な!そんなはずはない!」
永琳は呻く。数億年生きてきて理解できないことだった。それもそのはず。彼女は死なない。死ぬ恐怖がない。
だから、いけにえとなる者たちの気持ちなどわかるはずがなかった。
「あなたの力はそんなもの?足りない!足りないわ!私を満腹にさせたいのならこの3倍は持って来きなさい!!!!!」
幽々子は口を大きく広げると、命いっぱい吸い込んだ。その吸い込みはブラックホールのようにゆっくり達を吸い込んでゆく。
虚勢を張ったはいいがその胃袋は本当は限界そのもの。しかし、これから食べられる饅頭たちを不安がらせないように決して表に出さない。
胃の中に入り込んでくるたびに押し寄せてくる衝撃に吐気を催しても、決して吐かない。吐くわけにはいかない。
「やっとゆっくりできるね・・・・・」「おいしくたべてね・・・・・」「ゆっくりするね・・・」
ゆっくり達は達観した表情でふわふわと宙に浮かび上がり、幽々子の中に吸い込まれていった。
ゆっくり達も、あれだけの大群だった。自らを食べてくれる人がいるか本当は不安だった。
しかし、今は報われた。全てのゆっくりが、幽々子の胃の中に飛んでいく。
「馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁ!この!この私がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
更にその吸引力によって、ゆっくりだけではなく永琳まで吸い込まれる。
「姫様ばんざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!」
元凶の・・・・・最期だった
死闘の幕が下りた。辺りには幽々子以外には、桜のみが存在していた。
妖怪桜、西行妖のみが。
幽々子は地に下りて礼の姿勢を取り、雅な物腰で両掌を合わせた。
その表情はどこまでも晴れやかだった。
「ごちそうさまでした♪」
その後、幽々子の胃袋の中には今まで食べたもの、リグル、みすちー、えーりん、ゆっくり四天王、そしてあの大量の量産型ゆっくりの魂。
これらの様々なものが混ざり合い、結果として小さな宇宙を作り出した。
ゆっくりの魂たちはそのときいろいろごちゃごちゃあって元の饅頭の形を取り戻し、幽々子の体内にてひとつの世界が生まれ、
ゆっくり達の集落が作り上げられることになった。
量産型ゆっくりは、幽々子に食べられたことで満足し、今では平和にゆっくりしている。
「ゆっくりしてるね!」「わかるよーわかるよー」「みょーん!」「ゆっくりできるよ!」「こんな生活も悪くないです」
「とらうまになるよー」「でっぷり!」「ゆっくり姫様ハァハァ♪」
そのため、幽々子のおなかからゆっくり達の声が聞こえるようになった。あまりに大量のゆっくり達の霊を食べ続けたので、
胃の中でたくさんのゆっくりが一気にしゃべるためとてもうるさい。
しかし当の幽々子はというとまったく気にせずあいかわらずゆっくりを見つけては食べて、見つけては飲み込んでの繰り返しだった。
幽々子の今日のおやつは見上げるほど大きいドスまりさだった。
きっと胃の中ではゆっくり四天王と共に皆を導いてくれるだろう。
ちなみに飲み込んだ永琳は不老不死の蓬莱人であったため、生きた状態でこの状況に適応した。
今ではゆっくり達と永琳はうまくやっているようだ。そのうち気が向いたら出してあげようと幽々子はほくそ笑んだ。
幽々子の胃の中にある、永遠にゆっくりできる楽園
その楽園の名は
ゆっくり村
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ご愛読ありがとうございました。聖天使サナエル先生とサークル妖怪の山の次回作にご期待ください
- ゆゆさまが凄く良い事言ったのに最後のオチで笑ってしまった。 -- 名無しさん (2008-08-17 02:21:00)
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- 先生のセンスには度肝抜かれたw -- 名無しさん (2008-09-23 20:37:42)
- 君は胃の中に小宇宙(コスモ)を感じたことがあるか! -- 名無しさん (2012-08-03 21:17:44)
最終更新:2012年08月03日 21:17