「屋根よ~り た~か~い 鯉の~ぼ~り♪」
「ゆゆ? おにーしゃんごきげんだにぇ?」
「そうか? いつもと変わらないと思うぞ?」
今日は端午の節句、『こどもの日』
親父がやる気ないので一人で『鯉のぼり』を設営中だ
鯉のぼりは自分が幼いときから毎年、父があげてくれていた
しかし最近は
『は?鯉のぼり? 今時あげてるとこなんか滅多に見ないぞ』
といった具合にあげなくなってしまった
そこで久しぶりに自分であげてみようと思ったのだ
「とこりょでなにしてゆの?」
「鯉のぼりを空に泳がすための準備だよ」
「おしょらをおよぐにょ? おしょらはとぶところでちょ?」
「まぁ見てれば分かるよ」
そんな調子でやり取りをしながら、小一時間ほどで準備も完了
「さてそれじゃ、鯉のぼりをあげるか!」
「ゆゆ~♪ やねよ~い た~きゃ~い こいにょ~ぼ~り~♪」
れいむの歌に合わせて鯉のぼりをあげていく
下から見上げると青い空の中を泳いでいるように見える
「しゅごいね! ほんとにおしょらをおよいでゆよ!!」
「言った通りだろう? 空を泳いでるように見えるだろ」
頭の上でれいむがポンポン跳ねている
かなり興奮している様だ
「おにーしゃん! れいみゅもおしょらをおよぎちゃい!!」
いきなりそんなことを言うれいむ
どうやって泳ぐつもりなんだろうか
「泳ぎたいっていってもな、方法がないぞ?」
「れいみゅを、きょいのぼりしゃんのおくちにいれちぇね!!」
なんと無茶な発想だろう
流石にそれは危ないと思ったので
急いで小さいサイズの鯉のぼりを買ってきた
「ゆゆ!? おにいしゃん! これちいしゃいよ!!」
「危ないからそれで我慢しような」
「ゆぅ・・・おおきいにょがよかった・・・」
「大きくなったら乗せてやるよ」
「じゃあがまんすゆよ! はやくのせちぇね!!」
とりあえず納得してくれた様なので
れいむを鯉のぼりの中にセットする
「これでいいか?」
「ゆっ! ばっちりだよ!!」
全高1メートル位の鯉のぼりの一番上の幟に収まって
すっかりご機嫌のようだ
「やねよ~い♪ ひ~く~い♪ ゆっくいれ~い~む~♪」
「何だその歌?」
「れいむのぼりのおうただよ!」
「屋根より低い、っていまいち盛り上がらない歌詞だな・・・」
「いいんだよ♪ れいみゅのこいのぼりしゃんは、おやねよりひきゅいからいいんだよ♪」
まぁ本人が良いなら良いことにしよう
「それにしても、小さい頃から自分で作詞できるなんて将来は詩人かな」
親バカの考えに拍車が掛かっていくが気にしない
「やにぇよりは~♪ ひ~きゅ~い♪ れいむの~ぼ~り~♪」
おわり
最終更新:2009年05月05日 19:41