「……二体?」
目を醒ますや否や、アリスは困惑した。
その理由は。
「ゆっくりしていってね!!!」
「おはよう、アリス」
緩んだ顔と、落ち着いた表情。
「何でまりさが二体!?」
面相の異なる、しかして同じゆっくり魔理沙が二体構えていた。
「おはよう! おはよう!」
「挨拶は一回でいい」
片方は頻りに飛び跳ねて主人の朝を迎え、もう片方はそれを冷静に戒める。
「なんであんたたちは普通に接してるの……」
家主のアリスが、この状況に最も馴染めずにいた。
東方分裂饅頭 ~ふえーるゆっくり~
「ご飯、ご飯!」
「はいはい、今作るわよ」
くい、とアリスが手をひねると、棚に座っていた人形が次々と起き上がり、台所へ向かって飛んで行く。
「貴女はおねだりしないのね」
「お腹はすいている」
ぐう、と冷静なまりさの顎のあたりから餡の虫の声が聞こえる。
「そ、そう……(可愛げがないなあ、こっちは)」
アリスは食堂に向かう。
「さあ、テーブルに座って待ってなさい」
「うん!」
「はい」
片方は跳ねながら、もう片方は地面を静かに這いながら、食堂へ向かう。
(区別がしやすいからいいなあ)
アリスもその後について行く。
「よっと」
まりさを持ち上げ、ベッドに乗せる。
まりさを持ち上げ、ベッドに乗せる。
(二体に増えても、やることは変わらないわね……)
「さて、寝ましょうか」
「おやすみ!」
「おやすみ……」
続く?
最終更新:2009年05月11日 01:48