さとりときすめ

コンコンと、軽くドアがノックされる音がする。
こんな夜中の地霊殿、ましてや私の部屋だなんて誰がどんな用事があるのだろう。

「はい、どうぞ」

ガチャ

「…」

「…あなたは、ゆっくりのきすめさん。どうしたの?」

「…」

「…え、えっと」

「…あげる」

「…何を?」

「わたし」

「な、何を言って!」

「嘘」

「…」

「…欲しい?」

「…あ、」

「残念。あげない」

「…何か、用は」

「…おやすみ」

バタン

「…なんだったのだろう」



「…ゆっくりって、謎が多いなあ」

「…」

「うわあ! い、いつから!?」

「…朝になったら、おはようございます」

「お、おはよう」

「…」

「…あの~」

「これ」

「ひうっ!?」

「お弁当…」

「あ、ありがとう…」

「…食べて」

「…ここで? 仮にも、地霊殿の食堂なんだけど…。しかも、料理もう目の前にあるし」

「…すん。ひっく」

「あーうわわわごめんねごめん今すぐ食べるから! ね、泣き止んで!」

「…食べて」

「あーわかったからジト目で睨まないでよ…。…ん、おいしい。から揚げがコロッといい具合に揚げられてて、シャクシャクしておいしい」

「…そう」

「ふふ。料理が上手いんだね。いい、お嫁さんになれるよ。ご馳走さま。全部食べたからお弁当箱は返すわね」

「…ありがとう。…お嫁さん、あなたの…///」

「…何か、言った? 小さくて、よく聞こえなかったわ」

「う、ううん、なんでもない…///」



「…あの桶に入った子、実はいい子なのかな。でも、ゆっくりであるが故に心を読み取れないし、どうなんだろう…」

「…こんにちは」

「あ、うわっ! びっくりしたなあ、こんにちは。…どうしたの?」

「…」

「…喋らないのは、いつもの事か。何か飲む? 外の世界から仕入れた、カルピスがあるよ」

「…(コクコク)」


「…あー、しまった。原液少なすぎたなあ、味が薄いや…。そっちは、どう?」

「…(コクコク)」

「…一心不乱に飲んでるわね。そのスピードは、遅いけれど。…ふふ」

「…!?」

「…あ、嫌だったかな。ごめん、いきなり抱き付いちゃって…」

「…いい」

「そう、ごめんね…」

「…離れないで。…、もっと///」

「…そう。なら、もう少しこのままで…」



「…私は、人の心を覗かないと何も出来ない、臆病者だなあ。あの子と触れ合って、…わかっていたはずなのに。こんなにも、気にしてしまうだなんて…」

「…(元気がない…)」


「…」

「…ああ、今日も来てたのね。おはよう」

「…(クイクイ)」

「…ん、紙? 『説明書』…」

『プレゼントです。人形です。ほっぺたを軽く押してみてください』

「…本当に、人形?」

「…」

「…はあ。まあ、言われたとおりにしますか。それじゃあ、失礼…」

プニリ

「…頑張れ頑張れさーとーりー。負けるな負けるなさーとーりー」

「…え、えっと///」

「…フレー///」

「…ふふ、ふ。あははは」

「…元気、でた?」

「…やっぱり、人形じゃあなかったんじゃない。…元気でたよ、ありがとうね」


おわり

  • え、なんで?きすめタンがここまでしてくれてるのに襲わないとかありえないだろ(マテ
    和みました。GJ! -- 名無しさん (2009-05-22 22:38:37)
  • ゆっくりほっこり   -- 名無しさん (2010-12-01 03:32:07)
  • きすめさん最後かわいすぎる! -- 名無しさん (2011-07-29 08:59:36)
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最終更新:2011年07月29日 08:59