時間にして五つ半、辰の中刻くらいの時間帯でしょうか。
今日も境内の中庭に臨む縁側で、お茶とどら焼きを片側にゆっくりとうつろいを感じています。
「…あ、朝拝忘れちゃった」
本殿での朝拝も大切な仕事の一つですが、ここは幻想郷ですしちょっとくらいサボっても何ら問題は無いでしょう。
霊夢なんか、恐らく一ヶ月はゆうにやっていないのではないでしょうか。
朝はどうにも頭の働きがうまく回らず困ります。もうろうとした、霞みがかった視野。
そこから感じることは、『ああ、私はうわの空なんだなあ』と心ここにあらずな状態なんだろうな、といったことです。
このままだといつの間にかコックリと眠りほうけてしまうのではないかと思ったので、意識を集中してまどろんだ世界から現実に意識を引き戻します。…しかし。
目に触れた世界は、何も代わり映えの無い静止した景色。
「…ふわぁ、…ああ」
思わず、無意識の内にあくびをかいてしまいます。腕を片方ずつ上にあげ、伸ばすように2,3回振り回し関節を動かすと、ゴキリと爽快感のある音が鳴りました。
神奈子様や諏訪子様が居る所でこれをやると『はしたない』と言われてしまうのですが、なかなかどうして、スッキリするのです。
食べかけのどら焼きを一口舌に乗せ、上で転がしながらまだ十分に熱をもったお茶のわんを両手で持ち、中のお茶をずずっとすすります。
…うーん、おいしい。絡み合う渋みと甘みのつり合いが、なんともたまりません。
調和された、上等の味わいを楽しみます。
「…これがプリンだったら、最高なのになあ」
ちょっとした本音をぼやくものの、無いものねだりをしても仕方がありません。
寝そべった体勢のまま居間まで這いずり、ざぶとんを1枚ばかり拝借して二つ折にします。
また縁側へと戻り、先ほどまで尻に敷いていたざぶとんを背中の敷き布団に、二つ折りした座布団を頭の枕にして寝転がります。
さっきまでずっと座っていたためか、背中の敷きざぶとんが妙に生暖かいです。
されども、その温もりにどこか心地よさを感じます。
「んぅ」
そういえば、授与所にまだお守りとおみくじを出していなかったな。
参拝客が来たらどうしよう…、…ないか。
誰か来たとしても、それはただ冷やかしに来た妖怪や人間でしょう。…それならば、用意しなくてもいいか。
どうせ、こちらの利にならない客。その人の為に見栄えの良い飾りを用意するくらいだったら、私の今感じている惰眠を大切にしよう。そう、考えました。
縁側を照らしている、春光の陽を体全体に感じて、気持ちがよいです。
…うとうととまどろみながら、枕のざぶとんに顔をうずめる様うつ伏せになって、目を細めます。
「ゆぅ、ゆっくり!」
ふと、陽光を浴びて光合成をしていた背中や腰に、ひんやりモチモチとした感触が伝わります。
これもこれで気持ちがいいのでそのまま放っていると、今度はバスンバスンと上下に跳ねた激しい感触を受けました。
その内にどこからか聞こえていた『ゆっくり!』といった声は『ゆ゛っくり!!』とプリプリ怒った声色に変わり、ついには背中に受けていた感触が無くなってしまいました。
そいつは私の目の前に現れて、わざわざいじけた、つむじを曲げた様子をアピールして私の頬に擦り寄って来ます。
…ゆっくりの、れーむでした。
「れーむ」
開かない瞼を手の指で擦りなんとか薄目程度に開けて、れーむの瞳を見つめて話しかけます。
れーむは私に話しかけられたことが嬉しかったのか、ふてくされた様子を一変『ゆっ、ゆっ!』と上機嫌の声を出して、喜びを示してきました。
「ゆうっ、おねーさんったら酷いよ! れーむがおねーさんにちょっかいを出しても、何も反応してくれないんだもん!」
「…れーむ。おねーさんは、おねむなのです。睡眠とは、人類が欲する欲求の根本的なものです」
「ゆう? れーむは、眠くないもんっ」
閉じつぶれそうになる瞼を、鼻先にいるれーむに集中することによってなんとか薄目のまま保ちます。
一方、滲んでぼやけている視界に見えるれーむはどうも聞き分けが良くなく、だだをこねて目先の床廊下でどたばたと跳ね回っています。
どたどたと響く騒音も、少し意識が覚醒している内ならうるさく感じるのでしょう。
しかし。
今の私にはそのやかましい物音すらある種の子守唄となって、私を夢へと結ぶキップに変化しているのです。
意識が再びもうろうとします。今まで、目がつぶれなかっただけ頑張ったほうです。
ああ、だんだんと首周りの力が入らなくなって…。
「おねーさん、寝ないでよっ! 寝ちゃ、いやだよおっ!」
眠りの世界に漂い、寝入る私にれーむがすがりつく様に哀願して来ました。…うーん。何か、用事でもあるのでしょうか。
いつもだったら引き下がるか一緒に寝るかなのですが、別に私が起きてからゆっくりじっくりと遊べばいい話かなあと思います。
私は目を瞑りながら適当に腕を動かし、れーむをむんずと掴みます。
そのれーむを私の腋まで持ってきて、抱える様にれーむを抱き締めました。
「ゆうっ、んはあ、やめてねおねーさん!」
バムバムと体を動かし抵抗するれーむですが、次第に嫌がっていた様子から、諦めたのか静かになりました。
私の頬に、そっと寄り添ってきたようです。
ほのかに、暖かい感触が伝わりました。
瞼を閉じているためれーむがどんな表情をしているかわかりませんが、きっとちょっと拗ねた表情をしていながらも安心して眠りについているのでしょう。
力が抜けて思うように動きにくい腕と手を駆使し、れーむを頬や髪の毛をさわさわと撫でてあげます。…元々、私は朝に弱いほうなのです。
風祝という仕事に就いていなかったら、ここ幻想郷ならば未の中時、それこそおやつの時間まですやすやと寝ているに違いありません。
体質的に、どうしても睡魔に襲われてしまうのです。か弱い女の子です、もっと私をいたわってもいいのではないでしょうか!
それに朝の中庭の掃き掃除も終わらせているし、何ら問題は無いでしょう。
うーん、もちもちすべすべできめ細かい肌のれーむの温もりが、また私のうたたねを誘ってきて…。
「じゃ、じゃお~…。めーりんの事を忘れないで欲しいッス、そのまま寝ないで欲しいッス~…」
…どこからか、声量は小さいものの悲しい響きを持った、叫びの様な声が聞こえてきました。
か細い、消え入りそうな声。しかし、その主張の叫びはどこか私の胸に訴えてきて…。
ふと、私を支配していた眠気がさあっとどこかへ行ってしまい、覚醒して閉じきりだった瞼が一人でに開いてしまいました。
少し体を浮かせて起き上がり、目の前を見渡します。
「じゃお、じゃお~ん…」
…そこには、一人の赤髪のゆっくりが、不安そうな顔付きをして縁側に居ついていました。
どうやら、この子も私が起きたことに気が付いたみたいです。
私の意識が戻ってきた事が嬉しいのかな。この子はまだやや心ぼそそうな表情をしているものの、はにかみながら私の前へ体を動かしていそいそと近づいてきました。
「じゃお! めーりんッス、よろしくッス!」
「…」
ハキハキとした声で、この子は私に挨拶を告げてきました。ふわふわしたこの子の体全体が、ぷるんと小刻みに震えます。
この子の頭には緑色のベレー帽が被せられていて、赤色のおさげ髪が揺れる度にベレー帽が引き立てられて、可愛らしいです。
ベレー帽のお腹の部分には『龍』と書かれた星型のマークが入っていて、なんだか中華風なイメージがします。
屈託が無い、ハツラツ、元気いっぱい! …そんな、イメージを持ちました。
天真爛漫といった言葉が似合いそうだなあ…。
「…じゃお! おねーさん、めーりんを見て中華風って思ったッスね!? 酷いッス、撤回を求めるッス!」
「ああ、ええと、ごめんね」
私がこの子を見て中華風だなあと感想を持った瞬間、いきなりこの子はほがらかで生き生きした体と表情を一変、むくれてしまいました。
むっと怒らせた面持ちを私に示し、そのまま文句を言われてしまいました。…気にしている、事なのかな。
この子は頬を膨らませて体を上下させています。まるで、頭からプンスカと蒸気を出している様で、この子には悪いけれど可愛らしいです。
不用意にも、笑ってしまいました。思わず口から漏れた笑いも、この子に油を注ぐ様な形になってしまいましたが。
知らなかったとはいえ、気に障る発言をしてしまったみたいなので、素直に謝ります。
「ごめんね、ごめん」
「…む。しょうがないッス、次からは気をつけてくださいッスね!」
何をどう気をつければ回避できるか今ひとつ自信が無いけれど、とりあえずその場しのぎに私はハイと答えました。
この子、自己紹介でめーりんと言っていたっけ。めーりんは、満足そうに目を細めて何やら偉そうにしています。
なんだか悔しいので無防備にさらされているお腹を人指し指で軽く突っつくと、『あゅうん!』と驚いた反応を示してくれました。
めーりんはそのまま『何をするんスか!』とツノを出して反発してきますが、適当にあしらい腋に抱えていたれーむと遊ばせます。
れーむは自分が忘れられていたことが不愉快なのか『おねーさんの、不埒もの!』と言われてしまいました。まあ、気にする事はないでしょう。
…それにしても、ゆっくりという種族はどんなゆっくりにも心を読む能力が備わっているのでしょうか。
言葉に出さず、頭の中で少し考えただけのはずなのに…。そもそも、私の考えが顔に出ちゃっているのかな。
チラと饅頭二人の様子を伺うと、二人とも廊下にたたずんで拗ねてしまっています。
れーむはともかく、めーりんは軽くあしらわれた事がショックだったのかな。
めーりんに再びごめんと謝りの言葉を口にしますが、めーりんは機嫌を直さず『いいッスよ。別に、気にしてなんていないッスよ…』と陰りを体全面に出しています。
んもう、変にふてくされちゃって! 私はめーりんを胸まで抱えてぎゅっとハグをしてあげます。
「じゃお、おねーさん、恥ずかしいッス…」
めーりんは照れ隠しに体をもじらせます。
口では嫌がっていますが、その頬はほのかに染め上がっていて、どこかなく嬉しそうにしています。
「…ふふ。めーりんは、嫌ですか?」
恒例の、いじわるな言葉。
思った通りめーりんはそうじゃないと尻込みをしますが、幾分他のゆっくりよりも素直な為か。
めーりんはすぐに『もっとして欲しいッス…』と私の胸に顔をうずめ、ふよふよ、その割には引き締まった体をスリスリと動かしながら口に漏らしました。
「よく言えました」
めーりんの要望の通り、少し力を緩めていた腕を引き締めて一層めーりんを胸にうずめさせます。
そのまま床に座り込み、あごや頬を使ってめーりんの体を物柔らかに撫でていきます。
ぷにんぷにんと、れーむとはまた違った弾力が心地良いです。はむはむと甘噛みをして、口内でその弾性を堪能します。
めーりんはあまり慣れていないのかぎこちなくはにかみ、ついには頬を真っ赤に湯で上がった様にして恥じ入ってしまいました。
顔から火が出るとは、まさにこの事でしょう。『じゃおぅ~』と息をあがらせているめーりんをそっとざぶとんに寝かせます。
めーりんはへたりとざぶとんに広がり、ぼーっとした様子でざぶとんから縁側の床に転がってしまいました。
「じゃおぅ、じゃお、じゃおぉん…」
「…やりすぎたかな。ごめんね、大丈夫?」
呼びかけますが、返事はありません。
…いつもより、激しくやっちゃったからな。落ち着くまで待つことにしましょう。
ふと、私の足元でれーむがふてくされた様子のままだったことに気が付いたので、ぷにりと膨らませた頬をつまみ、くにくにと弄びます。
「ほら。機嫌直して」
「ゆうっ。…おねーさん、めーりんばっかりずるいよ。れーむにも、やってよ!」
どうやら、ふてくされていた理由は先ほどの事を引きずっていたからでは無く、嫉妬からの理由みたいです。
私ははいはいとれーむにぶっきらぼうに返事をして、れーむの求めている事をまんべんなく、れーむが息切れをするまでやってあげました。
詳しく描写するとなれば、いつもよりも強い力が入ったという事かな。
流石に私も疲れたので、ごろんと余っているざぶとんを枕に縁側の廊下に寝転がります。
「ゆうっ、はっ、ああん…///」
息をあがらせてべったりと床に垂れているれーむ。満足そうに、頬の色を赤らめています。
その内に、ざぶとんから転がって床に待機していためーりんが私に近づいてきました。
「じゃおっ。おねーさん、また、その…」
「…今は、休憩です。流石に二人相手は、体力が持ちませんよ」
めーりんの髪の毛をそっと、優しく撫でてなだめます。
めーりんは切なそうに顔をゆがめますが、すぐにハツラツをした笑顔に戻り、れーむに振り返りました。
「じゃお! それにしても、れーむ! 酷いッス、めーりんを忘れて寝入ってしまうなんて!」
「ゆぅ、う? そんなの、仕方無いよ! おねーさんにぎゅってされると、気持ちいいんだもん!」
れーむが息を切らせながら、立腹しためーりんの物言いに反論します。
そのまま二人は『こっちは寂しかったッス!』『知らない! れーむは何も知らない!』と声を強めて喧嘩を始めてしまいました。
「ええと、その。二人は、どうして喧嘩をしているのですか?」
「じゃお! 聞いてくださいッスよ、おねーさん! れーむったら酷いッス、めーりんを放置しだしたッスよ!?」
「めーりんこそ、おねーさんが起きた時にゆっくり自己紹介すればよかったんじゃない!? れーむ悪くないもん、れーむはただめーりんを紹介しようとしただけだもん!」
「…ええと」
「…ゆっ! 今日は、友達を紹介しにきたんだ! この子はめーりんって言うんだ、よろしくね!」
「じゃおっ! 改めて、よろしくッス!」
いまいち事情を飲み込めないでいると、れーむたちが改めて説明してくれました。
なるほど、今日はれーむが私に友人を連れてきたのですか。
だから、私が構わず眠ろうとしたときに、あんなにも抵抗をしていたのですね。
「よろしく、お願いしますね」
私は、二人を胸の中にいっぺんに抱え込みました。
二人はそれぞれ違う反応を示すものの、嬉しそうにはにかんでいる事でしょう。
「…ゆっ。おお、くさいくさい。外から様子を伺ってたけど、とてもじゃないけど甘ったるくて中に入れないんだぜ」
「でたな、とことん神出鬼没の名を往くまりさ。素直になったら、どうですか?」
いつの間にか、まりさが庭に現れて私に話しかけてきました。
まりさの出没・行動だけは、どうも把握できません。
まるで忍者のようです、しかし悪口を叩きながらも私の前に現れるという事は、理由は一つでしょう。
ちょっといじわるな言葉ながらも、まりさの本音を誘導します。
「…うう。まりさも、ハグをして欲しいんだぜ」
「よく言えました」
三人いっぺんは、きついかな。
仕方ないので、一度抱えていた二人を床に降ろしてぴょんとお腹に向かって跳ねてきたまりさを捕らえ、そのまま抱えます。
まりさははずんだ様子で私のお腹をぐりぐりとまさぐります。
私のおへそにまりさのウェーブかかったサラサラした髪が当たるたび、なんだかこしょばゆくてドキドキしてくるなあ…。
他の二人はぶーたれながらまりさを嫉妬めいた目線で、羨ましそうに眺めています。
「…まりさ、ずるいよ! おねーさんを占領して、次はれーむだよ!」
「じゃおっ! れーむはなんだかんだでいつもおねーさんと一緒に居るッス! ここはめーりんがありがたく占領の権利をいただくッスよ!」
「ゆっ、二人ともせいぜい眺めてるんだぜ! おねーさんがまりさをどかさない限り、まりさはずっとここに居座るんだぜ~!」
「「ゆぎぎぎぎぎぎぃ~!」」
二人は激しい歯軋りを起こし、とうとうまりさを巻き込んだ三人で喧嘩を始めてしまいました。
『ばーか!』『餡子!』と幼稚な、ある意味微笑ましい言葉の応酬ですが、れーむたちにとっては十分な暴言になりうるみたいです。
その内に三人とも目に涙を溜め、それぞれ『う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛』と泣き叫んでしまいました。
「ああああ、泣かないで~。ほら、泣き止んで~」
一度まりさを床に下ろし、それぞれのれーむたちの頬や頭を撫でてあげます。
泣き止むまでに多少時間がかかりましたが、今では皆落ち着いてくれました。
縁側でのんびりと用意し直したお茶とどら焼きを、思い思いに楽しんでいます。
「…はあ、お茶が美味しいね」
「ああ。わびさびとは、ニッポン人が生み出した素晴らしい文化なんですぜ」
「なーにをわかった様な口をきいているのですか」
私は手で拳を作り、渋い発言をする二人の頭を軽くコツンを小突きます。
二人は『ゆへぇ』と息を漏らし、それぞれ舌をだしたり照れた様子でお茶をすすったりなど、照れ隠しの行動を示しました。
めーりんは、気にせずにどら焼きを食べている様子です。
「…まりさは、なんでいつもれーむと一緒に来ないのですか?」
ずっと、気になっていた事。改めて二人を見てふと思ったので、そのまま質問します。
「ゆっ! それは、そのう。重大な任務というか、個人のポリシーを尊重しているというか…」
まりさは戸惑った様子で、いつものひょうきんな喋りとは打って変わってよどんでしまいました。
うーん、言えない理由でもあるのかな。それはそれで気になるけれど、無理に聞くものでも無いしなあ…。
「ゆうっ! れーむがね、まりさにおねーさんの所に行こうよって誘うと『そんなの恥ずかしいぜ! まりさは、一人で遊ぶんだぜ!』って言うの!
だから仕方なしに誘わないでれーむ一人でおねーさんの所に行くと、『どう゛して誘゛ってくれなかったの゛お゛お゛おお』って泣きついてくるんだよ!
それに、誘った後まりさの様子を伺うとね、『なんでまりさは素直に行くって言わないんだ馬鹿バカバカ…』って自己嫌悪してるんだよ!」
「ばっ、バカヤロれーむ! お前まりさの秘密を、この、このっ!」
「ゆっ、いやあ! そんなれーむの体をまさぐって、助けてお゛ねーさ゛ん゛!゛」
「覗き見したれーむが悪いです」
「そ゛ん゛な゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
…お調子者の、口の軽いれーむがまりさのぎこちない態度の理由を説明してくれました。
そんなプライベートな事までペラペラ喋っちゃうから、そんなことになるのです。反省してなさい!
…それにしても、わかっていたつもりだけれど、改めて言われると嬉しいなあ。
なんというか、慕われているというか。
素直になりきれないまりさの葛藤、気持ちをもっと大切にしなくちゃなあ。
「…じゃお。空に、大きな雲が」
「ん、本当だね。空を覆うと言うかは、空の下にあるって様子だけれど」
さっきまで雲一つなかった快晴の空に、もくもくと雲が現れてきました。
雲が太陽の姿を遮る度に、体に当てられている陽光も遮られて陰になり、涼しさを感じます。
この涼しさもずっと日差しに当たっていて火照った私たちの体には心地よい涼しさで、熱と冷がちょうどいい具合にまざり体を伝います。
「…んん、んぅ」
…一度は起きてそこそこ体を動かしたというものの、元々は眠気に襲われてまさに眠ろうとしていた所でした。
再び、皆が揃ったところでまた眠くなってきてしまいました。
れーむたちはそれぞれ『どうしたの?』と尋ねてきました。
なので、私は素直に眠くなったと答えます。
れーむは『もっと遊ぼうよ!』と不満を漏らすものの、他の二人は私に同意してくれて、私の近くで寝そべる形になりました。
れーむも膨れ面をしながらも、仕方無しに私のお腹の上にポンと乗っかってきて、そのままじっと動かなくなりました。
「…おやすみなさい、みんな」
ざぶとんを二つ折りにして頭に動かし、ちょうどフィットする場所を探します。
首が楽になる場所を見つけて、私は少し浮かせていた体をゴロンと縁側の廊下に落とします。
それぞれの両腕で、めーりんとまりさを抱えます。
れーむは自分から私のお腹に来た位ですし、転がり落ちてもまた近づいてくるでしょう。
私は暖かい三人の感触に包まれながら、瞼を閉じてゆっくりと眠りの船を漕ぎ始めました。
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最終更新:2011年07月29日 09:21