ゆっくりと、おもてなし

「おちびちゃん、準備はいい?」
「いつでもいいよ!」

「「おにーさんのためにがんばるよ!!」

~ゆっくりと、おもてなし~

朝、太陽が顔を覗かせるより先に彼らは動き始めた

「「ゆっくりしていってね!!!」」

薄明かりの中でモゾモゾと動き始め、家の主の元へ

「「そーろ、そーろ」」

息を潜め、身を低くし、隠密行動もお手のものだ
そんな彼らは何をするつもりなんだろうか・・・

「それじゃあ頼んだよ!おかーさんは行ってくるね!」
「まかせてね!」

主の部屋に一人残されたちびまりさ
一体何を任されたというのか

「おじさんはさっきからゴチャゴチャうるさいよ!」

あ、すいません・・・
でも仕事なんで、続けても良いですか?

「きょかするよ!」

ありがとうございます!
ところで、なにをするんですか?

「おにーさんをゆっくりさせるんだよ!」

ご説明ありがとうございます

そうこうしているうちに夜明けの時
闇を切り裂いて陽光が世界を照らし始める

ジリッ・・・

「ゆっ! むぎゅ・・・」

目覚ましをすぐに止めるちびまりさ
一呼吸遅れて伸びてきた手に強かに頭を叩かれる

「ゆっゆっ! せいこうだよ」

その後も目覚ましがなる度に止めていく
太陽は完全に顔を出し、主が普段起きる時間はとっくに過ぎていた

ピピッ、ピピッ

「ゆゆっ!? なんでまだなってるの!?」

どうやら止めていた目覚ましではない何かが鳴り始めたらしい
しかし音の出所が分からない様だ

「そおい!!!」

一閃

主の手が枕の下から携帯を取り出す

「んあ・・・あれ? 何でこれが鳴ってるんだ?」
「おはよう! おにーさん!!!」
「おはよう、ちびまり」

軽い挨拶の後、ゆっくりと主の頭が覚醒を始める

「うわぁぁぁ!! なにも準備できてないじゃん!!」
「だいじょうぶだよ! もうおわってるころだよ!」
「へ? どゆこと?」

寝ぼけた頭といきなりな状況についていけないおにーさん
それでもなんとか台所まで行ってみる

「う~♪ ごしゅじんさまのおめざめだどぉ~♪」
「おはよー♪ ごはんできてるよー♪」
「もうよういできてるよ! さぁ、おたべなさい!」

台所ではエプロン姿のれみりゃ、ふらん、まりさの三名が朝食の用意を済ませていた

「これが、朝御飯だと・・・」

そこに並んでいたのはプリン、クランベリーパイ、チョコクッキー

「「「どうぞめしあがれ!!!」」」

一体何処の世界ならこれを朝御飯と呼ぶのだろうか

「今日はおにーさんをおもてなしするよ!!」
「みんなでめいどさんごっこー♪」
「う~♪だめいどじゃないどぉ~♪」

頑張って作ったであろう朝食を無下に扱うわけにもいかず
涙を流しながら食していくお兄さん

「うぅ・・・甘い・・・」

「「「だいせいこうだね!!!」」」

こんな朝も悪くはないが正直これはお前達が食べたいものだろう
そんな事を考えつつも自然と笑みが溢れるお兄さんと
頑張ってもてなすことが出来て笑顔のゆっくり達

そんな彼らの団欒の時はゆっくりと流れていく

おわり












「おじさんもなにかたべる?」

あっ、私も良いんですか?ちびまりさん
じゃあお言葉に甘えて・・・

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最終更新:2009年05月24日 09:12