【ゆイタニック号のゆ劇】終末、オシャレな箱に

水かさが 上 が っ て き た

 「もうだめだー」
 「ダメだねえ………」
 「いやーだめだだめだ」
 「んん………っ(くちゅ くちっ) あぁ……はぁあ」
 「うぅんっ ――――ぷはぁっ…………ゆ、ゆっくりしていってね!!!」

出口は塞がれ、何とか上り詰めた倉庫の最上段の棚の上。ホラー映画で、わざわざ2階へ逃げる馬鹿女と同じ事を
してしまったゆっくり 7体

 てんこ・いく・すわこ・けーね・てゐ・しずは・きすめ

 「まー最後ぐらい潔くゆっくりしないとね」
 「ここに集まった皆はゆっくりできててよかったよ!!!」
 「いきなり暴れたりする子はいないね?」

と、いう訳で、きすめの提案により、見ず知らずのゆっくりが集まって、水浸しになるまでの暴露大会が始まりました

 「このてんこといくは………これが暴露だね!!!」
 「こいつら、仲が悪いように見せかけて、本当はこうなってたんだね!!!」

ゆっくりにも、人間と同じ欲求はある。極限状態で、その一つがお互い爆発してしまったか。何、不自然な事ではない。
がっぷり組み合って、どちらがどちらか解らない程。

 「いく、好き。好き………」
 「てんこ。今度は頭以外にもお灸を据えてあげるから」
 「おお、呼び捨て呼び捨て」
 「―――貴女にあえて幸せでした―― とか、 今まで怒ってばかりでごめんなさい とかぐらい言えばいいのに」
 「いやあ、若いって良いねえ」

すわこが、しげしげと遠い目で言う

 「すわこはどうなの?」
 「もう、そんな気分じゃないよ」

別に賢者モードというわけでも無さそう

 「ケロちゃん何言ってるの?」
 「あれ………エロ蛙だの、おたまじゃくしディスティニ―だの言うけど、 ポーズだったんだ……」
 「へえ、そうなの」

軽く流したつもりで、しずはもきすめも、冷や汗を止められなかった。

 「ぱちゅりーに、毎回 そこまでよ してもらいたくってさ。 でも、もう飽きられちゃったんだよね。泣けるわ」

確かに泣ける。
予想はしていたが、いきなり暗い所から始まった。
で、期待できそうな所に次は当たってみる。

 「けーね先生は、何があるの?」
 「ん?特に大それた事ではないが………」
 「またまた詰まらない………」
 「いや……ただ、これはネタになるか。実は、クローンゆっくりの研究に従事していてね」

ここで一々言うという事は………

 「水をかける度に、鼠算式に増殖するタイプのゆっくりを作れないかと思っていたんだ」
 「何に使うの?」
 「ダムが決壊した時に放り込めば、すぐにせき止められぞ」
 「モラルハザードって言葉知ってます?」
 「いや、自分自身のクローンだったんだ。ゆっくりとしての弾力性と持ち運びやすさといざとなれば食べられる点のみに着目して、
  ある種の無生物にするつもりだった。が、失敗してね」
 「どうしたんです?」

何となく解ってきた。

 「牛鬼っぽい、こう、蛸っぽいのが生まれたよ。本人は自分は烏賊だって言ってた。増殖はしなかったが、いくらでも再生できる
  触手だらけの体だった。予定は違ったが、可愛い子だったよ。中身はもち米だ」
 「おお、因果因果」
 「とりあえず、オクラホマの研究所まで運ぶつもりだったんだが……ちょっと通せる自信がなかったから、この船の底辺にへばりつかせて
  密輸しようとしたら、見事に客に見つかってね。捕獲されかかったんだが、今頃、この船内のどこかに隠れているはずさ。まあ、
  あいつは死なないだろう」
 「―――もしかして、この船の………」
 「ああ、オーナーも出資者の一人だよ。見栄えが悪いから、というのもあるが、救助ボートの数を減らしたのも、理由の半分はあいつを
  運ぶためだったんだろうな」
 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 「悪い事はできないものだ」

死に直面しても、いつも通りの平静さを見せつつ、けーね先生は自嘲気味に笑った。


 ―――あんた、すげえ悪だよ!!!

まあ、こういう話を期待していた訳ではあるが、自分達が諦めるきっかけの一端と一緒に居るのは、流石に気が晴れない。
気を利かせたように、てゐがすっくと立った。
嘘の塊のようなゆっくり。
これは期待できる。

 「実は、てゐ、首だけだったうさ」

胴から、ぽいん と首だけが離れる。
よく見ると、下膨れ気味の体には、ゆっくりの目と口がついていた。そして、懐から煙草を取り出して美味そうに吸う。

 「ここに集まったのは、7人じゃなく、8人だったのか……」
 「この前までは、やまめの体やっていました」

単なる一発芸だ。
正直期待はずれ。
では、しずはは…………

 「いや、本当に無いのよね………」
 「無いの?」
 「単なる身の上話になるわ」

汚れ芸人と思っていたのに、妙にしおらしい。


 「実は、半年前に、このゆイタニック号の船員をクビになって」

従業員だったのか。

 「妹に、『もう芋なんて見たくない』って 言って実家を飛び出しちゃって、売れるために世界を点々としたわ」
 「ほほおう。それでそれで?」
 「TMGEやGUYS・ENGLANDに入ったりもしたけど、結局、バッカス島に行き着いたの」
 「酒倉でも立てたのか?」
 「いや……農園のオーナーになったわ」
 「何の?」

もじもじしつつ


 「タロ芋の」


結局芋か

 「繁盛したんだけどね」
 「芋うとのみのりこさん、どうした?」
 「みのりこはみのりこで、クリーム松茸の養殖で稼いだみたい。いきなり会いに来るって言うから、周りに管理任せて、バッカス島から逃げてきちゃった
  休暇も兼ねて、この船に乗ったらこのザマよ」
 「タイミング的に、この船に乗ってたりしてね」

それは、確かに悲劇だ

 「妹には会わなかったけど、そのみのりこの同級生だったりぐるが、いっちょ前にレストランやってたんで驚いたわ。まずかったけど」
 「へえ」
 「リレー小説やってね、みのりこが、今までの流れをうまく昇華させた話書いたのに、下手なボールペンのイラストつきのジャンプのテンプレパターン使って
  台無しにしてくれたわ」
 「何かそれ、見てみたい」
 「あるわよ」

もう上か下か、解らなくなってるてんこといくを置いて、ゆっくり達は、しずはの宝物だという、妹のリレー小説鑑賞を始めた。

 「ちぇん、かわゆい」
 「なのに、何だこのもみじの邪気眼っぷりは。目に余りすぎるぞ」
 「きめぇ丸もきめぇ丸で怖いよ………本当に当時小学生?」
 「で、何で今まで敵の名前が静HARDだったのに、いきなりオルフェノクになってるの?」
 「それが、みのりこの優しい所よ」

盛り上がってくる中――――けーね先生は、一人桶の中から眺めるだけのキスメに気付いた。

 「ああ、すまない。君の話を聞いていなかったね」
 「最後の最後だよ。ゆっくり語ってね!!!」

水は、そろそろ真下の棚に差し掛かっている。

 「キスメだと名乗っていたけど・・・・・・・・・・・・・・・・」

ビリビリと、髪を剥がし、顔の皮も剥がした。

 「実は、わたしうーぱっくだったんです」

かなり大きい。
ちなみに、剥した鬘は飴細工で、肌のマスクは、水あめだった。

 「―――確かに、顔、似てるけど………」

さて、何とかギリギリ6人は乗れる。うーっぱっくを除けば、てゐの体をつとめていたゆっくりも含め、7人。一人余る

 「どうする~?こんなに自分曝け出しちゃったじゃない?誰か一人は、もう未練無いから残りたいって思うよねえ?」
 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
 「まあ、乗った所で、秘密は全部覚えられちゃうけどvv」

先ほどまでくんずほぐれつだったてんこといくを筆頭に、全員が頭からうーぱっくへ入り込んだ

 「無理無理無理無理!!!」
 「我慢しろ!!!」
 「恥ずかしくないの? 馬鹿なの? 死ぬの? いや・・・・・・寧ろ死のうと思わないの!!?」
 『思わねえよ!!! 何とか頑張れ!!!』




 ―――結局、12分に及ぶ顔ジャンケン(グーが閉口、チョキがベロ出し、パーが開口)の結果、しずはが残りましたとさ。


その後、何やら牛っぽい、触手だらけのけーね先生に助けられ、海上をただよっていたかなこのポンデリングに掴まって、生還しましたが、
妹に、結局タロ芋農園の経営の事を話し、冗談などでは無しに嘲笑されたそうな

  • これは酷いw良い意味で。
    よくよく読んでみると色んな繋がり見えてきて楽しいですね -- 名無しさん (2009-06-15 18:40:10)
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最終更新:2009年06月15日 18:40