秋姉妹の軌跡

この話はゆイタニック企画の雰囲気だけお楽しみくださいを手直ししたものです


「ああ、ああ、ああ…」

 口から自然に、諦めの息が漏れてしまう。
 その息には諦観のものの他に息切れたものも含まれていて、体力的にも限界が迫っているのだと、…実感してしまった。
 …恥ずかしい話、私は既に一歩たりとも、その場から動けないまま。
 薄暗く目を凝らさないと何も見えない通路上で、私たちはただ二人、身を寄せ合ってじっと堪えている。

 船内の渡り廊下にでた所で人通りはまるで無く、ただ静けさが壁全体から反響してくるのみ。
 いいように無い不安が私の胸の内をひしひしと責めてきて、ぎゅっと体を締め付けてくる…。
 …別に、私たちはただ旅行を楽しみに来ただけなのに!

「…なんでよ」

「…穣子」

「なんでよお、…嫌よお!」

「…落ち着いて! 過剰に、恐がることは無いわ」

「だって!」

 異常なのだ、…こんなにも、人が居ないものなのか!?
 このクルーズのプランでは、乗客は沢山居るはずだ!
 こういう長い通路には誰かしらクルーの人が見える所で一人は待機しているはずだ!
 今までにカジノもレストランもショッピングモールも通った!
 それなのに…!

「なんで、どこにも人が居ないのよぉッ!」 

「落ち着いて!」

 私は思わずおののき倒れてしまい、壁にもたれかかってしまう!
 おねーちゃんが私に近づいてくる、私は言いように無い恐怖に駆られて、…おねーちゃんを突き飛ばす!
 …おねーちゃんは、信じられないといった目付きで私を疑ってきて、…それから静かにまた私の側に近寄ろうとするも、遠くで立ち尽くすのみ。
 悲哀の表情を浮かべて、ぎゅっと拳を握っていた。

「…どうして」

 こんな事に、私は間違えた事を、取り返しのつかないことをしでかしてしまったのか?
 …何かに締め付けられて、えぐられる、自分自身への強烈な嫌悪!
 最低! 最低最低!
 船自体が、最低そのもの!

「おかしいよォッ、もう駄目なんだよおッ!」

 …耐えられなかった!
 あまりに戦慄した、信じられない出来事の連続で、私はひょっとしたらどこか別の世界へ迷い込んだのでは無いかと本気で考えてしまうくらいに、…意図する何かのされるがまま!
 何を意味するのか、それの目的はあるのか、はたまた本当に『呪い』なのか、

 悪趣味な犯人は居るのかおねーちゃんは私を憎んでいたのでは無いか自分が無意識に犯行を犯していたのではないか全て全て全て全てッ!



「うわあ゛あ゛あ゛あああああ!!」

「穣子ォッ!」



 何も、信じられない!






   秋姉妹の軌跡


ゲーム、再開!』


 now,coming soon...

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最終更新:2009年06月12日 00:02