4月14日 22:30
ゆイタニック号の一室にて、二つの生首が絡み合っていました。
「わっふるわっふる~れいまりれいまり~」
「ひっ………れい…むぅ…何ふざけ……てっ………」
頬を染めながら擦り寄る生首。
「まりさって耳が弱いんだ~。ほれほれ~」
「ちょっ…やだ……やめてよ……こんなっ…の………あっ…」
思わぬ快感に戸惑う生首。
「やっぱ頭は正直だな~。まりさって普段強がってるけど実は受けだよね~。ゆっゆっゆ~」
「ひゃっ……だから駄…目だって…………んんっ…」
ピチャピチャと水音を立てる生首。
「……やべぇ、欲情してきた。身体があったら犯って――」
「――っでぇい!!」
「へぷっ!」
ゆっくりのほのぼの豪華客船旅行~らんしゃまといっしょ~
ここはゆイタニック号の三等客室。
三等とはいえ一般のホテルよりも高級な調度品が並ぶ中、ツインベッドの上に二つの生首が転がっています。
そこにおりますは頭に湯気を立ててぷんぷんとおこるゆっくりまりさと、弾き飛ばされた際の痛みに顔をしかめているゆっくりれいむ。
「れいむ! こういうことは冗談でもやめてよ! 何が「暇だからレズセックスでもしない?」だよ! 女の子同士じゃん! まったくもう……酔っ払っててもやっていいことと悪いことがあるんだよ……」
「何もそこまで怒ることないじゃん……軽い悪ふざけなのに……」
帽子のすわりが乱れたまりさは、その細い金髪が口元に入っているのも無視して息を荒げながら叫び、
対して突き飛ばされたれいむはシュンと目を伏せ、叱責を受ける子供のようにしおらしくなりました。
「そりゃわたしだってやりすぎたとは思ってるけどさ~。ムラムラしてやった。反省している」
「本当に反省してるの!? こっちは目茶目茶びっくりしたんだからね!」
つい先ほどのこととなりますが、れいむとまりさはゆイタニック号の様々な居酒屋を梯子し終え、
まりさがほろ酔い気分でれいむをおぶって自室に帰り、ベッドに横になったところでいきなりれいむが襲い掛かってきたのでした。
親友が突如「ちゅっちゅしようぜ~」と口をすぼめて迫り来るのはまさに恐怖。
普段お調子者で突拍子もないことをしでかすれいむとはいえ、さすがにまりさは驚きました。
「れいむなんてもう知らない! わたしは寝るから! おやすみ!」
「え~。これからまだまだ遊びに行くんじゃなかったの?」
「知らない! 勝手にれいむだけで行きなよ!」
「謝ってるじゃん。もう許してよ~」
普通ならばもう布団の中に入るような時間帯ですが、ここは豪華客船ゆイタニック号。
むしろこれからが夜遊びの本番です。れいむはまだまだ遊び足りません。
それなのにまりさはふて寝。このままだと今日はお開きとなってしまいます。
「……まりさが遊んでくれないとつまんない~せっかく一緒に来たのに~」
れいむがぶぅたれながら転がって、それに対してまりさは無視を決め込んでいます。
れいむは子供がかまって欲しさに地団駄を踏むようにころころ転がります。
そんなれいむに、まりさは徹底抗戦の構えです。
ころころ――
「…………(無視……無視だ……)」
ころころころころころころころころころころころころころころころ――
「…………(うるさくて寝れない……)」
ころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころ
ころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころころ
「わかった! わかったよ! 付き合ってあげるから!」
「よっしゃ!」
根を上げたまりさがそう答えると、れいむはぱぁっと表情を明るくしてまりさに飛び掛ります。
「ありがとまりさ~思わず共食いしちゃいたいよ~」
「冗談でもやめろ!」
その顔は本当に嬉しそう。先ほどまで親友に怒られて落ち込んでいた饅頭とは思えません。
まりさは泣きながら頬を摺り寄せるれいむを押しのけました。
「もう悪ふざけしないでよ!」
「うん!」
「ホントにわかってるのかな~……」
まりさは自分の甘さを自覚しましたが、跳ね回って喜びを表現する天真爛漫なれいむを見て、
「まぁいいか」と納得するのでした。
「じゃあさ! じゃあさ! 一緒に船の中探検しない?」
「探検? 初日にたっぷりやったじゃん。わたしはれいむに引きずり回されてへとへとだったよ」
「夜の探検って一味違うよ。夜のほうが賑やかな場所もあるかもしれないし――」
ゆイタニック号は夜遊べる場所もたくさんあります。
例えばカジノ。
他の乗客から、少し前にゆっくりちぇん親子とゆっくりゆかりんを連れた女の人がカジノで高笑いをしながらチップを大量に持っていったという話を耳にしました。
乗客曰く「パンタローネみたいな笑い方をしてた」とまで評されるほどです。
その話を聞いたれいむは自分達も一攫千金を狙ってみたいと興味を持ちました。
「で…でも夜遅いとなんかお化けとか出そうじゃない……?」
「そういえばここらへんの海域では歌の上手い幽霊が出るって聞いたことあるね~。歩き回ってるときに出会うかもよ~」
「や…やめてよそういうのは……。やっぱり明日にしない?」
「やだね~。このれいむに逆らうつもりかな~。チケットの持ち主のこのれいむに~。わたしが誘わなかったらまりさは来れなかったんだよ~」
「うぅ…わかったよ……」
まりさは一緒にゆイタニック号の三等チケットの懸賞へ応募しました
まりさは懸賞が当ることを夢見て、もしゆイタニック号のチケットが当ったらどう過ごすかということを楽しみにしながられいむに連日おしゃべりしていたのですが、
結果としてれいむとまりさは懸賞に外れました。
落ち込む魔理沙。夢見ていた船上旅行はやはり夢だったのかと諦めていたそのとき。
れいむが突然「知り合いからチケットもらった。いくべ」と誘ってきました。
そのため、まりさは立場上れいむに逆らえないのでした。
「もうやだ! おうちかえる!」
食堂街の床にはネトネトとした粘液が塗れていました。
「すっげー。なんだろこれ……」
興味津々のれいむと怯えたまりさ。
カジノに行ったはいいものの、三等客のために入り口で追い返され、ふてくされながら散歩しているときにこの粘液を発見しました。
「やばいって! この先絶対に変なクリーチャーいるって!」
「美味しそうな匂いだし問題なくね? 面白そうだから行ってみようよ」
その粘液は非常に良い匂いで、嗅げば嗅ぐほど食欲が増してきます。
本能的に食事を求めてしまうその匂い。まりさは理性で踏ん張ります。
「食虫植物が獲物をおびき寄せるようなものだって! 危険が危ないよ! きっとキング映画に出てくるような触手のモンスターがうようよいるんだよ! 食べられちゃうよ!」
「うちら女の子だから大丈夫だって。頑張って触手と仲良くなれば苗床エンドぐらいで済むよ」
「もっと悪いわ!」
※苗床エンド 触手との家族一杯ラブラブエンド
「てかうちら饅頭じゃん。食べられる以外のことされないって!」
「たとえばどんなこと?」
「え~と……あの……その………」
途端、羞恥心という着色料によってまりさの顔が真っ赤に染まります。
あぅあぅと口ごもり、あたふたと慌てるその初心な様子にれいむはけらけらと笑いました。
そうして笑い過ぎて涙目になったれいむはまりさが涙目で口元をぎゅっと結んでいるのを見て。
今度はゲラゲラと笑うのでした。
こうして暢気にポンポン跳ねて突き進むれいむとは対称的にまりさは即座に引き返そうとしましたが、
面白がったれいむがまりさを引きずってその粘液を追っていきました。
チケットの持ち主であるれいむにはまりさは逆らえません。
粘液を辿っていくといきなり途切れ、その先に見えるは三件のレストラン。
「Night sparrow」 「kuneri guru」 「河城飯店」
「さて、まりさはどのお店がいい~」
「決めなきゃ駄目? 本当に何かあったらどうするのさ?」
「貴方は死なないわ。私が守るもの」
「説得力ないよ!」
まりさは怖気づいて引き返すようにれいむに頼みましたが、れいむは聞き入れませんでした。
けれどもこの店の中のどれかが粘液の正体に関係していることは疑うまでもありません。
「どうか……どうか化け物とは出会いませんように……えぇい! このお店!」
結局まりさは粘液の正体に出会わないことを祈りながら端にある「河城飯店」を選びました。
「うっわ~おいしそ~♪」
深夜であるにもかかわらず喧騒鳴り止まない店内で、まりさは子供のような声をあげて感嘆しました。
まりさは常識をわきまえているためにれいむの押さえ役になっているとはいえ、
根はれいむよりずっと子供っぽいところがあります。
今となっては謎の粘液に怯えていたことはすっかりと記憶のすみに追いやられ、
今はメニューに浮かぶ豪華絢爛な中華料理を見てその目を輝かせています。
「何がいいかな~♪ どれにしよっかな~♪ れいむは何食べる~?」
「まりさ~。人間の姿煮ってないかな~。もしくは人肉饅頭」
「ねぇよ!」
れいむが相変わらず突拍子のないことをいってまりさを困らせるいつもの光景。
れいむはぷぅと頬を膨らませながらぶぅたれています
「人間もせっかく肉に生まれてるんだから、食材としての誇りを持てばいいのに」
「キミの中では生き物は全部食材なんだね!?」
まりさは気を取り直してメニューに再び目を向けます。
「う~ん…食べたいものが多すぎて決まらないや……この豚の丸焼きなんて興味あるんだけど、これ食べたらすぐお腹一杯になっちゃいそう……どうしようかな~」
まりさは以前見たテレビドラマで豚の丸焼きを切り分ける家族の様子が脳裏に刻みついていたため、
とても興味がありました。
そうやってまりさが意識を豚の丸焼きに集中し上の空となっているのを見て、
人間が肩を叩くように、れいむがまりさをポンポンとほっぺたでつつきます。
「何? れいむ、どうかしたの?」
「厨房に行ってこよっか?」
「何で?」
れいむはぱっちりとウィンク。
「ちょっと料理『されて』くる」
「まてや」
「中華料理店の空気に触れると饅頭の血が騒ぐんだ~」
「まてって」
「ゆっくりの丸焼きになって帰ってくるね。まりさも一緒にどう?」
「何コンビニに行くみたいに気楽に言ってるのさ!」
いくらゆっくりが動く饅頭とはいえ、さすがにこれは大変です。
例えるなら妖怪と人間が乗った船で、人間を食材にした料理があるようなもの。
どう考えてもR-18Gタグは免れません。
突っ込みを続けて止めるまりさに向かってれいむはニヤリと笑うと、諭すように声をかけます。
「長い船旅には刺激があった方が楽しめるよ。そのためにサプライズが必要なんじゃないかな~って」
「必要ねぇよ! 必要なかったよ!」
「そんなこといわずにさ~。例えばだよ」
れいむがまりさに語りかけます。
「例えばゆイタニック号への旅行に行きたいと、恋人からねだられた男性がいるとします」
「あ~……うん」
れいむが声のトーンをやや落とし、その中に真剣味を増しました。
まりさはれいむのそんな様子に思わず載せられてしまいます。
「その男の人はお仕事を頑張って、コツコツとお金をためて、やっとの思いでゆイタニック号の三等チケットを手に入れました」
「頑張ったね、その人」
「高級感溢れる船の内装。楽しいレジャー施設。そして豪華な食事」
「最高だよね~。その人達じゃないけど、わたしも来てよかったよ」
「そこで男性、船内の食事にて恋人が一生の思い出に残るようなインパクトの強い物を頼もうと考えました。ウェイターからテーブルの上に乗せられた大皿を受け取ります」
「何が乗ってるの?」
「その上には生首が」
「猟奇殺人じゃん!」
「大丈夫。ウェイター『ゆっくりの丸焼きでございます』」
「この場合は『ゆっくりの焼死体』だから! それ!」
「生首だと思ってびっくりした恋人『なんだゆっくりか~生首かと思ってびっくりした~』」
「そういう問題じゃないよ! ドン引きするって!」
豪快に笑いながらゆっくりを切り分ける男、それを見てわぁっと感嘆の声をあげる恋人、
その様子を温かい笑顔で見届けるウェイター。
「『む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪』」
「せめて躊躇しろよ!」
れいむはしんと静まり返ると再び声をかけます。
「その後追加注文が来ました。ウェイター『生首の丸焼きでございます』」
「ウェイターってばなんで冷静なのさ!」
「恋人『なんだ生首か~ゆっくりかと思ってびっくりした~』」
「そいつ頭おかしいぞ!」
豪快に笑いながら生首を切り分ける男、それを見てわぁっと感嘆の声をあげる恋人、
その様子を温かい笑顔で見届けるウェイター。
「『む~しゃ、む~しゃ、しあわせ~♪』」
「無理矢理ほのぼのさせようとするな!」
ワイワイギャーギャー。れいむとまりさはいつでもどこでもこんな感じです。
「で……」
突然れいむが真顔になりました。
「……気は紛れた?」
「いや、無理」
まりさは店内を見回しました
r○、
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ノ| くゝ'"´ ` ',
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Y´/ !,'レ(○) ,レ'(●) ハ 〉
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ノ ヘ、.ゝ Y Y イノ |
(ノ○riハ.、, `─´_ _,.イ ハ|
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ノノ // r ノ/ ノイノレ' レヽ`ヽ ノ〈 i ,ィヽ八, ノ'レ- ルi ハ〉 ハ
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)ノ ヽヽノ |, ″ ̄  ̄"りハj ノ'レ',い  ̄  ̄´ イr!(ヽソ
(ヽソ ノヽ, ´ i \ (/ヽノ⊃ ' ⊂j ノ ヽ ノ
∧__ ) ヽ人ノ,ゝ ー=- /( ノノ Y 人 ‐=一 彳、. ノ ハ ∧
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「Tieeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeennnnnnnnnnnnnn!!!」
「もう抵抗は無意味です。おとなしく投降しなさい」
「ナパームでもぶち込んでやりたい気分だが……人質が……」
「Suppaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
「さとりさま! あいつぶっ飛ばせばいいの?」
「誰かこのお⑨を止めろオオオオオオ!」
「河城飯店」に立てこもって乗客をゆっくり質にしたゆっくりらんと、
ゆっくり質のために手を出せずにいるこめいじ姉妹と助手のうつほ。
そしてゆっくり質にされたれいむまりさをはじめとする客達。
「現実から逃げたくなるよね~」
「ですよね~」
時刻は少しさかのぼります。
まりさ達が店内入った時「河城飯店」内部はあと一時間もすれば日付が変わるような時刻のためか、
それともあの粘液を見て乗客たちが引き返したためか、その評判とは裏腹に客が殆どいませんでした。
店内は活気こそありませんでしたが、代わりに高級感ある静かで落ち着いた雰囲気を放っていました。
「れいむは何がいい~?」
「ゆっくりまりさの丸焼き」
「ねぇよ! 喧嘩売ってるの!?」
そんなほのぼのとした光景。
けれども船に原因不明の揺れが生じたその瞬間、「河城飯店」に突然不届き者が乱入してきました。
店内に飛び込むようにやってきた、サブマシンガンを持ったゆっくりらん。
生首タイプのゆっくりらんがロボットの身体とサブマシンガンの武装で構成した、
国際指名手配の過激派モンスターペアレント集団、『乱射魔部隊』の構成員。
彼女達はゆイタニック号唯一にして最大の美術館「全世界みゅーじあむ」にある
「メロン○ックスゆっくりぬいぐるみシリーズ限定品『ゆっくりちぇん』」の強奪と、
この船に乗っているゆっくりちぇん達の誘拐を狙っていたのでした。
「ぱちゅりー警部はどうした!?」
「駄目です! 無線での連絡がつきません!」
「よりにもよってこんなときに……まさか怪盗まりさ・ザ・サードが……」
「こいしさま~。ぶっ放してもいい?」
「やめないか! 私だってナパームをぶち込むのを我慢しているんだ!」
こめいじ姉妹は怪盗まりさ・ザ・サードに対する応援部隊の一員としてやってきましたが、
もうひとつの理由としてゆっくりパチュリーの警部が偶然見つけた乱射魔部隊への逮捕がありました。
無関係な一般人に危害を及ぼすことはない怪盗まりさ・ザ・サードとは違い、
乱射魔部隊は泳がせていたら船員と乗客に被害が出る危険があります。
こめいじ姉妹は船内に散らばった乱射魔部隊を秘密裏に各個捕らえたのですが、
あと一体というところでらんに感づかれてしまい、「河城飯店」に逃げ込まれたのでした。
「あぁ……もう駄目だおしまいだ……。今度生まれて来るときは食物連鎖の頂点に立ってやる……」
まりさは後悔しました。こんなことだったらあのときの三択で別のお店を選べばよかった。
何でよりにもよって立てこもり事件が起こるような場所に来てしまったんだろう。
混乱したまりさは頭の中を走馬灯のようにこれまでの思い出が駆け巡ります。
「諦めが早すぎだよ!」
れいむが首をぐるりと水平に回し、平手打ち代わりにもみ上げをまりさに浴びせます。
目にヒット。
「……キチンと向き合うんだ! これは夢や幻なんかじゃない! だから絶対に諦めないで!」
「れいむ……」
まりさは親友の言葉と目に打撃を受けたことにより思わず涙が出てきました。
「れいむごめんね。勝手に諦めたりなんかしちゃって……。そうだよね、せっかくれいむが誘ってくれたのに、こんなところで死んじゃったりしたらいけないよね」
「いや、そうじゃなくて……」
「この旅行っていい思い出がたくさんあったね」とさめざめと泣きながら語るまりさに対して、
ノンノンとれいむがかぶりを振ります。
「まりさはもっといいリアクションしないと!」
「キミ本当に最悪だな!」
くたばりやがれドチクショウが。
「そ~そ~それそれ。そんな感じだよ……」
れいむはニコッと笑うとまりさに頬を擦り付けます。いつもよりも力強く。
「まりさ。死ぬのって怖い?」
「う…うん。当然だよ」
「……貴方は死なないわ。私が守るもの」
「れいむ……」
「お前も一度死んで見るか? 意外と恍惚で病み付きだぞ」
「どっちだよ!」
れいむは気合を溜めるように大きく息を吸って吐き出します。
「……必ずチャンスはやってくる。そのときは任せて」
「う……うん」
まりさが頷きます。
「そういえば戦わなければ生き残れない――って台詞、元ネタだと戦っても結局みんな死んでるよね」
「あのキャッチフレーズって詐欺だよね! それは思い出したくなかったな!」
まりさが突っ込んだその瞬間。船が突如大きく揺れました。
ゆイタニック号は豪華客船。
船酔いし易い方でも快適に過ごせるようにするため、丸いゆっくり達が転がらないようにするため、
船内が揺れることは殆どありません。つまり、誰も想定していなかった事態。
それはらんも同じでした。体勢が大きく崩れて膝を突きます。
その瞬間、れいむは乱射魔に飛び掛りました。
不測の事態が起こることを恐れていたらんと待ち構えていたれいむ。両者の反応の速さは瞭然でした。
更にれいむは多種多様にわたるゆっくりの中でも理不尽の塊タイプのギャグ体質不思議生物型。
例えるならドラゴンボールで桃白白を倒したアラレちゃんの如く、
ギャグ漫画体質の、殺しても死ななそうなれいむはあらゆる状況下でも戦い抜くことが出来るかもしれません。
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┌┴┐ ‐┬‐ | | ┌┴─┐ 、 | | |_| ヽ / l |
|三三| | ̄| ̄| | |____.| × | |_| X | | //
───  ̄| ̄ | | | ./ ` | __|_| / ヽ ヽ | //
/ \ /\ ヽ、l └──┘ ヽノ l ´ ` 、ノ //
▂ ▪ ▂▄▅▆▇■▀▀〓◣▬ ▪ ■ … . //_
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ヽ |イ|| |ヽ、 イ|| | | ̄― ̄/ ̄ ____――
レ レル. `.ー--一 ´ル レ ( ̄(0_/ ̄ ̄ ̄
( ̄ ̄/
「無理。マシンガンぱねぇ」
れいむはドラゴンボールで例えるならアラレちゃんではなく、ミスターサタン。
セルゲームのときの、シリアスな雰囲気をぶち壊しにするあのお邪魔虫だったころのサタン。
妙にしぶといあのサタン。
「れいむ! 頭大丈夫!」
「問題ね。頭空っぽの方が夢詰め込めるよね」
れいむはいそいそと餡子を詰めなおしながら呟きました。
けれどもれいむの行動はらんに隙を与えます。
突然の地震と突然飛び掛ってきたゆっくりれいむ。
各個ならまだ体勢を立て直せますが、同時に発生した異常事態。
呆気にとられたらんのサブマシンガンはまだ構え終えていません。
「今だ!」
その瞬間、さとりとこいしの銃弾の嵐がらんの身体に降り注ぎます。
らんの持つロボットの体は銃弾の嵐ががりがりと削り、その体は一瞬で漫画のチーズのように穴だらけになりました。
らんの首は体とのつながりを失い、ごろりとまりさ達のテーブルの上の大皿に転がり落ち、
『それ』はまるでメインディッシュのよう。
「生首! なまくびぃぃぃ!!」
錯乱したまりさは思わず叫び声をあげてしまいましたが、
ひとしきり叫び終えたまりさはテーブルの上に転がってきた『それ』がようやく何であるか認識します。
『それ』こと『ゆっくりらん』と。
「なんだゆっくりか~生首かと思ってびっくりした~」
「……………………」
安心したまりさとお皿の上に乗って気絶したゆっくりらんを見て、穴だらけのれいむはフォークとナイフを持ち出しました。
「何してんの?」
「……切り分けようかなって。豪快に」
「や! め! ろ!」
豪快に笑いながらゆっくりらんを切り分けようとするれいむ、それを見てぎゃああと悲鳴をあげるまりさ、
その様子をナマ温かい笑顔で見届けるこめいじ姉妹。
身を粉にして働いて買ったチケットを――知り合いからもらったと嘘をつくような、
その身に鋭い痛みが襲い掛かったとき――不安がらせないために道化を演じるような、
真剣な本心を語るとき――口ごもってタメを作ってしまうような、
そんな素直になれない乙女は――楽しいデートを台無しにした敵に対して怒り心頭だったとさ。
- 久しぶりに、SSのAAにて思い切り笑いましたw
前半のちょっとカオスながら楽しい会話から急展開
最近土曜からおかしくなってリリーに発砲する乱射魔・男前こめいじ姉妹、そしてうにゅほ、
白刃取り失敗のれいむ、どれもタイミングと行間が圧巻です。
前からそうですが、ゆっくり=生首として初めて成立する展開やネタをきちんと作っている所に
感心しています。 予定からかなり大変だったと思いますが、素敵な作品の投下、そして、
クロスによって世界を広げてもらい、本当にありがとうございます。
ところで、最後にれいむに隠れた乙女っぷりに心打たれましたが、この後の皆は―――? -- おくら (2009-06-12 23:28:39)
- このSSを見るときの世界的な作法。
1.熱いお茶を用意します。
2.限界まで口に含みます。
Ex.お茶請けにゆっくりをどうぞ。 -- 万年初心者 (2009-06-13 20:31:14)
- <おくらさん
ありがとうございます。こちらこそ真ん中に挟まれた「kuneri guru」を親子ゆっくりに例えたAAには笑わせてもらいました
それとあの粘液は絶対に組み込むって決めていました
当初の予定とは大きく異なって迷走しまくってしまいましたが、落ち着くところに落ち着けたと思います
本来の予定ではらんを乱射魔に見せかけて、実は他に乱射魔がいて、らんは船長にしようとしてましたが、
どうしても冗長になってしまったので、お蔵入りになったのが心残りです
ちなみにこの後はれいむとまりさは漫才をしながら他の乗客と一緒に逃げる
こめいじ姉妹とうにゅほはパフェさんのきめぇ丸が乱射したので乱射魔部隊がまだ残っていると
勘違いして船内に向かうって感じです
<万年初心者さん
ありがとうございました
お礼に大皿に乗ったゆっくりらんをどうぞ -- 名無しさん (2009-06-13 20:50:07)
- <チル裏過去ログ2009-06-12 23:37:32さん
恋する生首ってところですかね、れいむ
以上、6スレ目でした -- 名無しさん (2009-06-13 21:13:22)
- ゆっくり達のトンデモさに笑いまくりだったけど、最後のオチで少しホロリ。
こういうギャップも面白いね。 -- 名無しさん (2010-10-08 21:46:16)
最終更新:2010年10月08日 21:46