注意、私の最近の流行が色濃く反映された様だ、望み通りに…天からお塩!
byありすアリスの人
一日目 4/10
私か?私はその辺の商店街に住んでる女の子と言っとけば良いか?
とりあえず、藤原流女とでも名乗っておくよ、読み方と名前の元ネタは勝手に推測してくれれば結構
挙げる事があるとすれば、某運送業に勤めている事とゆっくりと同居している事かな
私は今、福引で手に入れた世界一周旅行の乗船チケットを片手に搭乗口で乗船の手続きを受けていた
「それにしても、よくこんなチケットを手に入れる事が出来たな…」
「あぁ、それもさなえのおかげさ」
私の肩の上には青い帽子を被った銀髪のゆっくりがいる
頼れる相棒、ゆっくりけーねだ、私なんかよりずっと頭が良い
加えて私のスーツケースの中にもゆっくりが入っている、今回の功労者、ゆっくりさなえだ
ゆっくりさなえは奇跡を起こすというジンクスを信じてさなえに福引きを回させた所
見事に特賞であるこの旅行を手に入れたのだ
流石に商店街の財力では一等席は厳しかったのだろう、二等席だ
まあそこまで高望みはしてないのでここは妥協しておく事にする
手続きを終えた私はまず割り当てられた自室へと向かった
「…二等でこれかよ…高級ホテルも真っ青だなこりゃ……」
確かに高級ホテルも真っ青な装飾、設備、だとしたら一等はどうなる!?
「随分と金の無駄遣いをしたものだな、もっと良い使い道があるだろうに…」
そうけーねが吐き捨てるが私は気にせずスーツケースを開く
まず会社の制服である赤いスーツが目立つがその脇に
さなえがぐっすり寝ていた、起きる気配は無いだろう
何で会社の制服か?私は他の人より服のセンスが無いんだ
今着ているワイシャツにサスペンダー付きの赤いズボンがお気に入りなんだが
どうも世間の流行からは外れているらしい、流行が何だってんだ!
そんでもってこの制服が中々いけるからお気に入りと共に持ってきた訳
疲れた私は愚痴を吐き捨てるけーねをよそにふかふかのベッドに横たわる事にした
何しろ当選してから足りない頭で持ち物の吟味をしてゆっくり達を連れて行くことにしたのだから
その他は替えに持ってきた制服、おやつなどその辺の修学旅行と変わらないクラスの持ち物だ
携帯、携帯ゲーム機も持って行こうとしたが流石に止められた
さすがにこれだけの豪華客船でも世界一周だと退屈しそうな気がするんだがな……
だけど私は数日後に精密機械の類を持って行かなくて良かったと思う事になる
私はけーねとさなえを肩に乗せて部屋を出る、まずはこの船を楽しむとしようか
「だが…行くあてはあるのか?」
「ああ、まずはさなえの為にプリンでも買いに行く」
「プリンですか!?たのしみです!!!」
さなえの好きな食べ物はプリンだ、お気に入りが来ている筈なんだが……
お菓子売り場に到着した、見渡して見ればわかることだが私みたいに普通の人もいれば
どう見てもセレブな人もいる、まさかアイツも来てないだろうな……
私はあの最近UFOウォッチングにはまったとかほざく黒髪ロングの憎たらしい顔を
思い浮かべながらお気に入りの店を探した
お気に入りは…あった、プリン専門店の「プリズムリバー」だ
私の近所で連日行列を作り、商店街の主力となっている
また店のスタッフである個性的な三姉妹とゆっくりも店の看板だ
「いらっしゃいませ!…ってアンタじゃないの!」
列もようやく終わりになってきた所で挨拶していた栗色の娘がこっちに気づいた
彼女はこの店における三女、妙にネガティブな長女と
妙にポジティブな次女に挟まれる苦労人の立場だ
「ああ、福引きが当たったんだよ」
「へぇ、アンタが来てくれると気が楽だよ、何か買ってくかい?」
「では…今日のお勧めを頼めるかい?」
今日のお勧め、長女がネガティブ思考で仕入れた材料を使って
次女と三女がこれまた美味しそうに仕上げるのだ
「はいよ、今日はりんごプリンだよ!」
「とりあえず三つ頼むよ」
あっという間に梱包されたプリンを受け取り代金を支払う
店の中で食べようかと思ったが生憎店の中は客でいっぱいだ
せめてゆっくりぷりずむりばー姉妹の生演奏でも
聴きながら食べたかったのだが流石に諦めることにする
部屋に帰った私はプリンをテーブルに置き、ゆっくり達と食べる
「やっぱりあのみせのプリンはおいしいです!!!」
「んん~!流石プリズムリバーのプリンだ!」
「この様に慣れない環境でも、あそこのプリンを食べているときは癒されるものだな…」
私は他にも
「パティシエ・てんこ」や「マーガトロイド」等のお菓子を作る店を片っ端から廻り
めぼしいプリンを買っていった、まだ財布に余裕はある、このチャンスを逃したくはないね!
二日目 4/11
私は懲りずにプリンを買いあさっていると一つのコーナーが目に付いた
「吹き荒ぶ風のお別れ空輸」確か社長がこの会社の社長と何らかの因縁があった様な気が…
どうやらこの会社はお土産をきめぇ丸で運んでいる様だ
ちょうど上に甲板に出られるハッチがあるらしく、きめぇ丸はそこから
ゆイタニック号を抜け出し目的地へ向かう様だ
ただしその際にお土産のチェックを数頭のきめぇ丸が行う様で
流石に盗んだ品物を持たせて輸送させるといった芸当は出来ない様だ
因みにバックにはとんでもない数のきめぇ丸が控えている……
「吹き荒ぶ風のお別れ空輸です、持ちきれないお荷物を真心込めてお届けします!」
彼女はシャメーニッツ・文、私に比べて強引すぎる名前だが気にしてはいけない
「よう、文やい、元気にしてるか?」
「あやややや…藤原さんですか、そちらはオフですか?」
「まぁな、世界のプリンを買いあさってるよ」
文とは中学からの付き合い、昔は良く悪戯してはゆっくりぱちゅりー先生に投げ飛ばされたものだ
「こちらはこちらで仕事です、残念ですが付き合えませんね…」
私と文は適当に話を切り上げ、私は晩飯として「河城飯店」でたっぷり食べることにした
だが…私と文が数日後に協力してボートに乗り損ねた客や乗員を救助することになるとは
この時はまだ思いもしなかった
四日目 4/13
昨日の夜「食い放題のゆゆこ」で腹一杯になるまで食べた私はドアのノックで目覚めるハメになった
「なんだよ…慌ただしいな……」
「いるんでしょ!?出てきなさい!」
この声は伊倶夜か!…あの黒髪ロングか!私はすぐさま赤いスーツに着替え始めた
「またか…朝っぱらに迷惑なものだな…」
「ったく…けーね、そこのベルトを取ってくれ、」
「了解、じゃじゃ馬を黙らせて来るのか、女子供相手に荒っぽい事は厳禁なんだがな…」
「アイツは例外だ!」
私は着替え終え、未だにノックの鳴るドアの鍵を開けた
「少しは時間ってモンも考えやが…その服装は何だ!?」
見てみると黒髪ロングは黒い服にやけに動く黒いマントを着ている
○スツ闇の支配者にでもなったつもりか!?
「金髪に染めてからその服を着るんだな!」
「あんたこそ!金髪に…銀髪もありか…」
言い返せない黒髪ロングは襲いかかってきた!
「さて…お手並み拝見と行くかい!」
「まあ良いわ…○スツ闇の支配者、私こそ最強、見事超えてみせ」
「ジェノサイッ…」
「ぬうぅぁぁぁ!!!」
「…カッタッ!!!」
運送業社長直伝のジェノサイ○カッター(94仕様)をまともに受け
台詞中にあえなく散った黒髪ロング、無様である
「こちとら六年やってるの、十年ほどUFOを探してくる事をお勧めするわ!」
六年ほど社長の下に通っているとたまに得意技を教えてもらえたりする
先程のジェノサイ○カッターは勿論、二年前にギガンテッ○プレッシャーも教えて貰った
「ゲホッゲホッ…その威力のは金髪に染めて上着脱いでからしなさいよ……」
「突っ込む所が違うんじゃない?……」
起きあがった伊倶夜はまだ戦おうとしている様だがそうはいかない
もう一回ジェノサイ○カッター(94)の錆になってもらった
「HAHAHA!!!」
「あら!騒がしいかと思えば、お隣の藤原さんじゃないですか」
声に気がつき、その方向を見ると銀髪のお姉さんがいた
彼女はこの黒髪ロングの母だ、母とはいえとても若々しい
それに医学界では結構有名だ、まあ私にとっては隣の優しいお姉さんだ
「いつも娘が迷惑をかけてすいません、お詫びといってはあれですが…」
「いえいえ、良いんですよ、いつもの事ですし…」
「よかったら…私達の部屋で話しませんか?」
お言葉に甘えて見せて貰うことにした
ついでにゆっくり達を倒れた伊倶夜に乗せ、そのまま引きずっていく
私たちは八意氏の部屋に着いた、この辺りは一等席らしく通路も少し豪華になっている
「ありがとね、伊倶夜を連れて行く手間が省けたわ」
「大丈夫です、これ位仕事で鍛えてますから」
実際、こちらは人力運送を主力としているのだ、人間一人運ぶ位容易いものだ
「うわぁ…」
「贅沢の極みだな…こんな使い方をするから金持ちは嫌いなんだ……」
「すごいです!とってもゆっくりできそうですね!!!」
ドアを開けてみると部屋の中はけーねの言うとおり、贅沢の極みとしか言いようがない
自分の部屋でも凄い事に変わりは無いがそれに輪を掛けて豪勢な装飾
見ただけで超高級ものだと思われるベッドに絨毯や照明
ついでにゆっくりかぐやがいつの間にかお姉さんの胸の上で寝ている、少し羨ましい
正直引いた、生活には最低限ベッドに机や生活用品がそろっていれば充分なのに…
この船を造るのにかかる資金、資源を慈善事業に活かせばどれだけの人が救われるのやら……
私達は八意氏と事のいきさつについて話しあった
あの黒髪ロングは八意伊倶夜、ネーミングの元ネタは察して欲しい
私と伊倶夜は昔から喧嘩してばかりで二人で八意氏のお世話になる事もしばしばあった
それでも、私と伊倶夜は親友とも言える、さっきの様に一瞬で決着が付いた場合はともかく
激闘の末に河川敷で共に寝っ転がって揃って大笑いする事も良くある
たまに八意氏がゆっくりかぐやと共にこちらを眺めている事もあるくらいだ
医師としてその姿勢はどうかとも思われるが大事になった際にはお世話になっても良いはずだ
私はその日中、八意氏の部屋で過ごす事にした
事件の日 4/14
私は何事も無くレジャー施設を見て回っていると気になる人物を見つけた
怪しげな手つきの何か偉そうな乗員がスタッフオンリーと書かれた扉に入って行くではないか
何やら野望だの怨恨だのほざきそうな奴の眼だ、ろくでも無いことを考えてそうだが…思い過ごしか?
「流女…どうした?」
「ああ…何だか怪しい奴を見た…追いかけるべきか?」
「むぅ…どうなっても知らんぞ…むしろほっといた方が金持ちに都合が悪そうだがな…」
「けーねさん!それよりもじぶんのいのちですよ!!!」
とりあえず自分の第六感に従って乗員を追いかける事にする
扉を開けるとそこに寝ている乗員が…多分見張りだな……こいつの制服を借りるか
「女性から制服を剥ぎ取るか…感心しないな…」
「言ってろ…、私は女だ…」
幸いにも乗員が起きなかった為、すんなりと制服に着替える事が出来た
会社の制服の上に着ると中々暑いがこの際気にしないことにする
乗員を近くのロッカーに閉じこめ、私はあの乗員の後を追う
幸いにも一本道故に…下り階段が続くな……
「いかにもイベント前の階段じゃないか…」
階段を下りきるとそこは…何て言うんだ…一言で言うなら動力炉って奴なのか?
とにかくでかいゆっくりれいむを思わせる形の機械がそこにあった
そしてその目の前にいる乗員、高笑いしてるよ……
「さっきからこそこそついてきてるのは誰かな?」
「私かい?ああ、ただの運送業よ」
「…というか…ついてこないでよ!折角かっこよく決めたかったのに!」
「かっこよく決めたって観客はいるの?……」
乗員、撃沈
「フン!まあいいが付き合ってくれよ!」
乗員は深呼吸をしたかと思うといっぱしの悪役顔になった
「遅かったな!もうすぐこの船は沈む運命にある」
「な…なんだと!?」
私も面白そうなので付き合ってみることにした
「ここは動力炉、言わばこの船の心臓さ!」
「それを私は数時間後に爆破する!そしたらどうなると思う!」
「貴様…どうしてそんな事を!」
言ってくれた!と言わんばかりに乗員は嬉しそうな顔をしている
「私はΩ、この船を沈める者だ」
Ωと名乗った乗員はオーバーアクションとも取れる手振りで動機、真相を語り始めた
「この船の出資者、ドスマリーサカンパニーに個人的な恨みを持っているのでね…」
「死に物狂いで私はこの動力の責任者になり、製造段階で意図的に爆破装置を組み込んだのだ!」
「だからって!…だからって!…関係ない大多数まで巻き込む必要はないでしょ!」
私もそれなりに野望を止めに来た人間を演じる、様になっているだろうか?
「いいや、これはDM社を滅ぼす為に必要な犠牲なのだ!」
「数時間後にこの偶然と必然は重なり、この船は私達の犠牲と共にDM社を滅ぼす鉄槌となるのだ!」
「ふざけるな!そんなこと…許してたまるものですか!」
「貴様みたいなちっぽけな一般人に、私の野望を邪魔されてたまるものか!ここで消してくれる!」
そう言うとΩは隠し持っていた銃を私に向けて…思わず身構えると…!
………
「ふぅ…付き合ってくれてありがとう、演技はこの辺で良いかな?」
「お疲れ様でしたぁ…」
私も思わず肩の力を抜く、まあ銃を持っている以上油断は出来ないのだが
「と言うわけで私は秘密をべらべら喋ってしまった、だとしたらする事は一つ」
「お客である貴女を消すことです、無論、その肩にのってる」
「ジェノサイッ…」
「こんなはずはぁぁぁ!!!」
「カッタッ!!!」
ジェノサイ○カッター(94仕様)の犠牲者二人目
流女はもの凄い勢いでΩの前に詰め寄り、社長直伝、ジェノサイ○カッターでΩを蹴散らしてしまった
銃を持っていても、距離を詰められ馬鹿げた威力の技を食らってはそのアドバンテージも無に等しいだろう
「HAHAHA!!!」
「ふふ…ふふふ…フハハハハハハ……」
よろよろとおぼつかない足取りながらも立ち上がるΩ
「もう一ラウンド行く?今度は壁とキスさせても良いんだけど?」
「まだ…まだ私の野望が潰えた訳ではない…」
その手にはいかにもなスイッチが握られていた、多分爆薬の起爆スイッチである
「ッ!まずい!」
「これで終演だ!Ω劇場をこれからもごひいきにィ!」
ポチッ…
………なにも起こらない……
「何故だ!何故ッ!」
ポチッ、ポチッ、ポチポチポチッ!!!
「残念だったわね、君の猿芝居はこれで終わりよ!!!」
「こんなはずはぁぁぁ!!!」
Ωはギガンテッ○プレッシャーにより、壁と二回キスする羽目になった
その後もΩの持ち物を検査し、スイッチが入らない原因が電池の入れ忘れである事が発覚
事情を知った警備に連れて行かれるΩは本当に悔しそうであった
何はともあれ、これでぐっすり眠れる訳だ
「…勝ったと思うなよ……まだ必然が残っているんだ…」
「もう勝負ついてるから、必然も越えて見せるわ……」
氷山激突
「も゛え゛あ゛!!!」
どうやら私は自室のベッドから転がり落ちてしまったらしい
「おねえさん!だいじょうぶ?」
私の顔をさなえが心配そうに覗いている、私は大丈夫、この程度はダメージに入らないさ…
「さなえ…あいつはただでは死なない、何せ勤務先で良く社長の自爆に巻き込まれているんだ」
「じばくってなんですか?」
「…まあ良い、あいつは良く黒こげになって帰ってくる、それだけだ」
「イタタタタ…おいおい…これがΩの言う必然か?」
「流女…先程からアナウンスで流れているがどうやらこの船が氷山に激突したらしい」
「こいつはご愁傷様…」
「ああ、出資者の絶望に震える顔が目に浮かぶよ…
何せ大金を無駄遣いして造った船がいきなり沈むんだからな…」
まあ、自分たちが生き残らないと出資者が慌てふためく様を見れない訳だが
いきなりドアを激しくノックされた、このノックは伊倶夜か?
「流女!流女!生きてたら開けなさい!」
何だ…そんなに慌てることも無いじゃないか…
「生きてるよ、今出る」
ぱっぱと赤いスーツに着替えると私はドアの鍵を開けた
そこには相変わらず黒いマントと黒い服に身を包んだ伊倶夜の姿があった
後ろにはゆっくりかぐやとゆっくりもこうを抱えた八意お姉さんもいる
「流女!今の聞いた!?この船多分沈むわ!」
「うーん…とらうまになるよー…」
「あー、あー、わかってるから、慌てたら負けさ」
伊倶夜の様に慌てて脱出を目指してみろ、多分同じ考えの乗客の濁流に呑み込まれるのがオチだ
「伊倶夜、落ち着いて聞いてくれ、私の同業者が来ていた、あいつに協力してもらう」
「へ…?アンタの同業者?」
「ああ、吹き荒ぶ風のお別れ空輸だ、あそこのきめぇ丸を利用する」
「何か…非常に縁起の悪そうな名前の会社ね…」
「まあ…そこの同業者さんの力を借りましょう、ひょっとしたら甲板に着くより楽じゃないかしら?」
お姉さんの一言もあって、私たちはショッピングモールに急いだ
ショッピングモールでは商品が散乱しているのか目も当てられない惨状だ
さらに乗客が甲板に出ようと大挙しているのを船員が制御しきれていない
「で、その同業者さんはどこ?あのきめぇ丸達なの?」
「ああ、そうだよ、文の奴まだ居るか?…いた!」
そこには未だに「清く正しい(ry」と言っているシャメーニッツの姿があった
この様な状況でも尚商売人としての魂を失わないのは賞賛に値する
「あやや?流女さんじゃありませんか、こんな非常事態にどうしました?」
「アンタこそどうしてるんだ、その根性は認めるがこの事態で金払う客はいるのか!?」
シャメーニッツは少し考え、頭を傾けた後に…
「あやややや…そうですね、少し頭を切り換えましょう」
「…は?何をするつもりだ?」
シャメーニッツはきめぇ丸達を呼び寄せると何か話をしているが
きめぇ丸達の「おぉ」コールのせいで聞き取れない
その中には、奇妙なベルトを付けたスイカ顔のきめぇ丸もいたが気にしない事にしておく
「ねぇ流女…あんな数のきめぇ丸見たこと無いわ!?」
「あぁ…あれでお土産やいらない荷物送ってくれるんだよ、人間も運べるかな?」
私たちが話し合っていると突然シャメーニッツがきめぇ丸達を退けて私たちに向かって
「はい、結論ができました、私たちはここが危険だと判断したらあなた達を連れて避難します
「ですがそれまでは逃げ遅れた人を救助します、人命第一、それは常識なのですから」
彼女の話によるときめぇ丸は人間一人運ぶくらい容易な力を持っているため
荷物を括り付けるロープやシートを改造して即席ゆっくり気球を作るのだ
逃げ遅れた人を私達で救助、こちらで脱出させるという訳だ
見せてやろうじゃないか、運送業の意地って奴を!
「一応救命ボートはあるはずなので、下の階層とかに逃げ遅れた人はいませんか?」
「おし、ここはまだ浸水するには早い筈だ、伊倶夜も下の階層を見てくれ!」
「何よ!あたしに厄介事押しつけるつもり!?…まぁいいわ…後で奢りなさい!」
私は人の少なくなったお菓子売り場を見ていた、何をしてるか?
「流女…何故お店をまわっている、まさか火事場泥棒か?」
自分は火事場泥棒の如く各プリン店のプリンを集めていた、沈むくらいなら回収してくれる!
「その通り、まあ追求も怖いんで出来る限り現地で食してくれるがな!」
「さなえにもわけてくださいよ!!!」
「……まあ良い、私にも分けてくれよ?」
プリンを集めていると誰か…あれは?
「だれかー!まりさをゆっくりたすけておくれや!!!」
よく見るとまりさが迷っている…こいつは放っておけないだろう
「そこにいるのは誰だ!迷ってんのか!」
「ああ、そうだよ!まりさはゆっくりまようついでにケーキをたべてるんだ!!!」
こいつもふてぇ奴だ、何となく通じ合えそうな気がする
「おうし、今から外に連れて行くか!」
「こちとらおなかいっぱいだぜ、たのめるかい!!!」
私はまりさをガッシリ掴むとプリンを入れた箱を引っさげて全速力で駆けた
「少し酷い目に遭って貰うがケーキを勝手に食べた罰だと思ってくれ!」
「おい、そいつはないぜ…」
あっという間にシャメーニッツの所に着くがこのままではブレーキが利かないので…
「我慢しろよォ…ハッハァー!死ねぇぃ!」
「さついたっぷりだぜ!……なにぃい?!!!」
私はまりさを勢いよく壁に叩きつけ、衝撃を吸収した
社長から教わったギガンテッ○プレッシャーの前身にあたる技、ゴッ○プレスだ
「ゆっくりづかいのあらいおじょうさんだぜ……」
「あやややや…人間の場合はどうするんですか?ゆっくりならずっと頑丈とはいえ…」
「私なんか酔っぱらった社長相手に二回連続でこれ以上の奴食らってんだ、察してくれ…」
「だが流女…社長にそこまでやられて会社を辞めない所どうかしていると思うのだが…」
結局まりさは即席きめぇ気球の第一号となった
「お別れです!」
「おわかれだぜ!!!」
するーっときめぇ丸は上がっていき、ハッチを通して外に出る
後はきめぇ丸に任せれば適当な所に降ろしてくれるだろう
その後も私は怪我人や迷ったゆっくりを見つけてはゴッドプレス(ゆっくり限定)で運送していく
伊倶夜も色々運んできてくれている様で安心している
その間にも変わった事がいくつかあったのでそれを記しておく
キノコの森 Side流女
焼き切れた木のゲートをくぐると私はいつの間にか森に迷い込んでいた
そこは船の中とは思えない、例えるならきのこの森だった
「なんでこんな所があるんだ…茸博物館か?」
「リラックスできそうだな、やはり私にはあんな豪華な空間は似合わない…」
もうけーねの愚痴は聞き飽きた、けーねは金持ちが妬ましいだけなのだ
さらにその有り余る金を慈善事業に使わない事が気にくわないらしい
そう考えつつ捜索していたのだが…なんだこのキノコは…
「ここはキノコのもりだよ!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりしていってね!!!」
茸の笠を被ったゆっくりだ…髪型から察するにたぶんまりさ…
「アンタ…ここもうすぐ沈むんだぞ?いつまでゆっくりしているつもりだ?」
「…だってさっきのしょうげきでいりぐちが…あいてるじゃん……」
どうやら衝突の衝撃で入口が木で塞がれてしまっていたらしい
だが今は何故かその木が焼き切れているのだ、火事にならなかっただけありがたい
「それじゃまりさはここからにげるぜ!!!」
そういうとまりさはキノコを裏返しにして元の帽子にしてしまった
「あんたの帽子はそんな構造だったのかよ!」
「ここのしょくいんはすべてリバーシブルキノコなんだぜ!!!」
気にくわないのでとりあえずまりさを運送する事にした
「おぉう…こいつはあらっぽいぜ…ウァァァ!!!」
レストラン街 Side伊倶夜
ちょっと!私もヒヤヒヤする体験したんだから載せなさいよ!
私は流女の指示で下の階層に行けって言われたけどだぁれも居ないじゃないの!
仕方なく帰ってきたらなにやら飲食店の辺りが騒がしいの、まず「河城飯店」
派手な銃声が聞こえるのよ!?まるでテロリストの類がいるんじゃないかと…いるじゃないの…
店の入口からこっそり覗いてみると重火器を持ったゆっくりらんが店の中で大暴れしているの
私に出来ること?…そんなの逃げるに決まってるじゃない!こんな所で死ぬのはごめんよ!
その後に見つけたちっぽけな店、中では三頭のゆっくりがこれでもかとやってくる料理を
一心不乱に食べているの、それ以前に…店の外にのびている触手が気になるわ
これは私に汚れ役を押しつけるって事!?冗談じゃないわ!
って…何よ…そんなぬるぬるした手で私に触らないで!
え?文字を作ってるわ…Salt…ソルト…塩!?
わかったわよ!塩持ってくれば良いんでしょ?
私は少し離れた所にある食品売り場に向かうと
棚に並んでいる塩を愛用のメジャーで片っ端から引き寄せたの
触手も肉売り場、野菜売り場等から適当な食材を見繕ってかっさらって行くわ…
塩は瓶に入っている故に触手が反応しないのかしら?
これはその他の調味料も持って行け的な話なの?
とりあえず、買い物カートに醤油、みそなり何なり調味料
スパイスの類をかき集めレジをスルーしてちっぽけな店に向かった
そこには待ちわびたかのように触手がハートマークを作って待ってたわ
ちなみにその間にも肉や野菜が店の中に吸い込まれていくの
何を作っているのかしら?…だけどあんな気味悪い触手が作った料理なんて食べたくないのが本音ね
とりあえず限界まで詰め込んだ塩の袋を一気に触手に叩き込んであげるわ!
「お望み通りに…天からお塩!!!」
触手は無理矢理ピースサインを作り、店の中へ引っ込んでいったの
これで一安心、私の貞操は見事に守られたわ!
「吹き荒ぶ風のお別れ空輸」付近 Sideシャメーニッツ
おやおや…面白そうな事をしていますね…私の体験も載せておきましょう
さて…甲板に向かった乗客の一部が戻ってきました、話によるとボートが無くなったらしいのです
これには私も疑問を感じました、一応ボートが足りていれば乗客は全て避難できるはず
そこで疑ったのは出資者の方針でした、見栄え重視、安全性の過信、想定外の事態
まさかとは思いますが内部の犯行という説も入れて置きましょう
とりあえずこのままでは乗客はまとめて天に召されてしまうでしょう
私としては友人を連れてきめぇ気球で脱出すれば充分、ですが半分の乗客を安全な場所に運ぶには
きめぇ気球の数は圧倒的に足りません、だとしたらベストな行動を選ぶしかありません
「いいですか、きめぇ丸の皆さん、部隊を半分に分けて片方は助けを呼んでください」
「おぉ…了解了解…」
「幸いにもこの辺りは客船や貨物船の通りやすい海域の筈です、出来るだけ助けを呼ぶこと」
「この船の状況をポラロイドに移しておけば多分信じてくれる筈です、方向も忘れないように」
「おぉ…捜索班出撃…」
即席気球セットを外した第一きめぇ丸隊が天井のハッチから外へ飛び出していきます
「次に残ったみなさんはツーマンセルで行動」
「下の階層で動けない人やゆっくりがいたら迅速に救助、ここまで連れて来てください」
「おぉ…承知承知…」
「ただし絶対に無茶はしないこと、あなた達は社員であって仲間なのですから」
「おぉ…救助班出撃…」
一瞬で部隊を編成し、既に浸水の始まっている下の階層に向かう第二きめぇ丸隊
「さて…八意さん…あなたの腕を見込んで手伝ってもらいたいのですが…」
「ええ、医者として当然のことをするまでです」
八意氏には第二きめぇ丸隊が運んできた負傷者の応急処置を頼みました
これで少しでも死者が出る可能性を減らせれば良いのですが……おや?
私の前に残った奇妙なスイカ顔のきめぇ丸、社員証を付けていない所からして…ベルト!?
「あなたは一体?」
「おぉ…でぃけいどでぃけいど……」
ディケイドと名乗るきめぇ丸を持ち上げてみます、あからさまに嫌がってますけど…
どうせだからほっぺの辺りをにぎにぎしてみる事にします、社員とのふれ合いで良くやります
「にぎにぎにぎ……」
「おぉ…不快不快…」
あぁ…快感です…
その後も第一きめぇ丸隊が客船数隻、自衛隊を動かす事に成功した様です
これは満足のいく結果です、最寄りの貨物船の操縦席が暗闇だったのが気になりますが…
こちらに向かっているらしいのでまぁ何とかなるでしょう
第二きめぇ丸隊も揃って帰って来てくれました
戦果も中々のものです、思ったより取り残された乗客も多かった様ですね
気になるのが機関部で暴れていた作業用二足歩行型重機に乗っていたらしい乗員
行動の内容が騒ぎに乗じた機関部の破壊活動から見て
先日動力部で騒ぎを起こそうとした乗員の仲間ではないかと思われます
そして八意氏の手際も凄まじいものです、あっという間に怪我を処置していきます
というかこういった旅行の際にも救急セットを持って行くものなんですね
「シャメーニッツさん!」
「あやややや!?どうかしましたか!?」
「すぐに薬局に駆け込んでありったけの医療品を持ってきなさい!」
私も仕事をせざるを得なくなりました、すぐに帰ってきた第二救助班と共に薬局に向かいます
まあ、私も運送業の端くれ…仕事はこなしてみせますよ…
「ちょぉ…かわしろいかわしろい…」
なにやらゆっくりもみじを救助した第二救助班に変な口癖がついていた事は別の話です…
崩壊、脱出 Side流女
私も随分と怪我人やゆっくりを運んだものだ、流石に疲れが溜まってくる
…というか今きめぇ丸に運ばれている、もう動けないのだ
「たしかにつかれますよねぇ…」
「流石に運送業で鍛えていても、疲れには勝てない訳だな、流女…」
「言っとけ…本当に疲れてんのよ…けーね…」
あれだけ運んで、後からきめぇ丸の大群を送り出すとは…舐めた真似をしてくれるものだ…
まあ数があればそれだけ奉仕、宣伝になるのだが……
「おや…随分とお疲れの様ですね…」
「あぁ…もう寝たいわ…」
「同感よ…まったく…不死身になれないかしら?」
私と伊倶夜は拠点に無事送還され、ぐったり倒れている
「こんな所かしら…これでとりあえず動けるんじゃない?」
「ありがとよ…姉さん…」
お姉さんの処置のおかげで疲れはとりあえず取れ
重労働はできそうに無いものの、避難くらいなら出来るようになった
「きめぇ丸達もよくやってくれました、船が沈んで数時間もすれば救助が来ますよ」
「それでは…甲板にでますか?」
「あぁ…」
私たちはきめぇ丸に乗っかり、ハッチを通して甲板へ出る
そこには既に避難している乗客、乗員の姿は無い
「みんなボートで降りたのかね…」
「きめぇ丸に運ばせている乗客もいます、既に先発の貨物船が近づいているみたいですよ」
見てみれば貨物船がクレーンを用いて貨物を降ろし、乗客の救助に専念しているではないか
そしてこの船も限界が来たらしい、大きな音がしたかと思うと船が沈んでいく
「さらばだな、傲慢の象徴よ…水底で永遠に眠っているが良い…」
「けーね!何良いとこ取ってるの!」
私たちは慌ててきめぇ丸に飛び乗り、断末魔を上げるゆイタニック号に別れを告げた
「思えば呆気ない最期だったな、出資者がどう動くか楽しみだよ…」
「今はとりあえず生還出来た事を祝いましょうよ…」
私はついでに持ってきた紙袋からかき集めたプリンを取り出した
「プリンですね!!!」
「ちょっと!この状況で暢気にプリンを食べる気!?」
「まあいいじゃない、伊倶夜…今は補給しましょう」
私たちはきめぇ丸の上で、海上で暴れているTAKOれいむを見下ろしつつ
生還し、自社を宣伝しきった喜びをプリンで分かち合った
因みに元ネタ
藤原流女の名前は東方永夜抄の藤原妹紅とKOFのルガール・バーンシュタイン
技もラーニングしていますね
八意伊倶夜の立場は蓬莱山輝夜が永琳の娘になった感じ、名前はKOFのイグニスから
こちらもほんの少し技を使わせたりして…
シャメーニッツ・文の名前は東方花映塚から射命丸文、KOFからゲーニッツ
この娘はお別れです!の台詞だけでしょう
因みに、流女が属している運送業
個人的にはルガールが社長のつもりで書いていたりします
早苗ちゃんの人へ
Ωさんについてはもう少しKOFよりクローンゼロ、クリザリッドを
イメージしてみたかったけどそちらの描写を考慮して激闘路線から変更させていただきました
Ωさんのキャラ、どうなったでしょうか?
反省点
ゆっくりの出番が少なかった事
一部クロスしていない作品があること(もしかしたらそこに関して後日補足の可能性あり)
最終更新:2009年06月17日 19:14