みえないの?

ローンを組んで引っ越してきた家にも大分慣れた
幼稚園に通う娘も、子供らしい適応能力でしっかりと私達よりも馴染んでいた。
毎日元気に通っている。
外でも元気に遊ぶ。
新しい友達もできたようだ。

ただ――――

私達両親に何か隠し事を持ち始めたようだ。
子供ならば、それは当たり前の事で、今までそんな事がなかった方がおかしいかもしれない。
どうやら、「秘密のお友達」ができたらしい。
聞きなれない、変わった名前をよく口にするので、近所や幼稚園の子供の名前かと思っていたが、
そんな変わった名前の子供はいなかった。
問いただしても、その名前を連呼するだけで、明確に答えてくれない。

空想上の友達なのだろうか?

それも、珍しい事ではない。ただ、しっかりと現実の友達はいつもいるのだし、今までそんな事はなかった。
ただ、一人で家で遊ぶ時、屋根裏部屋や、物置―――もしくは、寝室の押入れなどに篭る事が多くなったのだ。
子供部屋も用意しているのに。
前の家では、それ以外では、リビングルームなどでいつも遊んでいたし、私に一緒につきあうようにせがんできた。
それが、なくなった。

そして、きまって一人で誰かと会話している

無論、他に応える者はいない。

これは――――空想上の友達、という遊びの域なのだろうか?

実際に、口数が少なくなったと感じるのも、気のせいだろうか?
そういえば―――――主人に対してでもそうだが―――――時折私を見つめる目が鋭い気がするのだ
娘は、私に何を感じ取っているのだろう。

そんな少し歯がゆい気持ちで過ごしていたある日、幼稚園から帰ってきた娘は、そこで撮影した写真を見せてくれた

「あら、よく撮れてるじゃない」
「みんなで、こうえんであそんだときにせんせいがとってくれたの!!!」

我が家の近くの公園だ。休日にはたまに一緒に遊ぶ。

そして――――6枚ほどめくった時、  私は、  それを、  発見した




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                                                 1999.5.30.              ┃
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     l.:!/:.:.;;}:l:.:lYち::::!   ,`´,,    .:::::rー''7コ|_,‐"リ´V、!__ハ    イi イ人ルレ ン、
    >'ヌヽf ハ:.lヽ `゙´  _.. -    i   !イ´,'イ ノr=- r=ァY.i !     /r=-  r=ァ | i、|
    Yl::|Yヽ、キi:l  '''  l  |   イ:!     ( ,ハ" ー=‐' ノ人    ("  ー=‐' " []ノ i
     ノ|::| !N:.:.:.:.:>-_ ._ゝ-_ イl|::     ,)、 .ヘ,、)― ‐'´''レヽ    `ー―――'レル'
    `l:::´j:.|z<リ〈rー―tコ' ̄ 〉




  「――――何『コレ』?」
 「『これ』ってなあに?」       r=- r=ァ  r=-  r=ァ
 「いや、『コレ』よ『コレ』  この、 " ー=‐'  "  ー=‐' " な顔した、お饅頭みたいな生首達のこと」
 「れいむちゃんとまりさちゃんのこと?」


 ――――娘がいつも言う、「秘密のお友達」 の名前が、 それだった

 「こいつらが『レーム』と『マリサ』!!? こんな生首が?」
 「『なまくび』ってなあに?」
 「何でこいつ等首しかないの?胴体は? っていうか………大きさも……」
 「どうたい?くびだけ? なんのこと?」
 「写ってないだけ!!?  何なの?いたずら?」

 にしては、異様に出来がいい。
 まったくそこに当たり前のように、ゆったりと余裕綽々な表情で、2体は写真に写っている。
 私は、思わず娘の肩を掴んで問いただしてしまった

 「一体何なのこいつら!!? いっつもあなたが勝手に妄想して遊んでるだけの友達じゃないの!!?
  『レーム』も『マリサ』も何者よ!!?」
 「れいむちゃんはれいむちゃんだし、まりさちゃんはまりさちゃんだよ!!! いつもふたりともそういってるよ!!!」

 ―――そんな事も解らないの? と、鼻で笑うように娘は返した。 いつものやりとりだった。
 我慢ができずに、私は…………軽くだが、どれだけ久しぶりだかに…………娘に手をあげた
 娘は火がついたように泣き出した。
 そして言った。


 「いつもおうちにふたりともあそんでるのに、どうしてママ、きづいてくれないのお!!? ほんとうにみえないの?」


 ―――と、タイミングが悪い時に、玄関のチャイムが鳴る。
 こんな時に誰だと舌打ちしつつ、玄関に出た。

 いつもの客がいた

       ,.‐‐、       ,.--、
      く__,.ヘヽ.    / ,ー、 〉
        \ ', !-─‐-i / /´
       / `ー'    ー' ヽ
      /  /,  /|  ,  ,   ',   どうですかいな奥さん 絶対損はさせまへんで。
     イ  //-‐/ i L_ ハ ヽ! i   これから娘さんの学費も跳ね上がるだけですて。こないな商売、
      レ ヘハi:::( ゚ )::::::( ゚ ):::ト、!| |      アメリカ辺りじゃ高校生かて皆やってますわ
      !, |7""  .. "" 、ソ  |     ∬
      | 从  'ー=三=-' 从  | _   ∫
       レ'| i> .,,_ __ イ/  .i =|л=・
       レ'| | / k_7_/レ'\i |, ( E)

 ―――う~ん………  魅力的ではあるんだけど、夫も反対していて………
 まだふんぎりが着かない所が………
 本当にこの話には乗りたい。最初に言ったが、ローンもまだ残っているし、お金はいくらあっても足りないのだ。
 何回目か解らないが、またいつもの話をしていると……

 いつの間にか泣き止んだ娘が後ろに立っていた
 そして、真っ赤な目で言った






 「ママ、 なんで、だれいもいないのに、おそとでおはなししてるの?」

  • これまた奇怪な作品デスことww -- 夢の東方タッグ戦の魅力 (2009-06-25 16:18:46)
  • どういう話なんだよww
    てか娘さんにアレがみえないのは幸いだなw -- あははw (2011-07-28 12:35:11)
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最終更新:2011年07月28日 12:35