「夜、窓の外に来るゆっくりに話しかけてはいけない」という諺がある。
真夜中、人間が寝静まる頃、遠くからふたつの音が近付いてくる。
ゆっ ! ゆっ ! ゆっ ! ゆっ! (←ゆっくりの跳ねる音)
ゆっくり、ゆっくり、ごろごろごろ~(←ゆっくりの転がる音)
それは人家の前までやってくると、窓の前で跳ねながら、さんや柱に頭や鼻をぶつけこすりつつ
中の人間にひそひそ声で呼びかけてくるのだ。
「ゆっくりさせてね!!!」
「お部屋にいれてね!!!」
次第に大きくなってくる呼び声は、中の人間が目覚めるまで続けられる。
その声に根負けして、そっと戸を開けてやる分には構わない。
だが、戸を開ける前に、決してゆっくりに話しかけてはならない。
ゆっくり達のゆっくりテンションがメントスコーラの如く噴き上がってしまうからだ。
「あけてくれてありがとう!ゆっくりしていくね!!!」
「入れてくれた結果がこれだよ!!ゆっくりー!」
夜の静寂を破るのは、
- 入り口で押しあい渋滞を作ったふたつのゆっくりが、結果入り口を壊していく音
- 部屋の中をゆっくり達が転がり跳ね回る音、ゆっくり魔理沙が嬉しマスタースパークを放つ音
- 食べ物を見つけたときの葛藤、食べていいかという裁可と喜びの儀式とそれを食い散らかす音
- 布団を見つけて狂喜乱舞し、さっそく寝やすいようにベッドメイクしていくゆっくり達の跳ねる音
- ゆっくり達が髪の乱れを気にしたりしながら、いそいそと人間に近づく音
そして呆然とする人間の枕元に、猫のような口元になったゆっくり達が当然のように
「布団開けてね?」と擦り寄ってくる。
布団の中にもぐり込み、人間の胴枕で眠るゆっくり達と、隙間風の入り込む破壊された窓。
呆然とする人間の部屋に、真夜中の破壊音に驚いた家族がやってくる。
壊された窓と荒らされた部屋を見られ、人間はしこたま怒られるのだ。
夜、窓の外に来るゆっくりに話しかけてはいけない。
- ホラーっぽいw -- 名無しさん (2011-04-27 17:59:38)
最終更新:2011年04月27日 17:59