席の譲り合いにご協力ください

米原から乗車したが、自由席は全く空いていなかった。
幸い他に席の無い乗客はいなかったので、入り口付近で空くまで待つことにした。

豊橋で2人が降り―――荷物を持ち直し、客室へ向かおうとしたら、また扉が
開く。中からは誰も出ない。
いぶかしがりながら、空いている席を見つけ、腰を付けようとした時だった。

「やめてね!!! つぶれるよ!!!」
「ここはみんなのお席だよ!!!」

改めて座席を見ると、そこには、4体ほどの、かなり小さい――子ゆっくりが。
ころころと身に余る席の上で、じゃれあっている。
どうやら、さっきの扉は、彼女等が開けたらしい。
その横も空いていると思っていたが、よく見ると、きめぇ丸とアリスが一体ずつ二人で陣取っていた。
これは、いわば親が一つの席に腰を下ろし、赤子にまるまる席を預けているのとあまり大差が無いのではないだろうか?
正直、彼は少し疲れていた。

「―――すみません。つめてもらえませんか?」
「ここはみんなのお席だよ!!!」
「いや………それなら………ああ…ですねえ」

そっちが譲ってもいいだろう。人間の親は大抵赤子を膝の上に乗せるものだ。安全のためでもある―――いや、この
場合、赤子がれいむばかりで、親? がきめぇ丸とアリス―――― 一体どうゆう関係なのだろう?
暫くして列車は走り出した。
案の定、座席の上の赤子達は、コロコロと転がり、うち一体が落ち、2体がシートに激突した。

「ゆぶっ」
「ゆぶう………」
「ゆ、ゆっくり拾ってね!!!」

言わん事ではない………
赤子を拾うのを手伝っていると、アリスから話しかけて来た

「ありがとう。確かにあなたのいう事も一理ある」
「ええ…………」
「最初は一つの席にしようと思ったんだけど………」

ドアが開く。
そして、ゆっくりすわこと、ぱちゅりーが入ってきた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4人は多すぎるわよね」

ちなみに、大人らしい、きめぇ丸、ありす、ぱちゅりー、すわこの大きさは、バレーボールよりも一回り小さく、
赤子達は、大体ソフトボール大。正直、大人が二人なら余裕だったのだが………
仕方無しに、外に出ようとした時だった。

「おお、名案名案」

きめぇ丸の声に振り返ってみると………







            _    __
            r , -`―'- 、イ、
           イi イ人ルレ ン、
           /ヘ  へ| i、|
           .(// マフ///[]ノ i
          _,,`ー―――'レル'__
        , '´     __     `ヽ、,ヘ                      r , -`―'- 、イ、
     くヽ_r'_ヽ 、 ,、_) ヽ ,______r'´イ´                     イi イ人ルレ ン、
     ['、イ_,-イ、ゝ,_, ,イ_,-,_ゝヽ、__〉                     / ヒン  ヒン)| i、|
      ,! 、!-|ーi、λ_L!」/_-i、|〉',ヽイ                       // ヽ,〈   ワ   []ノ i
      i_ノL.イ (ヒ_]     ヒ_ン ).!_イ  | |´                     ,.└''"´ ̄ ー―――'レル'、
       ヽ! |.i""  ,___,   "" | ! |  |                  ,. '´     、、   ヽ  ヽ
       ..| ! ',.   ヽ _ン   .,! ! .|  |                ノ   ,  lヽ  j /、lヽ ト、_,,.',
        |  |ヽ、       イノi .|   .|              r'´ r'"イ .ノ\| .レ r=;ァ'レ'  {  }
        ||(rr=-)-‐─- ..,,_/入、  |               {  !、 l rr=-       /  `'''l.>‐ .、
        ヽi`7´      l i iイノ.,.._ノノ              レヽ.,ト'     ー=‐'   /    l 、,,_,,ノ
      _,,.. -‐'─-- 、..,,_     (rr=ア)             {  ,}' ',          /ヘ,  /レ' ,/ >‐、
    /              `゙'' 、T             .7'´レ1 ヽ            人ル'レ'   'i、_ ノ
    ,'     ,.. --──- 、 .,_   `ヽ!              ,-‐'、  レ~i` ヽ 、_     ( "  `ヽ.
     '、.  /          `ヽ.    \          !、_ノ    ,:'´,.- ''"      ヽ:ヽ,   ':,
     `Y .  !. /‐/‐! /!  /!   \    ヽ.     .,-ー、/     / /' / ,   i   ,ハ  Y ヽ.  ',',
      |,ハ.__|/ ‐、レ' |/‐ 、 / ∨   〉     !、__ノ 人__. ,'  i  !/  ハ  /  ヽ _,ハ  ',  ii
     ´  |/| (ヒ_]   ヒ_ン)/|   |   /             i   !  ',⌒   レ'  ⌒` , γi ! ,'
       /7'"   ,__,    スワこ)|‐ '              !ヘ ,ハ !. _     _    イ/ i 〈
      / /ゝ、   ヽ _ン   "/ /|_) ,'               ヽ ヘハ ⌒ __ ⌒  ノ〈   ハ
     く/|/| /!,>,、___,,.. / /!   〈                 ) | .l、"   ヽ 〕  " / /  ノ
       ´ .レ'///      ト、 ,   ヽ                / ノ ノ ,i>: 、.,_,,. イ/ ン' イ ノ
                  ∨レへノ                '〈r'k' ,!      ∠、_! /_ン

大変だろうとは思っていたが、それほどでもないらしい。かなり高い位置に上り、赤子達は寧ろ嬉しそう。


「――――悪かったですね………今更ですけど、こっちが無理言っちゃって………」
「ここは皆のお席だよ!!!」
「ゆっくりしたかったら、ちゃんとここに座ってね!!!」


流石応用力の利くゆっくり…………いや、これも、相手をゆっくりさせたい、という本能からか。
彼は心からゆっくり一家(?)に感謝して座った。

相当疲れていたのだろう――――すぐに睡魔が襲った…………


『 次は新横浜~  新横浜~ 』

目的地は上野である。
まだ余裕があると思って寝ていたが、ある音でそれができなくなった――――泣き声である。
舌足らずな声は、先ほどの赤子達だとわかった。
何事だろうと、隣を見ると、いつの間にか、大人が4体から2体になっている。



否――――――!!!





         \.、       /
         (tテュ] ´ ̄ ̄ ̄ ̄rェz )                     ,,、
          7 ̄         ̄',                   // ヽ, --─- 、..,_
        ,'     -=-      ', キリリ           └'"´ ___,,,,....、,,,_   `ヽ.
        ム,,.. --‐=====- 、..,,_ヘ            ,:'´,.- ''"´ ̄ ̄`"''ヽ:ヽ,   ':,
    ,. - ''"/           `ヽ.`"' - .、      / /' / ,   i   ,ハ  Y ヽ.  ',
   (   Y .  ! / イ .! /!  ハ    ∨   )      ,'  i  !/,  lヽ //ヽ _,ハ  ',  i
    `''ー-|,ハ.__|/ヽ,レ'|ノ .|、ノ/ ', /  ',-ー"´      i   ! イ、ノ\| レ' ,rェzァ Ti !ハ(
      ´ Ⅳ ttテュ   ,rェzァ) Vヨ   .i         !ヘ ,ハ ! ttテュ,      イ/ i `'''l.>‐ 、
        ハイ'" ̄      ̄"'|三|_) .|        ヽ ヘハ'    ー=‐'   ハ〈   ハ、,_,,ノ
      / / ゝ、  -=-   / /  〈        (  ,}'| .l、           / /  ノ  .>‐、
     く/|/| /!,>,、___,,..イ /    ',          , 7'´ノ ノ,`ヽ 、 _  __ - ´/ ン' イ ノ  i、 _ノ
         レ',´ 1::::ゝ、_ノ::レ'∨レへノ          , ‐'、 〈r'k' ∨       ∠、_! /_ン
                                  !、_ノ

              r , -`―'- 、イ、  ビエエエエ      r , -`―'- 、イ、
             イi イ人ルレ ン、             イi イ人ルレ ン、 むーちゃむーちゃ
         ・゜゜・ / =-  -=| i、 | ・゚・。         /ヒン  ヒン)| i、|
        ゜    .(" U Д U" []ノ i   ゜         .(" ;)~。・"[]ノ i
             `ー―――'レル'             `ー―――'レル'


どういう事なの…………


「―――ありすさん?いや、きめえぇ丸さん?」
『…………私は、ありすでもきめぇ丸でもない…………』
「あの、ぱちゅりーさんは…どこへ行ったの…?」
『この『二人(ありすときめぇ丸)』と同じ現象なのだよ』


最後のは、賢者のような佇まいを見せるすわこから発せられた。
本当に、全ての執着がなくなったかのような……

「びえええええええん 先輩達がへんなゆっくりになっちゃったよう!!!」
「これじゃあ しあいに、かてにゃいよおおおおおお!」

先輩? 試合?
親子ではないと思っていたが、この集団は一体………

「おっと、降りねば」

2体の大ゆっくりと、子ゆっくり達は、新横浜で、そのまま降りた。
最後に、こんな声を聞いた

「こんなことなら、大人2枚でよかったね」
「どうすんのこれ………」
「元々タッグマッチなんだから大丈夫でしょ」


――――タッグマッチ?

ありすときめぇ丸の合いの子はともかくとして、賢者となったすわこは、見た目としてリングに上がれるのかどうか、
少し気になった。

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最終更新:2009年08月22日 23:17