家には網戸がない

《ジィージィージィーッ》

茹だる暑さも過ぎ、それなりに快適な睡眠を送れるようになってきた今日この頃
扇風機しか存在しない夏の我が家は何度体中から水分を失われかけたかわからない。
いっそちるのを家に置こうかと思ったが…よく考えたら今のちるのは家じゃ溶ける。

「こんどはあやがおにだよ!」
「きょうはれぃむつきゃまらにゃいよー」

しかし、ちび共は今日も飽きもせず俺の部屋で鬼ごっこか
いくらなんもない家だからってパタパタ、ピョコピョコとなんたるフリーダム。
いつの時代も子供は…というが、こいつらも普段と変わりゃしなかった。
最高気温を観測した日ですら、唯一陽のあたる時に窓際で寝てたり…これが若さか。

「ゆーっ♪」「まてーっ♪」

―あんまパタパタするとぶつかんぞ、なんもないけど俺もよくなんかの角にぶつかるから。
「おぉ、歳はとりたくないですね…」
―うるさいはたき落とすぞ、グーで
「おお、こわいこわい」と相変わらず俺をコケにしつつ、テーブルの上にもふりと乗るきめぇ丸。

「・・・」
《ジィージィージィーッ》
―・・・

基本家の中はやる気が激減する。
だらだらして、時折ちび達の様子を眺めるの繰り返し。
ふと、きめぇ丸を見る…
こいつもこいつで全然バテないよなぁ…

というよりこいつ、母親のわりにだいぶ若いような気がする。
まあ、ゆっくりの年齢なんて見た目(大きさ)で子供か大人の違いしかわからんけど。

とりあえず暇だし、少し観察でもしてみるか。

まず顔・俺には非常に腹立たしく見える
次に髪・一応、烏の濡れ羽色ってやつか
続けて翼・今は小さく縮んでいる
肝心な大きさ・ラーメン丼にすっぽりくらいか、やっぱだいぶ若いな
あー…あと動き・あ、さりげなくホバー移動してやがる。どうなってんだ?
…サクッと終わった。なんか、最後以外大して面白くないし
「…いやん」
しかも俺の視線に見事な勘違いリアクションを返してきた。
やっぱ今日も暑いわー…。

『『くきゅるる…』』
「ゆぅ~あとしゅこしだったよ~」すりすり
「ゆん!でもきょうのでべすとこうしんです!」すりすり

そんな感じにだれてる間、ちび達は結構な接戦を繰り広げていたようだが
腹が減ったのでタイムアップをむかえ、健闘を讃えむにむにと頬擦りをしている。
つかベストとかじつは鬼ごっこじゃないのか?

まぁそれは置いといて、ちび達のおやつを用意をする。
本日のおやつは小さめの平皿にコーンフレークを敷きプレーンヨーグルトをかけたもの。
こぼれにくいし、牛乳より夏場は甘すぎないこっちのほうがいいし
なにより『アイツ』も徳用ヨーグルトには反応しないらしいので安全だ。
「ゅ~…つめちゃい~♪」
「ひえひえ~…♪」
おやつの皿を置くと、早速ちび達がひんやりしたヨーグルトに引き寄せられてきた。

「「いただきます♪♪」」
「むーちゃむーちゃ、ひんやりー!ちあわちぇー♪」
「かりかり、もくもく…しあわせー♪」
「・・・・」
賑やかにおやつを食べるちび達、その様子をどことなく柔らかな表情で眺めるきめぇ丸、外でセミの鳴き声、
そして時折吹く風がカーテンをふわりとめくる…

《ジィージィージィーッ…》

時期的にはもうすぐ9月なんだが…こういう雰囲気にはやっぱ夏っぽさを感じるもんだな。

※余談だがこの直後カーテンのすき間からセミが侵入、俺が一時パニックになるという夏によくある光景もあったが…あえて割愛させていただく。

おしまい。

こないだ夜中に携帯使ってたらカミキリムシが胸にボトッときて戦慄した…
by.とりあえずパフェ


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最終更新:2009年08月24日 21:13