なんとなく秋と言えば食欲の秋=おたべなさい!
という話ができました。
※一応、ゆっくりが食べられる話です
タイトルは『不思議な籠』
――――――――
それは少し離れたスーパーへ180円のトイレットペーパーを買いに行った
その帰り道での事です―
その道の途中には橋があって
その中頃に来るときには無かった奇妙なものを見つけて、僕は思わず自転車を止めた。
「籠…?」
橋の途中にあったのは農家の人が担いでるような大きな籠。
でもそれだけならわざわざ止まりはしない。奇妙なのはそこに、
『食べ放題』
と、書かれた小さな看板がついていたからだ。
どこか食べ放題の店ができたとしたら、なんとも不思議な宣伝方法だ。
だいたい何故籠なんだろう…無人販売所はこの間なくなったし、それに食べ放題はおかしい、
もしかして町内会で何かやるのだろうか?
とりあえずその正体を確かめる為に、僕は籠を覗き込んでみることにした…
すると、その中には―
「ゆっ、おにいさんはおきゃくさん?」
「おきゃくさんがきたの?」「おきゃくさんがきたよ!」
「おきゃくさんだ!」「おきゃくさんいらっしゃい!」
「おきゃくさんゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!!」…etc
「・・・・・」
籠にぎっ……しりと詰まったゆっくりのてんこ盛り。(※てんこは見当たらない)
それが一斉に出迎えてきたのだ。ちょっとショッキングで腰が抜けそうになった…
まぁ、それはそうととりあえず一体これがどういう事か聞こう。
とりあえず最初に話してきた…えっと……とりあえず聞こう。
「誰かに詰められたの?」
「ちがうよ、たまにここにいるんだよ!」
捕まってるわけではないらしい。じゃあこの看板か…
「『食べ放題』なんて看板がつけられてるぞ」
「それはみんなでつくったんだよ!」「「「だよ!!!」」」
どういう事なの…
「そういえばさっき『お客さん』とか『いらっしゃい』とか…」
「ゆっ!ゆっくりたべていってね!!」
「ひんしつはあんしんだよー!」「だれがおこのみ?」
「しんせんなゆかりんはいかが?」「おなじようでなないろのあじわいよ!」…etc
「…つまりこれはゆっくり達によるゆっくり食べ放題?」
「そーなのだー」
風の噂で食べられるとは聞いていたが、そういうのもあるのか!
「しかし…大丈夫なのか?食べて」
「まぁとりあえずひとくち ためしてみてね!」
「むきゅ、和風と洋風はどっちがいいかしら?」
むこうはだいぶ乗り気だ…。
色々ひっかかるんだが…でも、せっかくなので乗ってみる事にしよう。
「じゃあ…一番スタンダードなやつを」
ピョコン「でばんだね!どーも、れいむです♪さあ、お食べなさい!」
そう言って手に乗ったまま、期待を込めた眼差しでこっちを見ている
・・・・
(え…そのまま?)そう目で訴えてみると、れいむはこくりと頷いた。
食べやすい感じとかになってくれないのか…
初心者に厳しい食べ放題だ…しかしこのまま放っとくわけにもいかない。
意を決してとりあえずくわえてみる
「じゃあ…いただき…ます。」はむ…
「ゆ」
あーやっぱ喋るんだ…食欲減るなぁ、最初から食欲わかないけど。
さらにかぷりと軽く噛んでみる。
「いふぁふはいほ?(痛くないの?)」
「どんとこいだよ!」
そうは言うもののこっちがハラハラするんだけど…
(ええいままよ!)一気に顎に力を入れ、プツンッ…と噛みきる。
すると口のなかに、くにくにとした餅のような感触が入ってきた。
(…と、とうとうやってしまった)
なんとも言い難い感覚に襲われる、冷や汗がダラダラ出るのがわかるほどに。
恐る恐る咀嚼してみると、どうもやはり餅のようだ…
しかしこの適度な細かいザラザラ感、柔らかいが確かな歯応え、この懐かしい素朴な甘さ…
ってあれ?これは、ゆべし?!(not柚餅子)
まるで、仙台のくるみゆべしの胡桃を抜いたような感じの…
なんか「思ったよりおいしい…」
「それはなによりだよ!」
そういえばこれ、れいむのほっぺただった。
再び恐る恐る様子を見る。が、れいむが断面を晒してるかと思いきや…
「縮んだ?」
「たべられたからね!」
ゆっくりって食べるとそうなるんだ…
「さあえんりょせずにひとおもいにおたべなさい!」
一思いにとか言わないで、飲み込めないから…
でもさっきより抵抗がなくなり、言われた通り丸ごと口に放り込んでみると今度は赤福のような味わい。
それかられいむは喋ることなく、口の中には甘味が広がっていった。
『ごくり…』
ふぅ、結局一匹丸々食べてしまった。なんか不思議な経験だった…
色々な事が頭の中を駆け巡る―
「さあ、つぎのご指名はだれ?」
だがそこに間髪いれず、次の注文タイムがきた。
そうかこれ『食べ放題』だったっけ…
「うん、少し興味も湧いたしいただこうかな…」
そこからは夢中になっていった…
昔ながらのどっしりした餡子、黒蜜ホイップ、
ふんわりさっぱりチーズケーキ味、しっかり&とろ~りのWカスタード、
小さい頃からの夢・特大萩の月、大人の味・ラムレーズンバタークリーム…etc
―――――――
「「またきてね~!!」」
なんかすごい食べた…みんなおいしかったけど…もう満腹すぎる…
―しかしこの後、いくら同じ場所に行っても僕があのゆっくり達に会うことはもう無かった。
今思えばあのゆっくり達は何故あんな事をしていたのか。
あのゆっくり達はどこに行ったのか。それは未だに謎のまま…
そもそもあれは現実だったのか…
いや、確かに覚えている…あのどこか懐かしい香りと確かな本物の満腹感を。
今日もどこかにあの籠はポツンと置いてあるのかもしれない…
『さあ、おたべなさい!』
end、、、
追記―
しかしあの日から不思議と同じ夢を見る回数が増えた。
それはまったく知らない野原や山、そしてあのゆっくり達。
自分も、まるでその中に当たり前のように加わり遊び
一緒になってお腹いっぱい食べる
それだけの他愛ない夢を。
「ごちそうさまでした。」
- 不思議なお饅頭って感じがしてていいな
こういうの好き -- 名無しさん (2009-09-21 16:02:19)
- 素敵です
きっと夢の中からゆっくりさんたちは、生まれてくるのだとおもいました
「夢が容にゆっくりと、キモチもココロもゆったりゆらゆら」なんて(笑 -- ゆっけのひと (2009-09-22 14:24:58)
- こういうゆっくりが一番好き!オカスな感じがいいね= -- 名無しさん (2011-08-13 12:55:10)
最終更新:2011年08月13日 12:55