別に追い出す理由は無い

小ネタ330 中途半端に勘違いに話だけ出てきたゆっくり一家がどうして友人の家に住み着いたのか?を描いた前日譚です。

「おかぁしゃ~ん まりしゃ ちゅかりぇちゃ~」(おかぁさん まりさ 疲れた~)
「まじゃちゅかにゃいにょ~?れいみゅもちゅかれちゃ~」(まだ着かないの?れいむもつかれた~)
「みんにゃだりゃしにゃいのじぇ まりしゃはこにょくりゃい へっちゃりゃにゃのじぇ」 (皆だらしないのZE☆ まりさはこのくらい へっちゃらなのZE☆)

末っ子のまりさが疲れを口に出し始めると次女のれいむも疲れたと言い出す
長女のまりさは平気だと言ってはいるが表情には疲れが見える。
きっと自分に似て強がりだから弱音を出したくないのだろう

「ゆゆっ!もうすぐ着くよ。前のお家よりゆっくりとしたお家だからみんなゆっくりできるよ」
夫であるれいむはドンドンと先に進んでいく、少しでも早く新しいお家を見せたいのだろう
「疲れたならおかあさんのお帽子の上でゆっくりしてね。」
まりさは自分の帽子におちびちゃん達を乗せながら昨日の事を思い出していた



れいむが狩りから戻ってくるのを、まりさは子供達の面倒を見ながら待っていた。
昨日はまりさが狩りをして、今日はれいむが狩りをする。
狩りのできないおちびちゃん達の面倒を交互に見ながら少しずつ予備の食料を増やしていく
れいむはまだ秋にもなっていないのに気が早いと言うが
世の中何があるか解らないのだ、予備の食料は無いよりもあった方が良い

「おきゃ~しゃん しゅ~りしゅ~り」「ゆっ~♪ゆゆっ~♪ゆ~♪」「Zzz…Ze zz …」
自分に寄り添い、お歌を歌ったりお昼寝したりと思い思いに父れいむの帰りを待つおちびちゃん達に
まりさはこのゆっくりとした幸せがいつまでも続けばよいと、悲しい事など起こらなければよいと思うのだった。


「ただいま~まりさにおちびちゃん達!ゆっくりしてた?」
「「「おきゃえりにゃしゃい おとうしゃん ゆっきゅち ちていっちぇね!!!」」」
返ってきた父れいむにおちびちゃん達が駆け寄り、すりすりを始める。自分もすりすりしようと近づくと
れいむの後ろに自分たち夫婦より一回り体の大きい二人のゆっくりが居ることに気が付いた
嫌な予感を感じ、問い詰めようとしたがそれよりも早くれいむが二人を家の中に招待してしまった
「ここがれいむとまりさのお家だよ!ゆっくりしていってね!!!」
「お邪魔するのぜ」「洞窟だなんて都会派ね」
「「「いらっちゃい ゆっきゅち ちていっちぇね!!!」」」
この二人は?とれいむに聞くと怖い人間さんの所から逃げてきたんだよとの答えが返ってきた



家族とお客さん皆で食事を食べ終わった直後に客人のまりさが「聞いて欲しいことがあるんだぜ」と切り出し
部屋の真ん中でに移動して大きな声で宣言した
「今日からここはまりささま夫婦のゆっくりプレイスにするんだぜ」
「食料の備蓄もあってなかなかに都会派なお家ね。ここならゆっくり子作りもできるわ」
が部屋の奥に貯めてある食料を漁りながらありすがソレに同意する
「まりさ様達のためにわざわざ食べ物を採って貯めておくとは、なかなかに気の利いた事をするのぜ
 まりさ様の奴隷としてならお家の隅っこでゆっくりしててもいいのぜ」

家を取られる以上の危険を感じ、れいむに視線を送るとれいむもコチラの意図を察してくれた様で無言で頷く
友として、狩りの相棒として、そして夫婦として過ごした絆はダテではないのだ。
おちびちゃん達を人質に取られる前にれいむに逃がしてもらい、自分は時間を稼ぐ為に相手のまりさに体当たりをする。

しかし、相手のまりさはビクともしない、それには相手も拍子抜けした様子で
「おいおい、そんな貧相な体でこのまりさ様に向かってくるとは。お馬鹿なれいむ並みにお馬鹿さんなのぜ。同じまりさとして恥かしいんだぜ。
 お馬鹿なまりさには、力の差って物をゆっくり教えてあげるから。ありすはまりさ様のゆ~しをゆっくり見ておくといいんだぜ」


自信が過信に繋がり易いのはどこでもよくある事だ。体格で不利な自分達が相手を出し抜く為にはソコを突かなければならなかった。
その為にれいむを逃がす事によって2対1の状況を作り出し、さらに【弱めの体当たり】をした
結果まりさの思惑通りに相手のまりさは完全に油断し、ありすは巣の奥でニヤニヤしながら見ているだけ。
まりさの一手目は成功したのだ。



しかしまだ一手目を取っただけ。相手がまだ気が付いていない内に次の一手を取らなければならない

「どうしたのぜ?その程度の攻撃じゃぁ、このまりさ様はビクともしないのぜ」
体当たりを繰り返し、そのたびに自分から後ろに飛ぶ事により吹き飛ばされているように見せる
相手のまりさはその様子に実際には十と八程度しかないと自分と相手の力の差を百と壱程度もあると完全に見誤る事になり
【その気になればいつでも倒せる】との思い込みから自分からは手を出さずにふんぞり返ってコチラを見下している。
奥に要るありすもウットリとした表情で自分のパートナーのまりさを見ているだけで動く様子はない

そろそろおちびちゃん達は逃げ切れた頃だろうか?
あまり長引かせると時間稼ぎだと悟られるかもしれないから丁度よい頃合だろう
一度強く体当たりをし油断しきった相手を巣の奥に吹き飛ばし自分は出口の方に転がる
吹き飛ばされた事を理解できていない様子のまりさだったがありすの声で意識をもどす

プライドを刺激されたらしく抑えきらない怒りに震えているまりさを見て勝負を賭ける事にする

「まりさには奥の手が残っているよ」
とっておきのキノコを取り出し咀嚼する
「「ゆっ!そ、そのキノコはまさか!」」
驚愕しコチラを凝視した二人をみてまりさは次の一手も成功した事を確信した。
「ますたーすぱーくでゆっくりして逝ってね!!!」
宣言と同時に閃光が洞窟内を埋め尽くす


スパークを撃ったまりさは身を翻し迷うことなく暗くなってきた森を逃げる、逃げる、逃げる。
何かあった時に落ち合うと決めていた二人の思い出の場所に向かってまりさはひたすらに駆けた。

ドスでもない唯のゆっくりであるまりさにスパークなど撃てるはずもなく、ただ強い光を発しただけ

つまりは【ハッタリ】であった

そもそも二人掛かりでこられたら時間稼ぎすらもできなかったであろうし
油断しきっていなかったら距離を取る事も出来なかっただろう
そして怒りで冷静さを失っていなければスパークを撃つためのキノコの見分けぐらいはついたであろう
「ゆがぁ~!!あ~あ~目がぁ~目がぁ~!!」「あ~あ~目がぁ~あ~あ~!!」
しかし目を見開いていた二人は閃光を直に見てしまう事になり、一時的に視力を奪われる事と為ったのである。



初めて二人が出会ったのは一緒に雨宿りした岩の下
そこに自分の家族が欠けることなく寄り添っているのを見たときにまりさはやっとその場にへたり込んだ

「れいむが新しいゆっくりプレイスを見つけてくるよ」
責任を感じたのだろうか?そういって出ていったれいむが帰って来るのを不安に餡が潰れそうになるのを夜通し待ち続け
日が昇りきった時に帰ってきたれいむを見たときには安心し、おちびちゃん達に見られないように涙を流したのだった

思い出すと悔しさと不安で涙がでそうになるので忘れる事にする。よし!忘れた!もう思い出さない!!

  • なんと頼もしいゆっくり夫婦。おにいさんとの出会いが待ち遠しいです。 -- syu (2009-10-31 10:00:08)
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最終更新:2009年10月31日 10:00